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36年ぶりに爆発的な噴火が発生した熊本の阿蘇山 (c)朝日新聞社
阿蘇噴火から関東大地震へ!? 「中央構造線」を警戒せよ〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161018-00000212-sasahi-soci
週刊朝日 2016年10月28日号
4月の大地震の余震が続く熊本の阿蘇山で10月8日未明、36年ぶりに爆発的噴火が起こった。列島の地下深く、どんな事態が進行しているのだろうか。地球物理学(地震学)の専門家、島村英紀・武蔵野学院大学特任教授はこう警告する。
「いま熊本で起きていることは、現代の日本人が初めて体験する現象なのです。今後、連動的に大きな地震が起きる可能性がある」
阿蘇山の噴煙の高さは実に1万1千メートルに達した。
島村氏はこう話す。
「震源となった熊本地方から阿蘇山の真下には、日本最長にして最大の活断層である中央構造線が走っています。熊本地震がこの中央構造線を刺激して、阿蘇山の噴火に影響した可能性があります。実際に大分や熊本市から南西の八代市など、この構造線に沿って震源が移動しています」
九州における中央構造線の存在には諸説あるが、島村氏は鹿児島付近から始まり、熊本、大分を経て四国北部、紀伊半島から長野まで達する説を取る。鹿児島の川内原発、愛媛の伊方原発近くもかすめる。
地震には、海域の大陸プレートと海洋プレートの境界で起きる「海溝型」と、内陸部の活断層の歪みで発生する「内陸直下型」がある。東日本大震災は前者で、阪神・淡路大震災や熊本地震は後者に当たる。
「日本には毛細血管のような活断層が2千余りあることがわかっていますが、実際には3倍の6千くらいあると見られています。熊本も阪神・淡路と同じマグニチュード(M)7.3ですが、熊本のほうが余震が長く続いているのは、大動脈たる中央構造線が活動を始めたと考えられるからです」
島村氏によれば、中央構造線の影響で起きたと考えられる地震は、いまからおよそ400年前の慶長時代にまでさかのぼるという。1596年9月上旬に伊予、豊後、伏見でM7クラスの地震が相次いだ「慶長の連動地震」と呼ばれるもので、広範囲に被害を出した。今後、中央構造線に沿って同様の大地震が起こるのか。
「関東地方は厚い堆積物のため、見えない活断層がたくさんあると考えられています。実は、中央構造線も長野からさらに首都圏にまで達しているかもしれないと指摘されているのです」
中央構造線は導火線のごとく西端の熊本で火花を散らせ、やがては関東大地震を引き起こすのか。脅威はそればかりではない。首都圏周辺の地下は、太平洋・北米・ユーラシア・フィリピン海の四つのプレートが潜り込んでいる、世界でも例がない地域だ。
「このため通常は太平洋沖などでしか発生しない海溝型の地震が、内陸で起きてきたのです。1923年の関東大震災や、1703年の元禄関東大地震も海溝型地震と考えられます」
島村氏はこう指摘する。
「いままでが静かすぎたのです。関東大震災から90年以上が経過しましたが、首都圏で震度5以上を計測したのは、数えるほどしかありません。うち2回は伊豆大島近海と東日本大震災です。江戸時代はずっと多かったのです」
いつ地震の活発期に入っても不思議はないのだ。
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