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肥満じゃないのに「隠れメタボ」が危ない!糖尿病や高血圧の恐れ、どうやって判別?
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15225.html
2016.05.25 文=新見正則/医学博士、医師 Business Journal
今日は、メタボリックシンドローム(メタボ)のことで盛り上がっています。正確にいうと、肥満ではないが高血圧、高血糖などの異常がある「隠れメタボ」についてです。
“非常識君”は言います。「肥満だからなるメタボが、肥満でない人もなるということ。なんとも非常識感が満載で、僕のような変わった立ち位置が好きな人間にはウエルカムだ」と応援しています。
一方で“極論君”は次のように主張します。
「肥満のなかにも良い肥満と悪い肥満があると感じたからこそ、腹囲を基準として男性は85センチ、女性は90センチ以上を要注意にしたのだから、超悪い肥満の基準をその上に設けるか、別の新しい基準を示してもらいたい」
まずメタボが登場した背景を踏まえると、超肥満が悪いのであれば、従来の肥満の基準であるBMI(体重÷身長÷身長)を25より上に引き上げれば良いように思えます。新しく「これ以上は悪いですよ」という境を決めれば済む話です。
ところが、世界の専門家は内臓脂肪が100平方センチ以上は将来的に生活習慣病、つまり高血圧や糖尿病、脂質代謝異常などがひとつに限らず複数起こる可能性が非常に高いということに気がついたのです。つまりBMIだけでは限界があると感じたのです。
そこで内臓脂肪に着目したのです。まず内臓脂肪の単位は平方センチです。内臓脂肪の量を計るのに体積ではなくて面積なのは、へその部分での体の輪切りの検査で、内臓脂肪がどのぐらいあるかに着目したからです。つまり、CTスキャンで計らないと基本的にはわからないのです。
ところがCT検査は被爆します。健診などでまったく問題ない人もいるのに、全員にCT検査を施行というのも馬鹿げています。そこで、内臓脂肪100平方センチ以上を推測する値を日本で調べたのです。それが腹囲では男性は85センチ、女性は90センチとなったのです。
極論君はご立腹です。「将来悪くなる可能性が高い人を拾い上げる目的で腹囲を決めたのに、肥満でもない人を『隠れメタボ』としたのでは本末転倒だ」と言います。
■人は「分類」をしたがる
そこで“常識君”は「非常識君と極論君は、どちらも正しい」とコメントします。非常識君と極論君は、前々回の本連載記事で中国人観光客とおぼしき人々の、日本人からすると常識を逸脱するような不愉快な行動に対して激論を交わしていましたね。それと実は似ているのです。
日本で生活している多くの中国人は、中国人観光客に比べればまったく問題なく日本の生活に溶け込んでいると思います。つまり、「中国人観光客」と分類を狭めると、私たちが不愉快に感じる行動を取る集団が比較的イメージしやすく、また相関しやすいということです。
この中国人観光客を肥満に置き換えて考えればいいのです。でも実はそのなかでも、ちょっと「日本では見ない大きなスーツケースを転がしている人」が不愉快だと別の切り口で分類することもできるのです。「中国人観光客」でかつ「日本では見ない大きなスーツケースを転がしている人」は要注意ということです。
肥満で内臓脂肪が100平方センチ以上というメタボの位置づけと同じです。肥満ではないのに実はメタボに当てはまることもあるのです。
また、実は「中国人観光客」でもなく、かつ「日本では見ない大きなスーツケースを転がしている人」でもないが、私たちが不愉快に感じる人も存在します。たとえば、日本人でも当然に不愉快な人もいます。沢山の人が一緒に生活をしているのですから、自分の立ち位置からすれば不愉快な人はさまざまにいるはずです。でも、人は分類したくなるのです。こんな人たちは往々にして不愉快だと。それが、「中国人観光客」とか「日本では見ない大きなスーツケースを転がしている人」になるのです。
BMIが25以上という基準に当てはまる肥満の人も、また内臓脂肪が100平方センチ以上というメタボに当てはまる肥満の人も、また両方に当てはまらない人も、複数の生活習慣病を将来合併する人はいるのです。メタボの内臓脂肪の基準をもっと上げれば、今以上に危険な肥満を抽出できるのかもしれません。極論君も非常識君も見方が違うけれど、主張は両方とも正しいということだと思います。
(文=新見正則/医学博士、医師)
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