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(回答先: お腹がよく鳴るのは健康? 不健康? 投稿者 軽毛 日時 2016 年 5 月 31 日 05:49:18)
良いウンチと悪いウンチ、どう見分ける?
「一に健康、二に仕事」 from 日経Gooday
自分の“平便”を知るための5つのポイント
2016年5月31日(火)
北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト
聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。
みなさん、いいウンチしていますか?
昔から、健康のバロメーターとして「快食、快眠、快便」といわれるように、お通じは私たちの健康と深くつながっている。世の中に出回っている健康情報を見ても、「腸にいい」「お腹に優しい」などと、お通じ関連の効能をうたうものが、かなり目立つ。
それだけ多くの人が、ウンチに気を配っているのだろう。うん、実にいいことだ。
そこで今回は、ウンチの基本に立ち返ってみたい。ウンチの素材に関する素朴な疑問や、お通じとの日々の付き合い方を、「日本うんこ学会」会長で消化器外科医の石井洋介氏に教えてもらうことにしよう。(関連記事「「日本うんこ学会」はムーブメントを起こせるか」を参照)
ウンチは「食べカス」だけではない
まず、最初の質問。そもそも、ウンチは何でできているのだろう?
「ウンチを単に『食事の食べカス』だと思っている人が多いですが、それだけではありません」と石井氏。一番多いのは水分で、これが全体の8割程度を占めるという。
では、水分を除けば、あとは食べカス?
「いやいや、『腸内細菌』がかなりの割合を占めます。それから、古くなってはがれ落ちた『腸粘膜の細胞』も大量に含まれます。それに『食べカス』、これは食物繊維が中心ですね。この3つが、水分を除いたウンチの主な成分です」(石井氏)
ウンチは何でできている?
「腸内細菌」と「腸粘膜の細胞」、「食べカス」がウンチの3大成分だ。
仮に、1日の排便量を200グラムとして計算すると、160グラムは水。残りの40グラムが「腸内細菌」「腸粘膜の細胞」「食べカス」となる。この3つはそれぞれ10〜20グラムといったところだろう。
中でも重要なのが、腸内細菌。腸の中には総量1キロほどの細菌がすみ着いている。菌の種類は数百種にのぼる。その一部が、ウンチにも出てくるわけだ。
「近年の研究で、ウンチの中にどんな菌が多いかによって、太りやすさや病気のなりやすさが左右されることがわかってきました」と石井氏はいう。腸内細菌の働きは、全身の健康状態に大きな影響を与える。だから、すんでいる菌の種類を調べれば、体の健康度が分かるのだ。
「ウンチの菌を調べて病気のリスクを予測したり、食生活をアドバイスするといったサービスも、もう実現間近です」と石井氏。体のことを知るうえで、ウンチはとても貴重な情報ソースなのである。
腸粘膜の細胞は2日周期で生まれ変わる
さて次は、「腸粘膜の細胞」。「古い細胞がはがれ落ちる」というのは、皮膚で垢(あか)ができるときと同じ仕組みだ。ということは、腸の中では、連日10グラム以上の“垢”が発生しているのですか?
「ええ。10グラムの垢って、ものすごい量ですよね(笑)。肌の細胞は、入れ替わるのに1カ月ほどかかりますが、腸の細胞はわずか2日で入れ替わる。驚異的なスピードで生まれ変わっているのです」と石井氏。
腸には、口から取り込んださまざまな成分が流れ込む。ときには刺激物や、有害な物質が紛れ込むこともある。そういった成分に直接さらされるため、腸粘膜の細胞は傷みやすい。だから、常にハイペースで再生産されているのだ。
そして最後の「食べカス」。これは通常、直近の数日に食べたものの残りカスだ。皆さんもときどき、ウンチの中に、最近食べたトウモロコシやキノコの痕跡を見つけることがあるだろう。
「要するに、ウンチには、直前まで体の一部だった素材や、ごく最近食べたものが大量に含まれている。ウンチは、お腹の中の『今』を映す鏡。だから、体のコンディションがそのまま反映されるのです」(石井氏)
特に色の変化をじっくり観察
「まずは毎回、ウンチをよく観察してください」と石井氏はいう。注目ポイントは5つ。色、量、太さ、形、そして頻度だ。
毎回見ていれば、「自分のウンチはこんな感じ」という“いつものパターン”が分かってくる。「よく『毎日出なければダメですか』などと聞かれるのですが、例えば2、3日に1回でも、それがいつものペースであれば問題ありません」(石井氏)。「普段通り」が、何よりの快便のサインというわけだ。
「普段の体温のことを平熱といいますが、ウンチも、自分の“平便”を知っておくことが大事。そうすれば、何か異常が起きたときに、『いつもと違う』と、すぐに気づけます」と石井氏は強調する。
特に重要なのは、色だ。健康な便は通常、黄色ないし茶褐色。便全体が赤くなっている場合は大腸や直腸の出血が、コールタール状の真っ黒い便の場合は胃や十二指腸の出血が考えられる。また、肝臓や胆道に異常があるときは、灰白色になることも。
もちろん、トマトやイカスミをたくさん食べたときにも、一時的に赤や黒のウンチが出る。こういうのは問題ない。だが、食べたもので思い当たる節がないのに、いつもと違う色の便が続いているときは、早めに病院へ行ったほうがいい。
なお、自分の“平便”を把握するには、ウンチの色や形を、排便のたびに記録するといい。しばらく記録し続けていると、変化のパターンや食事との関係も自然に見えてくる。日記や手帳にメモるのでもいいが、日本うんこ学会加盟団体が開発したスマホアプリ「ウンログ」を使えば、より手軽に記録できる。
ウンチを大っぴらに語れる世の中であってほしい
「実は、いいウンチを作る大事な要素が、もう一つあります」と石井氏は話す。
ほう、何でしょうか?
「それは、ココロです」
はぁー、なるほど。
腸は、ココロの状態とつながりが深い臓器。強いストレスが続いたときなどに、お通じが乱れやすいのは、思い当たる人も多いだろう。「快適なココロ」も、快便のための大事なエッセンスだ。
「残念ながら、今の世の中では、トイレに行くこと自体がストレスになるケースも少なくありません」と石井氏は指摘する。職場などで便意をもよおしたとき、周囲の目に気兼ねして、ゆっくりトイレに行けないことがよくあるのだ。
石井氏が「日本うんこ学会」という強烈な名前の組織を立ち上げた背後には、そんな世間の風潮を少しでも変えたいという思いがあるという。
「日本は、学校や職場で『ウンチに行ってきます』と口にすることのハードルが、異常に高いのです。これが自然に言えるような世の中にならないと、いいウンチは出にくいし、ましてウンチに血が混じっていると気づいてもなかなか病院へ行かないでしょう。そのハードルを下げたいのです」(石井氏)
なるほど。快便と健康のためには、ウンチを大っぴらに語れる世の中であってほしいというわけだ。
まずは、日々の観察と記録。そしてもし可能なら、ウンチについて語る機会を探ってみよう。もしかしたら思わぬところで、おおらかに語り合える「ウン友」と出会えるかもしれない。
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石井洋介(いしい ようすけ)さん
日本うんこ学会会長/消化器外科医
石井洋介(いしい ようすけ)さん 消化器外科医として大腸癌検診率向上を目指し、腸内細菌を美少女化したスマホゲームアプリ「うんコレ」(2015年公開予定)の開発・監修を手がけるなど、「ウンチと健康を気軽に語れる世の中」の実現に向けて多方面から幅広く活動している。
この記事は日経Gooday 2015年5月26日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。
このコラムについて
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