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東京オリンピックを直撃? 大地震の「9年サイクル」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151028-00016522-president-bus_all
プレジデント 10月28日(水)12時15分配信
1995年 明石海峡を震源とする阪神・淡路大震災が発生
■今は9世紀以来の大地動乱の時代
2014年9月に御嶽山が噴火し、戦後最大の火山災害を引き起こした。また、同年11月には長野県で震度6弱の直下型地震が発生した。
わが国は地震国・火山国であり、世界で起きるマグニチュード(Mと略記)6以上の地震の2割が日本で発生する。陸地面積でいうと世界の400分の1にしかすぎない日本列島には、世界の活火山の7%がひしめく。
歴史を振り返ると、阪神・淡路大震災以前にわが国で100人以上の死者・行方不明者を出した地震と津波の記録は、年表の通り。過去に起きた地震、津波、火山噴火といった自然災害は、すべてプレートと呼ばれる地下にある厚い岩盤の動きによって発生した。プレート運動を解析すると、将来の災害を見通すことが可能である。
▼多数の死者・行方不明者を出した地震
【1891年10.28】岐阜県を震源とする濃尾地震が発生(死者7,273名、M8.0)。
【1896年6.15】三陸沖を震源とする明治三陸地震が発生(死者2万1,959名、M8.2)。
【1923年9.1】相模湾を震源とする関東大震災が発生(死者・行方不明者約10万5000名、M7.9)。→日本災害史上最大級の被害
【1933年3.3】三陸海岸の東方200kmを震源とする昭和三陸地震が発生(死者・行方不明者3,064名、M8.1)。
【1944年12.7】紀伊半島南東沖を震源とする昭和東南海地震が発生(死者・行方不明者1,223名、M7.9)。
【1946年12.21】和歌山県潮岬南南西沖を震源とする昭和南海地震が発生(死者1,330名、M8.0)。
【1948年6.28】福井県を震源とする福井地震が発生(死者3,769名、M7.1)。
【1995年1.17】明石海峡を震源とする阪神・淡路大震災が発生(死者・行方不明者6,437名、M7.3)。
【2011年3.11】三陸沖を震源とする東日本大震災が発生(死者・行方不明者1万9000余名、M9.0)。→地殻変動が発生し、大地動乱の時代へ
予想される震源域と過去の巨大地震
最近頻繁に起きている噴火と地震は、東日本大震災(いわゆる「3.11」)が誘発したものである。日本列島は「3.11」によって地殻変動が活性化し、9世紀以来という「大地動乱の時代」に入った。その結果、今後20〜30年のスパンで、さらなる地震と噴火に見舞われるだろう。
一番懸念される災害は、巨大津波を伴う巨大地震、すなわち西日本の太平洋沿岸を襲う「南海トラフ巨大地震」である。予想される震源域は、「南海トラフ」と呼ばれる海底の凹地に沿った3つの区間に分かれている(図)。これらは東海地震・東南海地震・南海地震にそれぞれ対応し、首都圏から九州までの広域に甚大な被害を与えるのだ。
歴史を遡ると、南海トラフ沿いの巨大地震の発生は、90〜150年おきという周期性がある。約100年の間隔で起きる巨大地震の中で、3回に1回は超弩級の地震が発生。その例として、1707年の宝永地震と1361年の正平地震が知られている。
実は、次回南海トラフで起きる巨大地震は、この3回に1回の時期に当たる。すなわち、東海・東南海・南海の3つが同時発生する「連動型地震」という最悪のシナリオである。
ここで連動型地震の起き方について、過去の事例を見てみる。前回は昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(1946年)が、2年の時間差で発生した。また、前々回の1854(安政元)年には、安政東南海地震と安政南海地震が、32時間の時間差で活動した。さらに3回前の1707(宝永4)年では、3つの震源域が数十秒のうちに活動した。なお、過去にこうした3つの地震が、名古屋沖の東南海地震→静岡沖の東海地震→四国沖の南海地震、という順番で起きたこともわかっている。
■被災地域は産業・経済の中心地
現在の地震学では、南海トラフ巨大地震で起こりうる災害を定量的に予測している。国が行った被害想定では、「3.11」を超えるM9.1、また海岸を襲う最大の津波の最大高は34メートルに達する。南海トラフは西日本の海岸に近いので、1番早いところでは2分後に巨大津波が海岸を襲う。
地震災害としては、九州から関東までの広い範囲に震度6弱以上の大揺れをもたらす。特に、震度7を被る地域は、10県にまたがる総計151市区町村に及ぶ。その結果、犠牲者の総数32万人、全壊する建物238万棟、津波によって浸水する面積は約1000平方キロメートル、と予想される。
南海トラフ巨大地震が太平洋ベルト地帯を直撃することは確実で、被災地域が産業・経済の中心地にあることを考えると、東日本大震災よりも1桁大きい災害になる可能性が高い。すなわち、人口の半分近い6000万人が深刻な影響を受ける「西日本大震災」だ。
経済的な被害総額に関しては220兆円を超えると試算されている。たとえば、東日本大震災の被害総額の試算は20兆円ほどだが、西日本大震災の被害予想はその10倍以上になる。
南海トラフ巨大地震の起きる時期を、年月日レベルで正確に予測することは、今の技術では不可能だが、古地震やシミュレーションのデータから、西暦2030年代に起きるだろう(拙著『生き抜くための地震学』を参照)。
■9年後とさらに9年後に起きた
地球科学には「過去は未来を解く鍵」というフレーズがある。過去の現象をくわしく解析することで、確度の高い将来予測を行う。9世紀の日本で何が起きたかを見ていこう。東日本大震災は、西暦869年に東北地方で起きた貞観地震と酷似している。たとえば、1960年以降に日本で起きた地震の発生場所は、9世紀のそれらとよく合う。しかも、貞観地震が起きた9年後の878年には、首都圏に近い関東中央で大地震が起きた。これは相模・武蔵地震(関東諸国大地震)と呼ばれているが、M7.4の直下型地震だった。
さらに、この地震の9年後には、東海・東南海・南海の連動型地震が発生している。887年に起きた仁和地震だが、東日本大震災と同じM9クラスの巨大地震で大津波を伴っていた。
「9年後」と「さらに9年後」に起きた地震の事例を、21世紀に当てはめてみる。「3.11」が起きた2011年の9年後に当たる2020年には、東京オリンピックが開催される。その頃に首都圏に近い関東中央で直下型地震が起き、さらに9年後の2029年過ぎに南海トラフ巨大地震が起こる計算になる(もちろん、この通りに地震が起きるわけではないが)。
「3.11」以降の日本列島は、1000年ぶりの大変動期に突入した。2030年代に起きるとされる南海トラフ巨大地震は、発生の時期が科学的に予想できるほとんど唯一の地震だ。巨大災害に向けて準備を始めてほしい。
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京都大学大学院 人間・環境学研究科教授
鎌田浩毅(かまた・ひろき)
1955年生まれ。東京大学理学部卒業。通産省を経て97年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は火山学・地球科学。著書に『富士山噴火』『火山噴火』ほか。
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