http://www.asyura2.com/15/health17/msg/896.html
Tweet |
サンマ(撮影=筆者)
1匹3千円に高騰…サンマ、食べないとキレやすくなる?日本人の知能が高い原因は大量の魚食?
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16660.html
2016.09.16 文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ グループリーダー Business Journal
今年のサンマの卸値は、なんと昨年の3倍で、東京・築地市場の初サンマは1匹3300円の値を付けたそうです。最近はすっかり、高級魚の仲間入りをした感のあるサンマ。「こんなことなら、安い時代にたくさん食べておけばよかった」と思っておられる左党(お酒好き)の方も多いはず。今回は、サンマに含まれるすごい化学物質のお話をします。
まずは、どうしてこんなにサンマが高くなったのかについて見てみましょう。サンマの漁場と海水の表面温度の間には、密接な関係があります。もともと、日本近海で豊富に獲れていたサンマですが、地球環境の変化に伴う海水温度の上昇により、年々日本からサンマの群れが遠ざかっているようです。
北極海から千島列島に沿って、冷たく栄養豊富な海水を運んでくる親潮が、今年は例年よりもかなり北の海域で、南から上昇してきた黒潮とぶつかってしまい、親潮が南下できなくなって東に逃げてしまいました。かつてはいい漁場だった北海道・釧路沖の海水温度がお盆をすぎても下がらず、冷たい海水を好むサンマが日本にそっぽを向いている状態にあります。
有名な古典落語「目黒のさんま」には、お殿様と家来との次のようなやりとりがあります。
「このサンマ、いずれより取り寄せたのじゃ?」
「日本橋魚河岸にございます」
「あっ、それはいかん。サンマは目黒にかぎる」
この落語に登場するお殿様は、サンマを見たことも食べたこともありませんでした。ひょんなことから生まれて初めて目黒でサンマを食べて、そのおいしさに感動し、それ以来、市場があって新鮮な魚が手に入る日本橋よりも、内陸の目黒のサンマがいいと思い込んでしまった、というのがオチです。
この落語からわかる通り、江戸時代にはサンマは下魚とされ、お金のない庶民の食べ物でしたので、隔世の感があります。
お殿様は食べなかったサンマですが、栄養の観点から見ると、非常に優れた食品です。特に、健康上注目に値するのはドコサヘキサエン酸(DHA)などの多価不飽和脂肪酸です。
ドコサヘキサエン酸の構造式
脂肪酸は細胞膜の成分ですが、脳の神経細胞は、その他の臓器細胞に比べて細胞膜成分が非常に多いのが特徴です。したがって、DHAは特に脳において、細胞を形成し、脳の成長と健全性の維持に重要な役目を担っています。それほど重要であるにもかかわらず、人間はDHAを体内でつくり出すことがほぼできないため、必要な量を食品から摂取する必要があります。
DHAは、サンマに代表される青魚に多く含まれています。イギリスの研究者らが、「日本人の子供の知能指数が高いのは、魚を大量に食べるためである」という発表を1980年代に行ったことがあり、それがきっかけでDHAが国内外で注目を集め、DHAサプリブームが起きました。
■青魚のDHAでストレスに強くなる?
DHAの機能として、最近特に注目を集めているのが“キレ予防”ともいわれる作用です。
近年は、大人も子供もさまざまなストレスにさらされ、キレやすい子供たちや駅員に暴力を振るう中年男性などが増加しています。富山大学が「DHAをたくさん摂取した大学生の行動が、どのように変化するのか」を観察する実験を行いました。
普段はあまり青魚などのDHAを豊富に含む食品を食べない約20人の学生に、毎日1.5グラム程度(サンマの刺身100グラム分)のDHAを、カプセルで3カ月摂取してもらいました。
この実験は、あえて進級試験の直前、つまり非常に大きなストレスを抱えている状況で実施されました。一般的に、ストレスがかかった状態にある人は、攻撃性が高まります。
DHAを摂取していない比較対象の学生は、試験直前になるとささいな出来事に対して攻撃性の高まりが観察されましたが、DHAを3カ月摂取した学生は、試験直前であってもまるで試験のストレスが存在しないかのように、無意識に心の平静を保っていることがわかりました。これは、DHAにストレスを緩和する作用があることを示しています。
DHAを毎日飲ませた豚の脳内には、セロトニンという化学物質が増加することが確認されています。セロトニンは、脳のなかで情報を伝達する役目をする物質です。セロトニンが関わっている神経細胞の活動が低下すると、うつ病を発症したり、自殺願望が引き起こされたり、攻撃性が高まったりすることがわかっています。
DHAを摂取すると、脳内のセロトニン濃度が上昇することによってセロトニン神経細胞が活性化し、前述のような負の精神状態に陥ることが防止されるのではないかと推測されています。
DHAは魚油に豊富に含まれているので、魚を積極的に摂取していた日本人は、もともとDHAを十分に摂取していました。ところが、近年の肉食偏重やダイエット志向によって脂っこい魚が敬遠される風潮があることから、日本人においてもDHA摂取量の減少が推測されています。先の富山大学の実験に参加した学生のDHA摂取量は、一般的な日本人の3分の1しかなかったそうです。
「仕事のストレスがひどい」「会社に行きたくない、うつ病かも」。そう思っている人は、脳内DHAの不足によって、ストレスに対する抵抗性が弱まっている可能性があります。
ストレスの原因を取り去ることができれば理想的ですが、現代社会で生活している限り、回避できないストレスも多いものです。「会社帰りにちょっと1杯」、そんな時は、意識してサンマを注文してみてはどうでしょうか? きっと、あなたの精神に脳の中から働きかけてくれるはずです。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ グループリーダー)
【参考資料】
「平成28年度 サンマ長期漁海況予報」(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)
「食品成分データベース」(文部科学省)
「オメガ3系多価不飽和脂肪酸と攻撃性. FOOD Style21(富山大学医学部/浜崎景、浜崎智仁、稲寺秀邦)」(食品化学新聞社)
『食品機能性の科学』(産業技術サービスセンター)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 不安と不健康17掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。