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【2月12日 AFP】米国の人種差別に基づく暴力の歴史に関する新たな調査で、米南部では1877年から1950年までの間に4000人近い黒人が私刑(リンチ)によって殺されていたことが明らかになった。73年間にわたり1週間に平均1人以上が殺されていた計算になる。
調査を行ったアラバマ(Alabama)州の人権団体「公正な裁きのイニシアチブ(Equal Justice Initiative)」は、現代の人種差別や刑事司法における問題は、米国の暴力の過去に根差すものだと指摘している。
同団体の創設者ブライアン・スティーブンソン(Bryan Stevenson)氏はAFPに対し「ドイツならばホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺)の遺産に向き合うことを強いられるが、米国では逆だ。われわれは自分たちで真実と和解に取り組もうとせず、この遺産が引き起こしている結果に真剣に対処しようとしたことがない」と語った。
同団体が数年かけて行った調査の結果、1877~1950年に南部12州で私刑によって殺害された人数が、従来の調査結果よりも700人多い3959人であることが分かった。うち大半は1880~1940年の間に発生していた。
■「ピクニックしながらリンチを観賞」
またスティーブンソン氏によれば、私刑のうち20%は、驚くことに、選挙で選ばれた役人を含む数百人、または数千人の白人が見守る「公開行事」だった。「観衆」はピクニックをし、レモネードやウイスキーを飲みながら、犠牲者が拷問され、体の一部を切断されるのを眺め、遺体の各部が「手土産」として配られることもあったという。
例えば1904年にはミシシッピ(Mississippi)州ダッズビル(Doddsville)で、黒人男性ルーサー・ホルバート(Luther Holbert)が、白人の地主を殺害したとして、妻とされる黒人女性と一緒に数百人の前でリンチされた。2人は木に縛り付けられて指を切断され、暴漢たちはその指を配った。ホルバートは耳も切り落とされ、頭蓋骨が砕けるまで殴打された。さらに暴漢たちは大きなコルク栓抜きで2人の体に穴を開け、肉の塊を取り出したという。
「公正な裁きのイニシアチブ」によれば、犠牲者のうち数百人が、投票をしようとしたり、黒人の地位向上を訴えたりしたこと、さらには歩道で脇に寄らなかった、白人の女性にぶつかった、といったもっと些細な規則違反を理由に殺された。一方で同時代、黒人をリンチで殺害したかどで有罪となった白人は一人もいない。
「多くの人はこの時代について知識がない。100年足らず前の米国社会で人々がこうした蛮行に走っていたことを想像するのは、非常におぞましいことだ」とスティーブンソン氏は述べている。
一方、南部で常態化していた脅威から逃げるために、1910~1970年の間に600万人近いアフリカ系米国人が米北部や西部の都会のゲットーに流入した。
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■現在も黒人に偏る死刑判決
米国では現在も、逮捕、有罪、投獄、死刑の対象となるのは黒人に偏っている。米人口に黒人が占める割合は13%でしかないにもかかわらず、1976年以降、米国で刑が執行された死刑囚の34%が黒人で、現在収監されている死刑囚も42%近くが黒人だ。
スティーブンソン氏は過去のリンチと、現在の米国の刑事司法制度の問題、そして警官の手で殺されている人の中で圧倒的に黒人が多いこととの関連性を指摘。「リンチが死刑になり、投獄になっている。悪者扱い、犯罪者扱いが有色人種に偏っているのだ」と語る。
最近の米国で、武器を持たない黒人男性が、警官に殺害される事件が相次ぎ、そうした状況への抗議デモで「黒人の命は軽くない(Black Lives Matter)」というスローガンが叫ばれているが、問題の根は同じ歴史にあるとスティーブンソン氏は言う。
「米国人による米国人に対するテロリズムが広く実行されていた時代があったことを、多くの米国人は分かっていないと思う」(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3039348
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