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【12月2日 AFP】干ばつ、暴風雨、洪水などの悪化から氷床融解、海面上昇まで、未来の世代が直面する数多くの終末論的シナリオの引き金となっている地球温暖化──。しかし、1日に発表された最新の研究では、温暖化の規模が拡大すると、最終的には地球から酸素が奪われるという、恐怖のシナリオも起こり得ることが指摘された。
研究は、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)が、仏パリ(Paris)で始まった直後に発表された。
英レスター大学(University of Leicester)の研究チームは「今回の研究で、地球温暖化が招く可能性のある結果をまた一つ特定した。この結果は、他の全てより危険性が高い可能性がある」としている。
米査読学術誌「ブレティン・オブ・マスマティカル・バイオロジー(Bulletin of Mathematical Biology)」に発表された今回の研究は、植物プランクトンのコンピューターモデルに基づくものだ。微小な海洋性植物の植物プランクトンは、大気中の酸素の約3分の2を生成している。
研究チームは、地球平均気温の上昇幅6度がしきい値になるとしながら、「水中と大気中で酸素欠乏が起こると思われる」と指摘。「万一そうなれば、地球上の生命の大半が死滅するのは明白だろう」と続けた。植物プランクトンの重要な酸素生成能力は水温に左右されるため、気温上昇が6度を超えると、この能力が損なわれるというのだ。
6度の気温上昇は大方の予測を超えているが、国際エネルギー機関(IEA)は、これまでにも、温室効果ガス排出量の上昇を反転させるための措置を何も講じなければ、それも起こり得ると警告を発していた。
もし気温上昇幅が6度に到達することがあれば、それは二酸化炭素(CO2)の排出が非常に長期間にわたって野放しの状態になっているか、もしくは、永久凍土層の融解によるメタンガス放出などの、温暖化を一挙に加速させる事象が原因となる可能性が高いと、多くの科学者らは口をそろえる。
■「脱酸素化」のリスク
仏ルブルジェ(Le Bourget)のCOP21の会場でUNFCCCの協議を進めている国連加盟国は、地球全体の気温上昇幅を産業革命以前の水準から2度未満に抑えるという目標を掲げている。しかし、英気象庁は先月、2015年がこの中間点となる1度を上回るとの見通しを発表したばかりだ。
気候問題の権威とみられている国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、温室ガス排出の動向が最悪事態のシナリオをたどった場合、地球の気温は今世紀中に4.8度上昇する可能性があるという。
論文共同執筆者のセルゲイ・ペトロフスキー(Sergei Petrovskii)氏は、AFPの取材に「今回の研究が伝えていることは、地球温暖化の結果として、われわれに近づいている大惨事がもう一つ存在する可能性があること、そしてそれは、これまでに特定された他の全ての結果よりはるかに悪いものである可能性があることだ」と述べている。
電子メールで取材に応じたペトロフスキー氏は「この大惨事が実際に起きるまでには、危険な状態を知らせる兆候がほぼ皆無かもしれないが、臨界しきい値の6度をひとたび超えると、破滅的状況が急速に展開するだろう」と説明した。研究チームは、温暖化の海洋への影響に関するこれまでの研究では、海面上昇と生物種の消失に重点が置かれていたと指摘する。
ただ今回の研究は、観測調査結果ではなく、数理モデルに基づくものであるため、海洋大循環といった結果に影響するであろう特定の自然作用が因子として含まれていない。このことは論文執筆者らも認めている。
それでも、CO2の排出を野放しにすることで、最終的には「脱酸素化」も無視できないリスクとなると研究チームは指摘する。論文には「その危険性は、水没より現実味を帯びているだろう」と記されている。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3068775?pid=0
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