http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/184.html
Tweet |
批判派の弾圧強めるベネズエラ政府
2015年02月27日(Fri) Financial Times
(2015年2月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ベネズエラ、首都市長を逮捕 「米支援のクーデター関与」
2月19日にカラカス市長のアントニオ・レデスマ氏が逮捕されたことを受け、カラカスの情報当局前で抗議する支持者ら〔AFPBB News〕
迷彩服に身を包み、突撃銃で武装したベネズエラの警察が先週、カラカス市長のアントニオ・レデスマ氏を市長室から連行した時、政府を批判する著名人がまた1人収監されることになった。
石油価格の下落で悪化する経済危機のさなかで大統領の人気が落ち込んでおり、多くの人は、今年争われる中間選挙を前に、ベネズエラの社会主義政権がどんな手段を使っても政権の座にしがみつこうとすると心配している。
与党のベネズエラ統一社会党(PSUV)が敗北すれば、リコール投票への扉が開く可能性もある。
支持率低下に苦しむ大統領、中間選挙を前に野党有力者を相次ぎ逮捕
世論調査によれば、貧しい生活を送っている、政府の権力基盤の大部分は、まだ忠誠を尽くす可能性が高い。しかし、故ウゴ・チャベス氏の後を継いだが、同氏の政治手腕と大衆へのアピールを欠くニコラス・マドゥロ大統領は、ベネズエラ経済が縮小し、物資不足が深刻化する中で国民の不満に直面している。
カラカスの政治アナリストで世論調査も手掛けるルイス・ビセンテ・レオン氏は、レデスマ氏――強硬な野党政治家で、ここ数年、中央政府によって市長としての権力を奪われてきた――の逮捕は、より抑圧的な局面の到来を告げる可能性があると見ている。
「政府は政治の急進化に向けて新たな境界を突破し、抑圧的な権力の強力なメッセージを送ろうとしている」。レオン氏はこう語り、マドゥロ氏がほぼ2年前に大統領に就任してから、政府に対する支持は半減したと付け加えた。
世論調査会社インテルラセスのオスカル・シェメル氏は、今ではベネズエラ人の7割がマドゥロ氏の国家運営を評価していないと述べている。
20日夜、レデスマ氏はベネズエラ政府に対する陰謀を企てた容疑で起訴された後、ラモベルデ軍事刑務所に移送され、著名な急進的野党指導者のレオポルド・ロペス氏と合流した。多くの人が政治囚と呼ぶロペス氏は、1年前に43人の死者を出した反政府デモを先導した罪を問われている。米国と国連はロペス氏の釈放を求めている。
ベネズエラ、首都市長を逮捕 「米支援のクーデター関与」
ニコラス・マドゥロ大統領は2月19日のテレビ演説でクーデター計画の背後に米国がいると訴えた〔AFPBB News〕
マドゥロ氏は、「政権移行に関する国家的合意」を求めた公開書簡を引き合いに出し、ロペス氏を「モンスター」と呼び、レデスマ氏を「吸血鬼」として糾弾した。
公開書簡には、レデスマ氏とロペス氏、そして議会から追放され、大統領暗殺を企んだとして告訴された野党党首、マリア・コリナ・ マチャド氏が署名していた。
ここ数週間、マドゥロ大統領は自身に反対する人たちを激しく攻撃している。経済のサボタージュを図っているとして小売企業の幹部を収監し、デモを統制するために軍の権限を強化し、国営テレビに出ては、マドゥロ政権転覆を狙った、米国政府が扇動した試みと同氏が呼ぶものを喧伝した。
マドゥロ氏は「ベネズエラには、誰も手を出せない人は1人もおらず、正義は行われる。クーデターの計画は終わった」と警告した。大統領の支持者は、ツイッターのハッシュタグ「#ChavistaIronFist(チャベス派の鉄拳)」の下で結集した。
カラカス市内のあちこちで行われた小さな集会では、人々が鍋やフライパンをガンガン叩いて抗議し、ベネズエラは徐々に独裁政治に陥っていると書かれた看板を掲げた。
野党連合のヘスス・トレアルバ報道官は「これから新たな挑発と攻撃を見ることになるだろう」と述べた。また、人権団体フォロ・ペナルの弁護士ゴンサロ・ヒミオブ氏は「この1年で政治的理由によって62人が収監された」と話している。
諸悪の根源は法の支配の衰退
人権団体「ワシントンオフィス・オン・ラテンアメリカ(WOLA)」のベネズエラ専門家、デビッド・スマイルディ氏にとっては、「法の支配の衰退が、ベネズエラの最も重大な問題、すなわち、絶えない犯罪の波、悪化の一途をたどる経済的な機能不全、政治的な敵対勢力に対する政府の嫌がらせといった問題の最大の原因だ」という。
国際的な関心が高まっている。国連の潘基文(パン・ ギムン)事務総長は、すべての関係者が「対話」を追求できることを望むと述べた。ホワイトハウスの高官は、ベネズエラ情勢を注視していると述べ、米国がクーデター計画の背後にいたとするマドゥロ氏の主張をあざ笑った。レデスマ氏の弁護士も、嫌疑は事実無根だと述べている。
「ベネズエラはもう独裁体制」
しかし中南米地域のベネズエラの近隣諸国は、4月にパナマで行われる米州首脳会議を前にスズメバチの巣をつつくような真似をすることを警戒し、これまで控えめな批判しか声にしていない。
ブラジル、チリ、ペルーは「懸念」を表明し、政府と野党勢力との対話を支持する姿勢を繰り返した。ブラジル、コロンビア、エクアドルの外相は、今のところ詳細が未定の日程でカラカスを訪問することになっているが、昨年の同様のカラカス訪問はほとんど成果がなかった。
「この地域は、我々(ベネズエラ人)が独裁体制の下で暮らしていることを示す証拠をこれ以上必要としているのか?」。反政府ブロガーで、活動家のエミリアーナ・ドゥアルテ氏はこう問いかけている。
By Andres Schipani in Caracas and John Paul Rathbone in London
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43034
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。