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リアとヨルダン、 「イスラム」フィルターを外すと見えてくるもの 人口と食料生産で読み解く国家の姿
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投稿者 eco 日時 2015 年 2 月 09 日 16:20:38: .WIEmPirTezGQ
 

JBpress>海外>中東・アフリカ [中東・アフリカ]

シリアとヨルダン、 「イスラム」フィルターを外すと見えてくるもの

人口と食料生産で読み解く国家の姿

2015年02月09日(Mon) 川島 博之
 
ヨルダン国王、イスラム国に「厳しい対抗措置」宣言 操縦士殺害で

米首都ワシントンの連邦議会議事堂を訪問したヨルダンのアブドラ・ビン・フセイン国王(2015年2月3日撮影)〔AFPBB News

 日本人が人質になり身代金を要求された事件に伴い、これまで我々には関係がないと思っていた中東の国々に注目が集まっている。テレビや新聞で各種の情報が伝えられているが、ここではもう少し根本から中東で起きていることを考えてみるために、シリアとヨルダンの人口の趨勢と食料について解説したい。

 人口と食料はその国の社会のあり方を大きく規定する。人口の趨勢と食生活の水準が分かるとその国の様子をある程度知ることができる。この手法は、特に開発途上国について有効である。

人口が急増するシリアとヨルダン

隣接するシリアとヨルダン(Googleマップ)

 シリアとヨルダンでは人口が急増している。1961年のシリアの人口は470万人、ヨルダンは93万人。世田谷区の人口は約80万人だから、50年前のヨルダンは世田谷区のようなものだった。それが2015年にはシリアが2200万人、ヨルダンが770万人になった。シリアが4.7倍、ヨルダンは8.3倍である。これほど人口が増えれば、もめ事が増えるのは当然だろう。

 図1と図2に両国の人口ピラミッドを示す。両国共にきれいな三角形の形状をしており若者が多い。2015年の合計特殊出生率はシリアが3.0、ヨルダンが3.3だが、現在20歳から25歳になる人々が生れた頃の出生率はシリアが4.8、ヨルダンは5.1だった。つまり、両国の若者には兄弟が数人いることになる。

 それは戦前の日本に似たような状態であり、ちっと景気が低迷すると若者の失業が大きな問題に発展する。危険なのだ。

シリアでは国民の2割が農業に従事

 両国の食料について見てみよう。両国共に砂漠の国とのイメージがあるが、シリアは意外にも農業国である。後藤健二さんが拘束されていたと言われるラッカはユーフラテス川のほとりにある。その周辺は農業地帯だ。

 シリアの1960年代の穀物自給率は8割程度だったが、21世紀に入ると6割程度に低下している。ただ、これほど人口が急増したにもかかわらず、穀物を6割も自給していることは、ある意味で立派と言える。シリアは農業国であり、現在でも国民の約2割が農業に従事している。

 一方、ヨルダンの自給率は低い。1961年の時点でも50%であったが、その後に急速に低下し、21世紀に入ると数%でしかない。現在、ヨルダンは穀物をほとんど作っていない。パレスチナやシリア、イラクから難民が流入するとされるが、彼らが食べているのは輸入された穀物だ。

ヨルダンではなぜ内戦が起きないのか?

 両国の人々は主に鶏肉を食べている。昔は羊肉も食べていたが、草原での生産に限界があることから、人口が増えたために1人当たりの消費量は大きく減少した。

 1970年頃、両国共に1人当たりの肉消費量は10キログラム程度であった。それが、現在、ヨルダンの消費量は45キログラムぐらいになった。一方、シリアの消費量はその半分程度にとどまる。本来、農業国であるシリアの方が肉の生産量が多いはずだが、ヨルダンは飼料を輸入して大量に鶏肉を生産している。ヨルダンの肉消費量は日本と変わらない水準になっている。

 ヨルダンはリン鉱石や天然ガスを産する。それを輸出して外貨を稼ぎ、かつ巧みな外交によって西側諸国から援助を得ている。食料の輸入に困らない。

 人間の食べ物に対する欲求は基本的なものだ。腹が空けは怒りっぽくなる。一方、美味しいものを食べれば満足して温和になる。そのために、開発途上国の政情を考える時、肉の消費量はその国の政治を考える上で重要なファクターになる。

 人間は肉が好きだ。ヒンズー教徒が多いために、豊かになっても肉の消費量が増えないインドのような例もあるが、多くの国では所得が向上すると消費量が増える。肉消費量は開発途上国の生活水準をよく表している。

 アラブの春によって、シリアのアサド政権は内戦に引きずり込まれることになったが、それは生活水準がなかなか改善されなかったからだろう。一方、ヨルダンのアブドラ国王は危機が叫ばれながらも、なんとか政権を維持している。それは、肉の消費量が順調に増加したことに見られるように、生活水準が改善したためと考えられる。ヨルダンの人々に不満がないわけではないが、シリアよりはよいと思っているのだろう。

国家ではなく部族を信頼

 アラビア半島に住む人は放牧によって食料を得てきた。チグリス・ユーフラテス川沿いでは小麦も作られて来たが、降雨量が少ないためにその流域の多くは草原である。多くの人が放牧に従事してきた。ベトウィンはその典型だ。

 遊牧を行う人は同じ部族の人間しか信じない。それは、放牧は少人数で行うものであり、草地の利用権を他の部族と争うためだ。彼らは、国境を越えてどこへでも行く。そもそも、アラビア半島の国境は第1次世界大戦の後にイギリスとフランスが勝手に決めたものだ。

 遊牧を行う人々は国家にはとらわれない。部族社会を形成する。そして、遊牧で養える人口は少なかったから、シリアもヨルダンも50年前の人口は少なかった。それ化学肥料が使用されるようになって穀物生産量が増加すると、余った穀物が貿易を通じて砂漠の国にも流入した。それが人口を増加させた。

 食料を輸入できるようになると、人々は遊牧を止めて都市で暮らし始めた。しかし、都市で暮らしても遊牧時代の記憶はなくならない。人々は国家ではなく、部族を信頼している。シリアもヨルダンもその実態は部族連合国家である。

 そのような国を統治するためには、強力な独裁者が必要になる。イラクのサダムフセイン、シリアのアサドはまさにそのような人物だった。ヨルダンの王家は人口が少なかったために彼らほどの独裁的な政治を行う必要はなく、部族間の力関係を調節する巧みに操縦することでなんとか国家を維持してきた。それが欧米に好感をもたれたのだろう。ヨルダンは西側について援助を引出して、それなりに発展することに成功した。

日本とはまったく異なる文化と人口構造

 シリアもヨルダンも人口が急増している。そして部族国家である。このことを忘れてはいけない。両国はコメ作りに文化の基礎を置く日本とは、最も離れた国と言ってよい。

 そして、若者が多すぎることに悩んでいる。少子化に悩む日本とは異なる。それを忘れて自分の物差しで測ると、大きな間違いを犯すことになる。今回の事件は日本人にいろいろなことを教えてくれている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42853  

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コメント
 
01. 2015年2月09日 21:31:18 : jXbiWWJBCA

焦点:シリアで「イスラム国」の勢いに陰り、壊滅には遠い道のり
2015年 02月 9日 18:04 JST
[ベイルート 6日 ロイター] - 過激派組織「イスラム国(ISIL・ISIS)」は最近、実行支配していたシリア北部の町アインアルアラブ(クルド名:コバニ)で劣勢に転じるなど、組織のほころびが見え始めている。ただ、壊滅するまでには程遠いようだ。

非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」によると、米軍が主導する空爆の支援を受けたクルド人部隊は、コバニをめぐる約4カ月に及ぶイスラム国との戦闘に勝利。この攻防でイスラム国は約2000人の戦闘員を失ったとみられる。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LD0RW20150209

その他の比較的目立たない地域でも、イスラム国はシリア政府軍やクルド人部隊に押されている。同組織と交戦した側は、イスラム国に内部分裂の兆しが見え始めていると指摘。また、イスラム国が戦闘員を強制徴兵しているという報告は、シリアとイラクで戦闘を繰り広げる同組織が要員不足に陥っている可能性を示している。

しかし、シリア国内でイスラム国の形勢が決定的に不利になるには、まだ長い道のりがある。同組織はシリアでの拠点とするラッカ県とイラク国内の支配地域では、依然として確固たる支配を握っている。

スンニ派主体の地域ではイスラム国は敵対勢力を一掃し、その支配を脅かす存在はいない。

コバニでの敗北を受け、イスラム国はシリアで新たな拠点を築こうと動くかもしれない。またヨルダン軍パイロットの焼殺映像を公開し、心理戦の能力も備えていることを十分に見せつけた。

とはいえ、コバニでの敗北は、昨年6月にイラクの都市モスルを制圧してから勢力を拡大し続けてきたイスラム国にとって、初めての大きな後退となった。

米国主導の有志連合で広報を務める米軍のトーマス・ギレラン中佐は、イスラム国がコバニで非常に高い代償を払ったと指摘。「確かにコバニを除けば、シリアの多くの地域でISILとの地上戦は手つかずだ。しかし、シリア政府軍やクルド人部隊のほか、その他の敵対勢力の攻勢にさらされている地域も複数ある」とロイターに語った。

さらに、イスラム国は支配地域から産出される原油を売ることで資金の一部を得ていたが、世界的な原油安で資金面でも打撃を受けているとみられる。

<劣勢で守りに>

シリア人権監視団の報告によれば、イスラム国はコバニ以外にも最近、デリゾール県の空軍基地近くでの重要な戦闘でシリア政府軍に敗れた。

また同監視団とクルド人当局者は、イラク国境に面するシリア北東部ハサカ県でも、イスラム国は劣勢にあるとしている。

国営シリア・アラブ通信(SANA)は6日、シリア政府軍が16の村を奪還し、多数のイスラム国戦闘員を殺害したと伝えた。

クルド人部隊のナシール・ハジ・マンスール氏は、イスラム国は守勢に回っており、過去1カ月での攻撃には著しい混乱がみられると指摘。「力のすべてを失ったことを意味するわけではないが、以前ほどの凶暴性は見られない」と、スカイプを通して語った。

コバニには戦略的な重要性は乏しかったが、各国メディアが当地での戦闘をトルコ国境から大々的に報道し、シリアでの戦いにおける焦点となった。

一方、イスラム国の戦闘員2人はスカイプを通じ、コバニ撤退は戦術的なものだと語った。

イスラム国はイラクではより大きな圧力にさらされている。モスルやアンバール県の大半は依然として支配下に置いているものの、その他の地域ではクルド人自治政府の治安部隊「ペシュメルガ」が相当な範囲の土地を奪還している。

米国主導の空爆は、ハサカなどの標的のほか、シリアからイラクへと移動するイスラム国戦闘員などを攻撃。また、ヨルダンは5日、シリアのイスラム国支配地域を空爆し、自国軍パイロット殺害への報復の序章にすぎないとした。

もっとも、専門家らの間では、イスラム国を掃討するには地上部隊の投入が必要との見方が多い。

ラッカとイラクの間に位置するデリゾールでは、イスラム国が支配を強めるているという情報もある。

しかし、小規模な組織がイスラム国に奇襲攻撃を仕掛けるなど、一部で抵抗勢力も台頭し始めている。

シリア政府軍も主要な空軍基地を依然支配している。同軍は最近、民兵組織の支援も受け、基地周辺の地域もイスラム国から奪還した。

<強制的に徴兵>

デリゾールでの最近の戦闘に参加したという人物によれば、イスラム国戦闘員の少なくとも6人が自爆攻撃を行ったが、そのどれもが無意味な行為であり、指揮系統が失われていたと語る。それを敵陣は「困惑しながらも、面白がって見ていた」という。

一方、シリア人権監視団などの話では、イスラム国はデリゾールで強制的な徴兵を行っていた。同監視団を率いるラミ・アブドゥルラーマン氏は「要因不足の表れ」だと指摘した。

シリアでの戦いの行方は、イラクでも同様だが、イスラム国の支配が最も強固なスンニ派地域で撃退できるかにかかっている。

この目的を達成するため、米国はシリアの主要な反政府勢力への武器供与と訓練の提供を計画している。ただ、戦闘要員の採用もまだ手つかずであり、実際の運用方法をめぐっても多くの疑問が浮上している。聖戦主義者ではない反政府勢力は、シリアでの戦闘に関わる当事者のなかで最も弱い組織と言える。

米国政府はアサド政権と協力するという考えは避けている。クルド人組織「民主統一党(PYD)」の軍事部門である人民防衛隊(YPG)は、イスラム国との戦いにおいてすでに米国のパートナーとなっており、勇猛果敢な戦いを見せている。しかし、クルド人地域以外で同じような働きを期待するのは難しいだろう。

西側上級外交官の1人は、最近のイスラム国の後退は誇張されるべきではないとしたうえで、「勢いのあったISISの時代が終わったことに疑いの余地はない」と述べた。

スンニ派地域でイスラム国が再編成する可能性もある。別の外交官は、「現在のイスラム国は守勢に立たされ、統制がとれていないが、再び団結し勢力を盛り返すことは可能だろう」と語った。

(Tom Perry記者、Mariam Karouny記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)


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