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今こそ我々には「忍者食」が必要なようだ
疲労にもストレスにも効く驚くべき機能性食品
2016.6.3(金) 佐藤 成美
第21回 国際食品素材/添加物展・会議での「忍者食」コーナー。
アニメや映画のキャラクターとして世界中で人気の高い「忍者」。そんな忍者が持ち歩いた携帯食は、現代にも通じるパワーフードだった。
5月に東京で開催された「第21回 国際食品素材/添加物展・会議(ifia JAPAN 2016)」における「忍者食」コーナーの報告と合わせて、忍者食の価値に迫ってみたい。
任務に携帯していた「兵糧丸」
急増する外国人観光客にとりわけ人気が高いのが、忍者だ。「忍者屋敷」を模した都内のレストランには、外国人観光客であふれているという。忍術を使い、影のように立ち回る姿に引きつけられるのは、日本人ばかりではないようだ。
時代劇でのイメージとは異なるが、もちろん忍者は実在していた。人目をさける忍者ゆえ、史料は少ない。だが、近年では忍者の学術研究が行われており、実態が明らかになってきている。
忍者の任務は、敵地に忍び込み、敵の情報を集めること。そのため、忍者は、日々、身体の修練に励んでいたという。
そんな忍者の食事はどうだったのかというと、普段の食事は普通の人と変わらなかったようだ。だが、忍者としての任務に出るときは、強飯や梅干しのほか、「兵糧丸(ひょうろうがん)」という独自の携帯食を持ち歩いていたという。
兵糧丸は、忍者の漫画でも、「1つ食べれば1日動き回れる」ほどカロリーが高いとして登場する食料である。実際の記録に残る兵糧丸は、地域により材料やレシピに違いはあるが、おおむねそば粉や米、ハト麦などの穀物の粉末に、ゴマや松の実、ハチミツ、魚粉などを加えて丸めたものだった。
穀物は炭水化物が豊富にあるし、ゴマや松の実などの木の実は脂質やミネラルを含む。魚粉はタンパク質が豊富である。兵糧丸は、保存性がよくカロリーが高いだけでなく、栄養素もバランスよく含んでいた。現代でいえば、エネルギーバーやシリアルバーのようなバランス栄養食だったのである。
生薬や漢方の成分がぎっしりと
忍者食を研究する三重大学伊賀研究拠点副所長の久松眞氏によれば、兵糧丸は先に挙げたような素早くエネルギー源を摂取できる「体力消耗対策タイプ」と、精神面にも効果のある「精神力持続タイプ」に分類されるという。
忍者は、危険な場所で活動し、君主に情報を伝えるため必ず戻ってこなければならない。そのため、命を落とすような争いに決して加わることなく、冷静に状況を判断することが求められる。つまり、大きなストレス下で、敵地に乗り込む気合と状況を見極める冷静さを両立させなければならないのである。そんな、忍者の精神力を支えたのが、精神力持続タイプの兵糧丸だった。
久松氏らは、江戸時代の後期に書かれた『甲賀流忍法伝書老談集』という史料に記録される兵糧丸の成分を調べ、再現した。「甲賀流」とは、近江の甲賀の地(現在の滋賀県甲賀市)に伝わっていた忍術流派のことで、山ひとつ隔てた伊賀の国(三重県伊賀市)に伝わる伊賀流と並ぶ忍術の一派として知られる。
この史料に残された兵糧丸は、精神力持続タイプで、氷砂糖につなぎの役割をするモチ米、ウルチ米などの雑穀、蓮肉(蓮の実)、山薬(長芋)、桂心(ニッキ)、ヨクイニン(ハト麦)、ニンジン(高麗人参)などの生薬が含まれている。
氷砂糖の甘さが疲労回復効果を発揮し、1日30粒で十分なエネルギーが得られたという。さらに、蓮肉はビタミンB1が豊富で滋養強壮や下痢止め、山薬は滋養強壮や食欲不振などの効果がある漢方薬だ。また、桂心は幅広い薬効をもち、風邪薬などに用いられるが、神経の興奮を鎮める効果もある。ヨクイニンは皮膚病の予防効果があり、ニンジンは、滋養強壮に加え、鎮静やリラックス効果が知られる。
任務を心と体からサポート
兵糧丸にはほかに、飢えをしのぐ「飢渇丸(きっきつがん)」や、のどの渇きを抑えるための「水渇丸(すいかつがん)」などのバリエーションがある。
飢渇丸は、ソバ粉、小麦粉、高麗人参、山薬、甘草、ヨクイニンなどの粉末を酒に浸し、乾燥させて丸めたもの。日持ちもよく、「心力、労することなし」と、心も体も疲れないという滋養強壮効果の高いものだった。
水渇丸は、梅干しを叩いたものに、氷砂糖や麦門冬などを加えて丸めたものだ。梅干しの酸っぱさで、唾液を分泌させのどの渇きを紛らわす。さらに加えられた麦門冬は、道端などに見られるジャノヒゲという草の根を煎じたもので、口の渇きをとり、乾燥による咳やのどの痛み、呼吸困難などに用いられる漢方薬である。
このように兵糧丸の材料を見ると、滋養強壮、鎮静、リラックス、さらには下痢や皮膚病の予防など、忍者の任務を心と体からサポートする成分が配合されていることに気が付く。健康によいとされる機能性のある食品や生薬を活用した、現代でいうところのサプリメントのような機能もあったと考えてよさそうだ。忍者が栄養学や薬学など非常に豊富な知識をもち、江戸時代からこのような先端的な食品を利用していたことに驚かされる。
忍者が任務を果たすためには、肉体的に強靭なだけではなく、「智のある人、覚のよき人、口のよき人」と知恵や記憶力、コミュニケーション能力が求められた。敵地から生きて戻るためには、精神力に加えて、ケガや病気の知識も必要だ。忍者はトレーニングだけでなく、多くのことを学んでおり、当時の先端の情報や知識をもつ博識者だった。そんな忍者の知恵が生かされたのが、兵糧丸なのだ。
「現代版兵糧丸」の登場
食品化学新聞社は、忍者を食の面から考察し、機能性素材を活用して、「現代版兵糧丸」を再現するという企画を開始。5月18〜20日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「第21回 国際食品素材/添加物展・会議(ifia JAPAN 2016)」の忍者食コーナー(一般財団法人伊賀上野観光協会との共催)でも披露した。
現代に再現された「兵糧丸」という忍者食。第21回 国際食品素材/添加物展・会議で配られていたもの。
現代版兵糧丸では、兵糧丸の健康機能性を重視したという。出展各社の機能性素材を組み合わせ、厳しい環境下でアクティブに活用する「忍者用」と、美としなやかさを活用する「くのいち用」の2種類を試作した。
液体や粉末、ペースト状などさまざまな素材のものを練り込むことのできる新素材に、栄養成分の代謝に重要なカルニチンやポリフェノールの1種であるフェルラ酸などの機能成分を練りこみ、糖でコーティングした、大粒のキャンディのようだ。久松氏によれば、再現した兵糧丸は生薬の配合された砂糖の塊だったというから、現代版はこのようになるのだろう。
企画を手がけた食品化学新聞社食品化学事業部副編集長の石川透氏は、「忍者のソフトパワーを、現代に生かしてみようと企画しました。現代では、さまざまな効果や効能をもつ健康機能成分や機能性素材が知られるようになりましたが、兵糧丸のようにそれらを組み合わせることで、機能性成分の新たな価値を生み出すことができます。また、海外で人気のある忍者と結び付ければ、よりアピールできると考えたのです」と話す。会場には多くの人が集まり、忍者食や現代版兵糧丸への関心の高さがうかがえた。
兵糧丸は忍者の知恵が詰まったパワーフードだった。食べやすく、心と体をサポートできる忍者食の知恵は、多忙でストレスを抱える現代人にも応用できそうだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46987
- カフェインは子どものカラダに良い? 悪い? 軽毛 2016/6/04 00:43:14
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