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転載する清華大学現代国際関係研究院院長閻学通氏の中国外交政策に関する談話に対し、「近隣の友情を「買う」中国」というタイトルを付けた日経新聞の編集幹部は、ピンぼけというか“悪意”に満ちていると言えるだろう。
読めばわかるが、日経新聞が付けたタイトルは、
「 自国より経済規模が小さな国とつきあうには一定の配慮が必要だ。たとえば自由貿易協定(FTA)を結び、中国の安い製品がなだれ込めば相手国は脅威に感じる。その場合、中国側の関税を撤廃しても、相手国の関税は残して構わない、といった配慮が必要だ。周辺国に経済の恩恵を与えなければならない。言葉は悪いが友情を「買う」のだ。」
の部分に由来していると言えるだろう。
閻学通氏は、ざっくばらんにわかりやすく約すために「友情を「買う」」と表現したのであり、その意味するところは、“大国”が“小国”と良好な外交関係を平和的に築くために必要で効果的な構えである。
閻学通氏の表現を敷衍すれば、日本に限らずほとんどの先進国が行っているODAや政府融資なども「友情を「買う」」行為なのである。
そのような部分をタイトルとして使われた閻学通氏は苦笑しているかもしれない。
閻学通氏は、「中国にとってアジアで最も重要な国は日本だ。日本が中国に友好姿勢を示してくれれば中国の国際環境は劇的に改善する。だが、残念ながら安倍晋三首相は中国との関係が悪い方が好都合と考えているようだ。日本との関係改善が無理ならば、中国はせめて関係悪化を防ぐべきだろう」と冷静で合理的な対日外交方針を示している。
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[グローバルオピニオン]近隣の友情を「買う」中国 清華大学現代国際関係研究院院長 閻学通氏
2014年11月、中国共産党・政府は8年ぶりに「中央外事工作会議」を開催した。これは外交政策を転換するときにだけ開く会議だ。習近平国家主席はケ小平氏の時代からの方針を変更した。従来は米国や欧州諸国を相手にする「大国外交」が主軸だった。新たな国際情勢下で習氏が最も力を入れるべきだと主張するのは、近隣国との関係を強める「周辺国外交」である。
ケ氏の最大の目標は国を豊かにすることだった。一方、習氏は「民族の復興」を果たし、国際社会の尊敬を集めることを目指している。2人のゴールは根本的に異なる。
経済発展に主眼を置くなら、外交でも「誰とつきあえばお金を稼げるか」と考える。投資を呼び込み、技術を取得するため米欧諸国をはじめとする「大国」を相手にした。
この政策はもはや通用しなくなった。胡錦濤前国家主席の時代の後半には、日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国といった周辺国との関係が悪化した。なぜか。12年の時点で、中国は世界の124カ国にとり最大の貿易相手国になった。いまや米国を除くすべての国が中国を経済規模で下回る。それなのに外交はケ路線のままで米欧にばかり目がいっていたのだ。
自国より経済規模が小さな国とつきあうには一定の配慮が必要だ。たとえば自由貿易協定(FTA)を結び、中国の安い製品がなだれ込めば相手国は脅威に感じる。その場合、中国側の関税を撤廃しても、相手国の関税は残して構わない、といった配慮が必要だ。周辺国に経済の恩恵を与えなければならない。言葉は悪いが友情を「買う」のだ。
なぜ近隣国の支持が必要になるのか。国際社会の規制やルールをつくるうえで、こうした国々の助けが必要になるためだ。かつては大国同士が天然資源を争ったが、いまは過剰生産の時代だ。モノをつくっても、市場が見つからない。これからはモノを売るための規制やルールを誰が設けるのかが重要になる。ルールは一国ではつくれないのだ。
中国にとってアジアで最も重要な国は日本だ。日本が中国に友好姿勢を示してくれれば中国の国際環境は劇的に改善する。だが、残念ながら安倍晋三首相は中国との関係が悪い方が好都合と考えているようだ。日本との関係改善が無理ならば、中国はせめて関係悪化を防ぐべきだろう。
中国が理想とすべきなのは唐の全盛期、貞観の治(627〜649年)と呼ばれた時代ではないだろうか。国内の調和がとれ、近隣国との関係は良好だった。唐に限らずエジプト、ローマ、英国といった帝国がいずれも永続しなかったのは改革が滞ったからだ。習氏の政策を評価しているが、それは様々な改革に力を入れているからだ。
(談)
Yan Xuetong 中国を代表する国際政治学者の1人。米カリフォルニア大学バークレー校政治学博士。2010年から現職。62歳。
[日経新聞2月23日朝刊P.4]
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