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「世界の首相」メルケル氏、眠れぬ夜はまだ続く  西側に対するプーチンの戦争
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/144.html
投稿者 eco 日時 2015 年 2 月 16 日 08:13:12: .WIEmPirTezGQ
 


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42927
「世界の首相」メルケル氏、眠れぬ夜はまだ続く
2015年02月16日(Mon) Financial Times
(2015年2月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ウクライナ和平めぐり独仏露の首脳が会談、共同文書作成で合意
アンゲラ・メルケル首相(左)は2月6日にはフランスのフランソワ・オランド大統領(右)とともにモスクワを訪れ、ウラジーミル・プーチン大統領と会談した〔AFPBB News〕

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が12日、ブリュッセルでの欧州連合(EU)サミットに到着した際、同氏の顔には、ウクライナ危機の解決を目指す驚異的な執念でこの1週間耐え抜いた眠れぬ夜の痕跡が現れていた。

 だが、目の周りの深い隈にもかかわらず、欧州最強の指導者にとって、休息を得られる見込みはなかった。

 ウクライナ問題を巡りミンスクで徹夜の協議を行ったわずか数時間後には、メルケル首相は、EUの27人の指導者――特に、ギリシャ救済を巡ってドイツと対立しているギリシャの急進派のアレクシス・チプラス新首相――との話し合いに備えて準備していた。

ラクダのような辛抱強さ、危機収束のために2万キロの旅

 「私にはラクダのような資質が備わっている」。60歳のメルケル氏は、ほかの人が疲労で倒れるような時にも前進し続ける自身の能力について、こう話したことがあった。

 ベルリン→キエフ→ベルリン→モスクワ→ミュンヘン→ベルリン→ワシントン→オタワ→ベルリン→ミンスク→ブリュッセルという訪問日程で約2万キロを移動したこの週は、その力を最後まで出し切る必要があった。

 その移動距離は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から合意を取り付けることの絶望的なまでの難しさを反映している。これだけの努力にもかかわらず、12日朝に結ばれた停戦合意は、昨年9月にミンスクで締結したが、一度も実施されなかった以前のものとほとんど違いがない。

 ブリュッセルに到着した際、メルケル氏は勝ち誇るというよりは冷静な態度で、「これはかすかな希望だ。今度は言葉に行動が伴わなくてはならない」と述べた。

 困難な問題に一歩ずつ取り組むのがメルケル氏の政治スタイルだ。ウクライナ危機に関しては、第1の目的はかねて戦闘を止めることであり、次に、停戦がさらなる協議や行動のために少し息をつく時間を作り出してくれると期待することだった。

 ドイツ政府当局者は、今回のミンスク合意の完全な実施は見込み薄かもしれないと認めつつも、双方が停戦以上のことを何もしない「凍結された紛争」ですら、莫大な外交努力に値すると考えている。

 今回の協議の発端は、プーチン氏が1カ月前にウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領に送った、和平会談を申し入れる書簡だった。メルケル氏はフランスのフランソワ・オランド大統領の支援を得て、特に戦略的要衝デバリツェボの周辺で戦闘が激化していることや、米国内で西側によるウクライナへの武器供与を求める声が高まっていることを考慮して、クレムリンのトップを引き込む価値があると判断した。

 シャトル外交の日々はようやくミンスク会談をもたらし、それとともに、ドイツ国内では根気強い首相に対する称賛をもたらした。「メルケル:世界の首相」。タブロイド紙ビルトはこんな見出しを掲げた。

行く手に待ち受ける巨大な挑戦

 だが、メルケル氏自身が言うように、行く手にはまだ巨大な挑戦が待ち受けている。第1に、戦いを止めるようプーチン氏に圧力を加え続ける必要がある。ただし、プーチン氏にプレッシャーをかけるメルケル首相の能力は限られている。

 次に、ロシアに対する経済制裁についてEUをまとめておく必要がある。エスカレートする戦闘は、短期的にそれを容易にした。ロシアによるクリミア併合を巡って個人と企業に科された罰則は、9月まで延長された。しかし、極めて重要な試練は、より幅広い経済制裁が見直される夏場にやって来る。

 それまでの間、ドイツは、ギリシャの救済策を修正する決意を固めているチプラス氏との交渉の最前線に立つ。ドイツは譲歩するよう圧力を受けている。だが、ドイツは、譲歩すれば、その影響はギリシャを超えて大きく広がり、事実上、ユーロ圏全体で急務である改革の取り組みを損なう恐れがあると考えている。

 つまり、欧州の爆発寸前の危機を抑え込もうとしているドイツの指導者は、もっと多くの眠れない夜を迎えるということだ。

By Stefan Wagstyl in Brussels

 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42922
西側に対するプーチンの戦争
2015年02月16日(Mon) The Economist
(英エコノミスト誌 2015年2月14日号)

ウクライナが苦しんでいる今こそ、ロシアの脅威の深刻さを認識し、それに立ち向かわなければならない。

プーチン氏、ロシア大統領に就任 4年ぶりの復帰
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News〕

 彼はその虚言癖を嘲笑され、世界の首脳たちの輪から締め出されている。彼の支配する経済は急速に縮み、通貨は急落している。

 国際的な制裁のせいで、権力に群がり私腹を肥やしていた彼の友人たちは、不正な手段で得た地中海の豪邸での休暇を楽しめなくなっている。

 15年前にロシアの大統領職を引き継いだ際に、ウラジーミル・プーチン氏が掲げたとされる目標――繁栄、法の支配、西への統合――からすると、彼を成功者と見なすのは、寒々しいほど滑稽に思えるかもしれない。

ウクライナだけではない

 だが、そうした目標は、仮にかつて本心から出ていたとしても、もはやプーチン氏の目指すものではない。

 本人の視点から世界を見れば、プーチン氏は勝利を収めつつある。彼を失脚させようとする敵方の策謀にもかかわらず、押しも押されもせぬロシアの支配者の座を守っている。ウクライナの喉元もしっかり握っている。その締めつけは、先日ミンスクで成立した危うい合意にも緩んでいない。

 プーチン氏の最優先事項は、威嚇と賄賂という常套手段でウクライナを手なずけることだったが、侵略には副次的な効果があった。まず、ロシアに服従しないとどうなるかを知らしめることができた。

 また、プーチン氏にすればウクライナ政府は欧米の操り人形に過ぎないため(ウクライナ国民の意思とされているものは、彼の超冷笑的な思考回路からすれば、欧米の陰謀を覆い隠すものにすぎない)、ウクライナの紛争は、ロシアの裏庭の真の支配者が誰かを明らかにするのに役立った。

 そして何よりも、敵の中に――欧州諸国の間、そして欧州と米国の間に――不和の種を播くことができた。

 プーチン氏の全般的な目標は、敵の同盟を分断して弱体化させ、安全保障に対する集団的アプローチを砕き、敵の前進を食い止めて押し戻すことにある。中東を巡る癇癪にしても、グルジア侵攻やウクライナの数々の災難にしても、プーチン氏は時に、包囲に対する被害妄想的な不安に駆り立てられるあまりに欧米との偶発的な衝突に陥ってしまったように見えることがあった。

 だが、今にして思えば、プーチン氏の世界観からすると、衝突は不可避だったのかもしれない。いずれにしても、プーチン氏の求める争いは、もはや避けられない。その争いは、不運なウクライナで始まったものではないし、そこで終わるものでもない。

 勝利を手にするためには、これまでに西側の指導者たちが奮い起こしてきたものよりもはるかに大きな決意が求められる。

クレムリンの求めるもの

ウクライナ東部で戦闘激化、和平交渉決裂
親ロシア派が掌握するウクライナ東部ドネツク郊外のマキイフカで、砲撃で破壊された車の横に立つ男性〔AFPBB News〕

 昨年、プーチン氏はクリミアを併合し、欧州の地図を力ずくで描き替えた。プーチン氏の幻想から現実になったウクライナ東部の戦闘は、数千人の死者を出している。

 合意に達した2月15日からの停戦が守られたとしても(過去の実績から見ると守られそうにない)、プーチン氏はウクライナで望むものをきっと手に入れるだろう。

 すなわち、ウクライナの発展を失速、偏向させるために利用できる、ウクライナ東部ドンバス地方の哀れな準国家である。

 だが、これらの侵略行為は、旧ソ連諸国を無理にでも服従させようとする企ての最新事例にすぎない。過去の企ては、エネルギーを盾にした脅迫であったり、禁輸であったり、戦争であったりもした。プーチン氏にとって唯一の良き隣国は、弱い隣国だ。隷属国のほうが同盟国よりも望ましい。

 プーチン氏の失地回復主義がこれで満たされたなどと考えるのは、あえて現実から目を反らそうとする者だけだ。遅かれ早かれ、これはバルト三国を取り囲むかもしれない。バルト三国は、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であり、プーチン氏が「保護する」と誓っているロシア系の少数派民族が暮らしている場所である。

 プーチン氏の最終的な標的はEUとNATOだ。プーチン氏にとって、西側の制度機構や価値観は軍隊よりも脅威となる。彼の望みは、そうした制度や価値観の広がりを食い止め、内側から腐らせ、せめて西側の脆弱な辺縁諸国でだけでも自身の統治モデルに取って代えることにある。

 プーチン氏の統治モデルでは、民族国家が同盟に勝り、国家はエリートに支配され、そのエリートはカネで買収することができる。この点でも、プーチン氏は一定の成功を収めている。

 フランスからギリシャ、ハンガリーに至るまでさまざまな欧州諸国で、プーチン氏は極右や極左の政党に接近している。EUの中でロシアのためになる活動をする可能性のある者なら、もっと言えば、EUを分裂に持っていくのに役立ちそうな者なら、誰でもいいのだ。

 最大の標的は、相互防衛に対するNATOのコミットメントだ。

 そうした取り決めへの信頼を傷つければ――例えば、エストニアやラトビアで親ロシア派の暴動を扇動し、他のNATO加盟国が暴動の鎮圧に協力するのを拒んだら、信頼は傷つく――、同盟は崩壊する。

 ロシア国内でのきつい締めつけのおかげで、プーチン氏には、そうした策略を実行するための時間も自由もある。すでに十分証明されているように、取り巻きの欲望を満たし、自らの地政学的な陰謀を押し進めるためなら、プーチン氏は何のためらいもなくロシア国民の幸福を犠牲にする。

 反抗する者がいれば、容赦なく迫害する。そして、プーチン氏のプロパガンダが作り出すエコー室の中では、国内の苦境を紛らわせるために広めた国家主義が幅を利かせている。

何をすべきか?

G7、ロシアでのG8不参加へ ウクライナ危機めぐり
G7首脳は2014年3月に緊急会議を開き、同年6月にロシアで開催予定だったG8首脳会議への参加中止を決め、事実上ロシアを追放した〔AFPBB News〕

 西側がまずすべきことは、問題を認識することだ。

 米国のバラク・オバマ大統領は、軽率にも、ロシアを扱いにくい地域大国の1つと見なし、帝国主義崩壊後の名残の発作を起こしがちではあるけれども基本的には衰退していく存在と考えてきた。

 ウクライナが戦火に包まれている状況にあって、西側諸国がまだ主要8カ国(G8)からロシアを追放するか否かを議論していたと知ったら、未来の歴史家は仰天することだろう。

 トロツキーの言葉をもじって言うなら、西側の指導者はプーチン氏に興味を持っていないかもしれないが、プーチン氏のほうは彼らに興味を持っているのだ。

 次のステップは、プーチン氏の猛攻撃に応じて、同じくらい柔軟な対応を練ることだ。

 問題の一端は、プーチン氏が西側とは異なるルールに従って行動していることだ。というより、実際、プーチン氏にとっては、破れないルールや普遍的な価値観などなく、確固たる事実さえも存在しない(マレーシア航空17便の撃墜犯が誰かということもその一例だ)。あるのは利害だけだ。

 プーチン氏のロシアは、外国大使に嫌がらせをしたり、批判者を暗殺したりする段階を卒業し、他国への侵略へと進んできた。これはプーチン氏の強みの1つだ。西側諸国が体面を傷つけなければ真似できないような手法を平気で使うことができるのだ。

問われる結束

 現在の悩みどころは、今回の停戦が失敗に終わった場合、ウクライナへの武器供与に踏み切るかどうかだ。

 武器供与の支持派は、防衛のための武器を提供すれば、プーチン氏が戦争を続けるコストは大きくなるはずだと主張している。だが、プーチン氏といえども大量の犠牲者を出すことは避けるだろうと考えている者がいるのなら、チェチェンの紛争を思い出すべきだ。

 本当に武力で抑えこもうとするのなら、西側は一致団結して、必然的にエスカレートするであろうプーチン氏に対抗し、さらに強力な兵器を(ひいてはそれを扱う兵士も)投入する覚悟を決めなければならない。だが、その点に関して西側の意見は割れている。

 プーチン氏は、この戦争を西側の挑発として描いている。ウクライナに武器を提供すれば、プーチン氏のその幻想が事実に近いものに変わるだろう。その一方で、プーチン氏は西側の団結の限界や決意の欠如を露見させることができる。プーチン氏にとっては願ってもない戦果だ。

 ロシアの新たな攻撃が刺激となって西側の団結が高まったなら、ウクライナへの武器支援はより強力な威嚇になるだろう。その段階に至らないうちは、裏目に出る可能性がある。

 それよりも良い戦略は、プーチン氏と同じ手法は使わず、その代わりに、相手が対抗できない強みに頼ることだろう。その強みとは、人々が切望する生活様式だ。

 そのようなものではプーチン氏の戦車に比べて頼りなく思えるなら、そもそもこの危機のきっかけが、EUへの接近を求めるウクライナ国民の欲求と、それを阻止しようとするプーチン氏の決意だったことを思い出してほしい。

差し迫った危機

 武器の供与よりも、西側が早急に与えなければならないのは、ウクライナが国家の基礎を固め、夢を実現するために必要な資金の支援だ(加えて、その資金の無駄遣いや盗用を防ぐための助言も必要だ)。2月12日に発表された国際通貨基金(IMF)の金融支援は、その手はじめにすぎない。

 プーチン氏はウクライナを、欧米に傾倒する危険を教える教訓にしたいと思っている。それを逆手にとって、ウクライナをその恩恵の見本にするべきだ。

「魂を担保にお金貸します」、不況のラトビアに新手の金融業者
クリミア、ウクライナ東部の次はバルト海諸国ではないかと懸念されている(写真はラトビアの首都リガ)〔AFPBB News〕

 同じくらい急を要するのが、西側の機関に加わっている旧ソ連諸国を支え、安心させることだ。

 ドンバス地方に武器を提供する論拠が疑わしいとしても、バルト三国へのNATO軍部隊の配備については、プーチン氏がどれほどうるさく騒いだところで、絶対的な論拠がある。

 欧米の指導者たちは、プーチン氏に対しても自国民に対しても、同盟国と同盟そのものを守ると明確に示さなければならない――たとえその闘争が目に付かない隠密なものであるとしてもだ。

 そして、西側の美徳を高く評価しているのは、同盟国だけではない。ロシア国民の多くも、その価値を認めている。欧米の退廃を非難しながら、欧米の学校や株式市場を利用している恥知らずなプーチン支持者も同様である。

 ロシアの国会議員と高級官吏の全員を制裁リストに加えるべき時は、とうに過ぎている。今回のミンスクでの首脳会談後に、ロシアの同調者が制裁の緩和を主張するかもしれないが、緩和どころか、制裁は強化しなければならない。さらに、制裁破りも抑えこむ必要がある。最終的には、それが武器よりも強力な手段となるだろう。

 同時に、西側諸国はとれる手段をすべて使って一般のロシア人や、バルト諸国やウクライナの親ロシア派の人々に、血とカネにまみれたプーチン氏の真実を教える必要がある。

 ロシアという偉大な国家は、恐ろしい道に引きずりこまれてしまった。だが、どれほど時間がかかろうとも、軽蔑ではなく敬意を持って世界や自国民と向き合う指導者を持ったときには、ロシアは世界に受け入れられるのだと、彼らに知らせなければならない。  

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コメント
 
01. Silverfox 2015年2月17日 00:07:27 : DiI5lSKh.N61A : Z28gxvkzxU
エコノミストの論評は英米の論理を余すところなく、かつ手際よく述べたということで、
典型的な分かりやすいサンプルとして評価できるだろう。
もちろん、突っ込みどころが満載であるが、とりあえず二点だけ指摘しておくと、

> だが、そうした目標は、仮にかつて本心から出ていたとしても、もはやプーチン氏の目
> 指すものではない。

目標とは「繁栄、法の支配、西への統合」を指しているのだが、西側との関係強化、ある
いは統合までをロシアが志向していた時に、ロシアを受け入れる気などさらさらなく、ロ
シアを仮想敵国とするNATOの拡大やウクライナの反露民族主義を焚きつける工作をした
のはどこか、ということがこの後の文章において見事に欠落している。

あと一点は、クリミア、ドンバス、バルト三国を強引に一まとめにしているが、これら三
地域は全く異なる歴史的背景を持っていることを、知ってか知らずか無視している。もし
も、知っていてわざと書いていないとすると、ミスリードを狙ったプロパガンダと言わざ
るを得ないだろう。


02. 2015年2月18日 09:39:59 : moOTmMb2uA
ウクライナとイスラム国の戦争を煽ってた野郎がドイツ当局にタイーホされたことと関係があるようですだって(@_@;)
http://www.asyura2.com/12/bd61/msg/717.html

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