http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/590.html
Tweet |
首都直下地震による全壊・火災危険度(2013年12月に、中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループが発表した、「首都直下地震の被害想定の対策について(最終報告)」から。都心南部直下地震、冬夕、風速8m/sのとき)
首都直下地震 死者最大2万3千人の7割は火災が原因と予測〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160830-00000070-sasahi-soci
AERA 2016年9月5日号
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震……。数々の大震災に続き、危機が迫っているのが首都直下地震だ。過度な人口密集地域であり、大量の帰宅困難者も予想される。東京だからこそ被害が拡大する恐れがある。
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が、「30年以内に70%程度の確率で発生する」と予測するマグニチュード(M)7級の首都直下地震。中央防災会議は、都心南部が震源となる最悪の場合は、首都圏全体で最大2万3千人が亡くなり、その約7割は火災によると予測している。
阪神・淡路大震災の死者の約8割が家屋の倒壊や倒れた家具などの下敷きによる圧死、東日本大震災の死者の9割が津波による溺死だったことと比べると、火災による死者が突出している。
歴史上例にない人口過密地域で起こる首都直下地震。それがもたらす最大の災禍は「火災」であり、逆に言えば火災を減らすことができれば、被害は大幅に抑えられる。
関東大震災(1923年)で最も死者の多かった東京都墨田区は、全169町会・自治会にスタンドパイプと呼ばれる消火器具を2013年度から配備し始めた。消火栓にこのパイプを差し込み、消防用ホースをつなぐ。同時多発する火災や倒壊建物に道をふさがれて消防車がすぐに到着できないとき、地域住民による初期消火に使ってもらう。
これまで使われていた小型消防ポンプに比べて軽くて操作も簡単で、女性や高齢者でも取り扱いやすい。都は水道局と協力して、通常は水道工事に使う「排水栓」にもスタンドパイプが接続できるようにし、細い路地の奥などでも使えるようにした。
都では、スタンドパイプをうまく活用すれば、地震で断水して消火栓がある程度使えなくなったとしても、都全体では延焼面積を約109ヘクタール減らし、死者を337人少なくできると試算している。
●関東大震災から学ぶ
昨年4月、東京消防庁は地震時における消防署別の火災被害推計をまとめている。墨田区北部を管轄に持つ向島消防署は、予想出火件数は26件。死者は全81署のうち本田署(葛飾区)についで2番目に多い403人、延焼面積はワースト4位。「出火件数は多く、鎮圧数はやや少ない。そのため、延焼面積が非常に大きい。90分後までの焼け止まり率も低く、延焼が広がりやすい」と評価された。超高齢化に伴い自力で避難が難しい人の犠牲が今後増えるとも予測された。
この墨田区に代表されるように、木造住宅が密集する住宅地でかつ高齢化も進む地域は、都内の各地にある。杉並区や世田谷区など、西部の環状7号線と8号線の間を中心とする地域や、東部の荒川沿いの地域で、火災などで住宅が全壊する危険性が高い。これらの地域では、住民の協力なしでは、火災被害を減らすことは不可能なのだ。
関東大震災では、旧東京市だけでも約130カ所から出火し46時間にわたって燃え続けた。死者・行方不明者約10万5千人のうち約9割は火災が原因だった。「関東大震災からもっと学ぶべきだ」と、名古屋大学の武村雅之教授は言う。
たとえば避難のあり方だ。
墨田区の旧陸軍被服廠跡では火災で約3万8千人が亡くなった。一方、約6万人の人が逃げ込んでいた横浜市の横浜公園では、被服廠跡と同じように四方を火災に囲まれ火災旋風にも襲われたが、亡くなった人は少なかった。
被服廠跡は、避難者たちが持ち込んだ家財道具が山積みで、これらや避難者自身の衣服に着火し、急速に延焼を引き起こした可能性が指摘されている。横浜公園は震源に近く、建物の全壊が多くて火の回りが早かったため、家財道具を持ち出す余裕がなかった。災害時に大八車で家財道具を持ち出すことは江戸時代に何度も禁じられていたのに、被服廠跡では教訓が生かされず、被害が拡大した。
●規模に比して被害拡大
ただ、東京の状況は関東大震災当時から様変わりしている。東京23区の人口は3倍以上に増えた。火災危険度の高い木造住宅密集地域は戦後に急激に増え、JR山手線外周を中心に160平方キロ、関東大震災の延焼面積の4倍以上もある。
関東大震災の当時、自動車は全国で1万数千台。今や23区の登録台数だけで200万台を超えている。渋滞で道路をふさぐ自動車や、避難のために道路にあふれかえる人は、消火活動を妨げ延焼を広げる可能性がある。
起こる確率が高いと考えられているM7級の首都直下地震は、東日本大震災の時よりエネルギーは1千分の1程度、関東大震災の30分の1程度のものにすぎない。しかし人口が密集する首都圏の、都合の悪い場所で断層がずれ動けば、大きな被害をもたらす。地震の規模に比して、被害が大きくなることが予想される首都直下地震。私たちは賢明に被害を減らせるだろうか。(ジャーナリスト・添田孝史)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。