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健康な状態で長生きするにはどうすればよい?
100歳超の「百寿」 要因は遺伝2割、生活環境8割〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160329-00000005-sasahi-hlth
週刊朝日 2016年4月1日号より抜粋
日本は世界有数の長寿大国。平均寿命では、女性が86.83歳で世界1位、男性が80.50歳で同3位。アクティブで若々しい60代、70代も増えた。日本老年学会は、現在65歳以上とされる「高齢者」の定義を見直そうとしている。
100歳以上の人口も増えている。厚生労働省の調査によると、100歳以上の人数は1963年には153人だったが、2015年には男性7840人、女性5万3728人の計6万1568人になっている。2050年には全人口の0.7%にのぼる見通しという。
100歳以上の人は「百寿者」(センテナリアン)と呼ばれる。日本の百寿者研究の第一人者、慶応義塾大学百寿総合研究センターの広瀬信義特別招聘教授は、センテナリアンについて、こう話す。
「平成に入って百寿者が爆発的に増えました。背景には、脳卒中の死亡率の大幅な低下など医療の進歩もあります。ただ、百寿者は寝たきりや認知症のため、要介護度の重いケースが多い。脳や体の状態がよく、健康で元気な人が多いわけではありません」
東京都在住の百寿者304人の調査結果を見ると、認知症もなく、自立して生活できている人の割合は2割に満たない。
健康な状態で長生きするにはどうすればよいのか。
広瀬教授は20年以上をかけ、全国の百寿者800人以上を調査してきた。調査項目は、医学的所見や遺伝子、認知機能、日常生活活動度、性格や幸せ感など。これまでの調査を解析した結果、百寿者の特徴が見えてきたという。
「糖尿病が少なく、動脈硬化も少ない、コレステロール値が低いなどの特徴がありました」(広瀬教授)
110歳を超える“スーパーセンテナリアン”を見ると、脳卒中や心筋梗塞、がんにかからなかった人の割合がさらに高まるという。
長年の研究で、長寿を司る物質は見つかったのか。
「スーパーセンテナリアン17人の遺伝子をゲノム解析したところ、1人だけですが、心筋症の遺伝素因を持つ人がいました。病気の遺伝素因があっても、それに負けない防御因子を持っている可能性があります」(同)
疾患を阻害する防御因子として注目される物質の一つが、脂肪細胞から分泌される血中の物質「アディポネクチン」だ。脂肪細胞から分泌され、ホルモンのような働き方をする物質は多数ある。善玉と悪玉に分類され、アディポネクチンは善玉の代表格。糖尿病の発症や動脈硬化、炎症反応を抑える作用がある。
大阪大学大学院の前田法一准教授は、一般的にアディポネクチンの濃度が高い人は糖尿病や動脈硬化になるリスクが低いと指摘し、こう話す。
「血管の内側の内皮細胞がたばこやストレスなどで傷つくと、糖尿病や動脈硬化のリスクが高まります。アディポネクチンは、その内皮に停留して、血管のコート剤のような役割を果たしているようです」
百寿総合研究センターが百寿者の女性のアディポネクチン濃度を調べたところ、20代の女性より2倍近く高いことがわかった。
アディポネクチンは、長寿を司る夢の物質なのか。
広瀬教授が言う。
「アディポネクチンは、ある段階まで、糖尿病や動脈硬化を防ぎ、長寿をサポートする防御因子と考えられます。ところが、アディポネクチン濃度の高い中高年の人だと、むしろ死亡率や心疾患の罹患率が高くなるという結果もあります。百寿者の場合、アディポネクチンの濃度が高くても低くても、余命は同じでした」
百寿者の場合、アディポネクチンの濃度と余命は関係がないと言える。
ただ、やはり脂肪細胞から分泌される「レプチン」(善玉)の濃度が高いと長生きすることはわかった。レプチンは食欲と代謝の調整を司り、肥満や体重増加を抑制すると言われる物質だ。一方、悪玉の「TNF−α」の濃度が低いと長生きすることも判明。百寿総合研究センターの新井康通専任講師がこの三つの物質と百寿者の余命の関係を調べたところ、レプチンとアディポネクチンが高く、TNF−αが低い人ほど長生きをし、身体機能も高いという結果が出たという。
栄養状態を表す指標として知られるたんぱく質「アルブミン」はどうか。一般に、アルブミン値が低下すれば筋力も低下し、3.5g/dlを下回れば余命が約1年になるという資料もある。だが、アルブミンの値も、百寿者の場合、事情が変わってくるという。
「百寿者のアルブミンの平均値は3.5しかありませんでした。でも、みなさんは何年も元気に過ごしています」(広瀬教授)
性格の特徴もある。百寿者の男性は開放性が高い。女性は開放性に加え、外向性、誠実性が高い人が多いという。
広瀬教授の共同研究者、権藤恭之・大阪大学准教授は、百寿者を対象に「セロトニントランスポーター」という遺伝子を調べた。
「セロトニントランスポーターには、不安感が強くストレスに弱いS型と、不安感が弱くストレスに強いL型があります。一般女性と比べ、百寿者の女性は2倍近くL型を持つ人が多いことがわかっています」(権藤准教授)
人間には、年をとるごとに幸福感が高まるという傾向もあるという。
「老化と向き合い始める60〜70代よりも、老化が進んだ80〜90代以降のほうが、幸福感が高い。この傾向は『老年的超越』と呼ばれ、現在、研究が進められています」(同)
多くの百寿者やその家族たちと交流を続ける広瀬教授も、百寿者の持つ幸福感に注目している。
「もてなし上手で、朗らかで、会話や質問を楽しむユーモアもある。私がこの調査にはまった理由のひとつです」(広瀬教授)
さらなる成果を求め、広瀬教授らのグループは、110歳以上のスーパーセンテナリアンの遺伝子を集め、全ゲノムを解析中だ。
「現在の研究では、比較的ありふれた遺伝子の変異の組み合わせで、長寿になるのではないかといわれています」(同)
100歳を超えて元気に生きられるのは、特殊な遺伝子を持つ人だけなのか。広瀬教授が続ける。
「遺伝の力はそれほど強くなく、遺伝的要因が2〜3割、生活環境が7〜8割という報告がある」
不健康な生活だと、病気になるリスクは高まる。
「当然ながら、適切な栄養や運動は大切です」
糖尿病や動脈硬化など生活習慣病の予防は、今も昔も変わらない、元気に年を重ねる秘訣だそうだ。
病気を防ぐ物質が発見されれば、その病気の予防や治療への効果が期待できる。昨今、話題を集める腸内フローラからも、長寿を司る物質が発見される可能性がある。早稲田大学の服部正平教授は言う。
「腸内フローラは、疾患や異常の結果でなく、原因ではないかと考えています。長寿に導く腸内細菌が見つかれば、長寿の特効薬が誕生するかもしれません」
誰もが元気に長生きできる日が来るのか。
「研究はまだ始まったばかり。気長に見守ってください」(広瀬教授)
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