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購入の際は薬剤師に相談しましょう(※イメージ)
風邪に特効薬はない 市販薬&病院の正しい使い方〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151011-00000002-sasahi-hlth
週刊朝日 2015年10月16日号
平均の気温が19度、湿度が69.4%をそれぞれ下回ると、風邪の患者が増える。10月初旬の今がまさにその時期にあたる――。ある製薬メーカーが販売促進用の資料に載せているデータだ。
9月下旬、横浜市のドラッグストアを訪ねると、多くの買い物客でにぎわっていた。マスク、のどあめ、総合感冒薬、漢方薬……風邪の関連商品を手にする人も少なくない。同店の薬剤師はこう話す。
「夏に猛暑が続いた後、急に気温が下がり、雨も多かった。そのせいか、例年よりも早く、9月中旬ぐらいから風邪の商品がよく売れている。とくにのどの症状を訴えるお客が目立つ」
大正製薬が2013年、風邪をひいたときの対処を調査したところ、「市販の風邪薬を利用(57.2%)」が「病院に行った(42.8%)」を上回っていた。
前出の薬剤師は言う。
「市販の風邪薬には、さまざまな症状に広く対応する総合感冒薬のほか、咳、のどの痛み、発熱といった特定の症状に効くように有効成分を配合した商品がある。購入の際は薬剤師に相談したほうがいいでしょう」
同社の昨年の調査では、「1年間に風邪をひいたことがある人」は47.6%にのぼり、このうち「2回以上ひいた人」が20.7%いた。
風邪は、鼻からのどまでの「上気道」と呼ばれる部分にウイルスが感染して起こる。ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど、原因となるウイルスは200種類以上もある。その種類によって症状も対策も異なる。風邪薬には、症状を抑えてもウイルスをたたく作用はない。
病院に行けば万全かというと、そうでもない。芝大門いまづクリニック(東京都港区)の今津嘉宏医師はこう話す。
「患者には安静、保温、保湿、栄養・水分補給などの指導をするが、風邪を『治す』ことはできない。インフルエンザと違い、一般的な風邪には特効薬はない」
ただし、症状が重い人や基礎疾患がある人、高齢の患者には、二次感染(細菌感染)を防ぐ抗菌薬と咳や熱などの症状を取り除く対症療法が必要な場合もある。二次感染では、肺炎や中耳炎で重症化するケースもあり、病院での治療が欠かせない。健康院クリニックの細井孝之医師は言う。
「対症療法で症状を除き、体力を奪われないようにする。風邪は免疫の力でしか治せないから、その力をできる限り落とさないよう、熱を下げたり、咳で眠れないのを解消したりしたほうがいいでしょう」
1回咳をするごとに2キロカロリーが消費される。就寝中に何度も咳き込めば、眠りが妨げられるだけでなく、咳による体力消耗も大きい。それが結局、こじらせたり、長引かせたりする原因になってしまう。
「とくに高齢の方は対症療法でしっかり症状を除き、体を休める。それが何より有効な風邪治療だと思う」
と、細井医師は話す。
二次感染がなくても、風邪をひくと食欲が落ち、脱水症状に陥ったり、免疫細胞の材料となるたんぱく質が減ったりし、さらなる体力低下をもたらす。長く寝込むと筋力も低下する。
「高齢者だと、2〜3日寝込んだだけで、以前の生活に戻れなくなる場合もある。何よりも予防が大事です」
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