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「ナッツ類」があらゆる死亡率を下げる! ダイエットや便秘予防にも効果アリ、その偉大なパワーとは
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47572
2016年01月30日(土) ジェーン・ブロディ The New York Times :現代ビジネス
文/ジェーン・ブロディ
不幸にも私は、人生の半分以上を自然界にあるもっとも完全で健康によい食物を避け続けてきた。その食物とは、ピーナッツを含めたナッツ類だ。私が十代の頃は、ナッツ類を食べると太るし便秘になるという誤った情報が知られていた。それは当時の私が絶対に避けたいと思っていたことだ。
ところが、最近の研究から私が知ったことは、それとは反対の事実だった。それで今では毎日、朝食やサラダ、サンドイッチ、スナックと一緒に、ナッツやナッツバターを堪能している。外に出かけるときは、少し塩をふったピーナッツを袋に入れ常に携帯している。車には、瓶入りのピーナッツバターを常備さえしている。
■あらゆる死亡率を下げる
ナッツ類の効果については、いくつもの調査が行われている。例えば7万6464人の女性を対象にした「看護師健康調査」や、4万2498人の男性を対象にした「医療関係者追跡調査」などの大規模調査だ。
こうした調査の結果、ナッツを多く食べる人は、いかなる年齢においても、食べない人と比較して、特にガンや心臓疾患による死亡率が低いことが分かった。また、スペインで行われた臨床試験は、ナッツ類を多めに取った地中海式食事法を実践している人は、死亡率が低いことを明らかにした。
しかしながら、研究者は調査の結果に影響を与える可能性がある他の因子を配慮していたにもかかわらず、これらの研究のほとんどは比較的裕福で教育レベルが高い白人を調査対象にしていた。つまり死亡率の低下は、ナッツ類の摂取ではなく、調査対象者の他の特性に起因している可能性があるとも考えられるのだ。
ところが最近、黒人、白人、アジア人など多様なエスニックグループにおいて、社会経済的に低位の人を対象にした大規模調査においてもまた、ピーナッツを含めたナッツ類と健康には強い因果関係があることが分かった。調査対象者の多くは、早死に、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病といった深刻な危険因子を抱えていた。
この結果は、2015年3月、ヴァンダービルト大学医学部の研究者が、「JAMA Internal Medicine」で公表したものだ。調査は米国南部、および中国上海に住む20万人以上の男女を対象に行われた。より多くのナッツ類を食べる人は、あらゆる要因においても、死亡率が低かった。とくに心臓病と脳卒中では、その傾向が強かった。
■乳児にはバター状のナッツ類を
ところで、今日では以前よりもずっとナッツ類、とくにピーナッツに対してアレルギーを持つ人が多いが、最新の二つの研究において、子どもがナッツ類に対してアレルギー体質にならないようにする方法が指摘された。
「JAMA(The Journal of the American Medical Association)Pediatrics」に2014年掲載された研究によると、妊娠中にピーナッツを含めたナッツ類をもっとも食べた女性の子どもは、ナッツアレルギーになる確率がもっとも低かった。母親が月平均で5回以上ナッツ類を食べた子どもは、リスクの低下がもっとも顕著であった。
また以前は、生後4ヵ月から11ヵ月のときからナッツ類を与え始めた子どもは、ピーナッツ・アレルギーになるリスクがもっとも高くなると考えられていた。
しかしこうした子どもは、2015年2月、「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された別の研究によると、実際には5歳の時点において、アレルギーになるリスクを顕著に減らすことができたのだ。
キングス・カレッジ・ロンドンのある研究者は、乳児にピーナッツを食べさせないことと、ピーナッツ・アレルギーの最近の増加は、相関関係にあると指摘している。
米国小児科学会が2000年に出したガイドラインでは、ピーナッツ・アレルギーのリスクを抑えるために、3歳まではピーナッツを控えることを推奨していた。同学会はその後、その主張を翻し、生後4ヵ月から6ヵ月の乳児に特定の食物を控えさせることで、アレルギーを防げるとした考えには根拠がないと指摘するようになった。
現在はさらにその主張を展開し、窒息を防ぐために、乳児にはナッツ類を丸ごと与えずに、すりつぶしたもの、あるいはバター状にしたものを与えるべきであると主張している。
■ピーナッツを食べる人ほどBMPが低い
ナッツ類と健康の関係性の話題に戻る前に、ダイエットに興味をもつ読者に知っておいてもらいたいことがある。それは適度な分量のナッツ類の摂取は肥満の原因とはならず、かえって減量とその維持に効果があるということだ。
そう、相対的に言えば、ナッツ類は脂肪が豊富だ。その脂肪は、グラム当たりのカロリーがタンパク質(9カロリー)や糖(4カロリー)よりも高い。アルコール(7カロリー)よりも高いぐらいだ。
しかしパデュー大学のリチャード・マッツ博士が他の研究者とともに、米国と海外で相当数の人を調査した研究によると、ナッツ類を食べる成人は、食べない成人よりも体重が軽い傾向にあった。子どもの場合も、ピーナッツをよく食べる人は、食べない人と比べ、体格指数(BMP)が低かった。
ナッツ類を多量に食べても、2体重にはほとんど影響を与えることがないことは、複数の臨床試験が証明している。しかしより重要なことは、食事にナッツ類を含めた被験者は、そうでない被験者よりも、体重を減少させ、さらにウエストのサイズと体脂肪も下げているという事実である。
ナッツ類がなぜウエイト・コントロールに有効であるのだろうか。
ひとつの説明として挙げられるのは、ナッツ類は脂肪とタンパク質の含有量が多いことだ。そのため、お菓子や炭水化物の摂取を抑えることができる。
もうひとつの説明は、ナッツ類をとくに丸ごと食べた場合、カロリーをすべて吸収することができないということだ。なぜならば、ナッツ類は体内の酵素によって分解されにくい性質をもっているからだ。
■注意が必要な二種類のナッツ
最後の説明をマッツ博士は他の研究者とともに、2013年に発行された「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション」で発表している。
朝食でピーナッツバターやピーナッツを食べれば、空腹感を制御し、血糖値を安定させ、そのため8時間から12時間、食欲を抑える効果があるという(私の好きな朝食は、バナナ半分をスライスし、それぞれのライス片に小さじ半分ほどのピーナッツバターを載せたものだ)。
ナッツ類は単不飽和脂肪や多価不飽和脂肪が豊富なため、循環器系にも恩恵をもたらす。
米食品医薬品局は「科学的な根拠は解明されていないが、毎日、食事として1.5オンス(42.5グラム)のナッツ類を摂取すれば、飽和脂肪とコレステロールを減少させ、心臓病のリスクを低減させる」として、ナッツ類を食べることを推奨している。
ただしマカダミアナッツとカシューナッツはその限りではない。この二種類は、飽和脂肪が多すぎるためである。
ナッツ類はまた、食物繊維が豊富であり、実際にアーモンド、ブラジル・ナッツ、ピーナッツ、クルミは、便秘の予防に効果があるようだ。長い間、私は消化に良くないのではないかと考えていたが、その点も問題ないようだ。
ナッツ類に含まれる成分で、他にも体に良いものはいくつもある。例えばビタミン、抗酸化物質、他の植物性化学物質などだ。まさにナッツ類は、栄養の宝庫なのである。
翻訳/オフィス松村
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