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冬に気分が落ち込むのは病気?shutterstock.com
冬季うつ病の単純化と過剰な心配? 本当にバナナを食べれば治るのか?
http://healthpress.jp/2015/12/post-2153.html
2015.12.13 ヘルスプレス
12月11日放送の「スッキリ!!」(日本テレ)で「冬季うつ」に関する話題が取り上げられた。この中で冬季うつチェック項目として放送された内容に、「これに当てはまらない人などいるのか?」「これなら明日会社で冬季うつになりましたといえる」などの反応が相次いだ。
そのチェック項目とは
@布団から出られない
A外に出るのがおっくう
B家事が面倒
C甘いものに手が出る
D睡眠時間が長い
どうだろう? どんな人でも冬であれば3つ以上当てはまってしまうのではないか?
■なぜか圧倒的に多い女性の症例
冬季うつは、冬季に発症するうつ病の一種で、「季節性情動障害」(SAD)といわれる。冬になるとになると毎年のように体調不良となり、気が滅入る、異常に眠い、過食症になるなど特徴的な症状を示すもの。しかし、春の訪れとともに多くは自然に治ってしまうケースも多く、実態はあまり知られていない。
もともとはアメリカの精神科医ノーマン・E・ローゼンタール氏らが、季節依存性が高いうつ病患者の研究を行い、1982年に患者に「高照度光療法」という画期的療法で成功を収めたことでよく知られる。「季節性感情障害」という病名がつけられたのは1980年代のことだ。米国人の5人に1人の割合でみられ、75%が女性といわれる。なぜこれほどに女性に多いのかは解明されていない。また、日照の少ない北国に住む人でも発症の可能性が高く、日光の入らない部屋に住んでいる場合、引きこもりなどでも、同様の症状を持つ場合があることが知られている。
一般的なうつ病と冬季うつはどこが違うのか? もちろん発症の季節が冬季に限られるケースが非常に多いのは当然として、一般的なうつは不眠に苦しむ場合が多いが、冬季うつはむしろ異常に眠い「過眠」が多い点。また、冬季うつでは、炭水化物を多く含んだ食品を食べたくなるという特徴もある。冬季うつのチェック項目を複数の情報源から総合すると以下のようなことになる。
・冬季になると、ただただむなしく、自己否定的になる
・無気力感に襲われる
・普段と同じ睡眠時間にもかかわらず日中に強い眠気がある
・人付き合いがおっくうになり、外出がつらい
・集中力がなくなり、普段やり慣れた家事や仕事ができない
・炭水化物や甘いものに対する食欲亢進があり、体重が増える
こうした言葉であれば、チェック項目としては一般的だろうが、「スッキリ!!」のチェック項目はあまりに単純化されすぎて、誰でも当てはまることになり、無用の心配を増長させ、なかば“呆れた”という反応を引き起こした。
■セロトニン不足を補う治療が基本
冬季うつの代表的な治療法としては人工的な高照度光を浴びる光療法が有効であるといわれる。一般的なうつ病の原因と指摘されるのが、神経伝達物質であるセロトニン不足。このセロトニンを増やすには、なにより太陽光線や光に多く当たること、そのほかにも運動や食事で不足を補う方法がある。
セロトニンは必須アミノ酸のひとつトリプトファンからつくられるが、トリプトファン合成には、ビタミンB6も必要。このためビタミンB6が多いバナナやさつまいも、レバー、青魚などを摂取することが推奨されるのだ。『冬季うつはバナナで治す!』という記事もよく見かけるが、こうした理屈による。また炭水化物中心の食事もトリプトファン吸収を助けてくれる。冬季うつの人が炭水化物への食欲が増すのはこうした身体の欲求かもしれない。またセロトニン不足から気分が落ち込み、過眠や過食の原因にもなる。
最後に、米メイヨークリニック(ミネソタ州)のWilliam Weggel氏が指摘する冬季の憂鬱な気分を避け、意欲を保つ方法を紹介する。
@屋外を散歩する。日光は、目から入って脳に到達し、気分に影響を及ぼす神経伝達物質のセロトニンの産生を刺激する。自然光への曝露がSADの症状軽減に役立つ
A屋外に出られない場合は、自然光の代わりに光線療法装置を利用してもよい
B1日30分の運動を週3回行う
C友人や家族と定期的に会って会話をする
日常的な対応策として極めてわかりやすい。
(文=編集部)
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