http://www.asyura2.com/15/health17/msg/330.html
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ぼくの話にも明るい笑顔で応援してくれた丹野さん(左)。右は朝田隆さん(撮影/木暮誠)
大きな寝言は危険信号 レビー小体型認知症の前兆とは?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150920-00000000-sasahi-life
週刊朝日 2015年9月25日号より抜粋
認知症であることを隠さず当事者本人が発言する機会が増えている。8月29日にあったNHKエンタープライズのフォーラム「認知症新時代 いきいきと暮らすために」では3人が登壇した。若年性アルツハイマー病の丹野智文さん、レビー小体型認知症の佐藤充博さん、それに軽度認知障害(MCI)で認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」筆者の山本朋史記者である。当日の様子をレポートする。
* * *
午後1時からの第1部は、ぼくと丹野さんの発言機会が多い。進行役のジャーナリスト、町永俊雄さんが丹野さんに医師から病名を告げられた直後のことを聞く。
「大学病院で若年性アルツハイマー病と言われましたが、病気についての知識がなかったのでインターネットで調べました。治る可能性は少ないとか2年後には寝たきりになるといったマイナス材料ばかり。1年間はほとんど毎日泣いていました。自然と涙が出てきて止まらなかった」
丹野さんには子どもが2人いる。症状が進んだ場合、妻と子どもの支えになってほしいと「認知症の人と家族の会」に入った。
「自分と同じように悩んでいる人と話し、活動することによってつながりが生まれました。認知症というと暴力をふるう、徘徊するといった負の側面ばかりが報道されて、心配を抱えながら診断が怖くて病院に行けない状況の人もたくさんいます。恐れなくていい、と発信していけたらと思っています」
よどみなく語る隣の丹野さんの言葉に聞き惚れていると、町永さんが「山本さんの場合はいかがでしたか」と振ってきた。
「取材のダブルブッキングをしたり、漢字を忘れてメモを取れなくなったり。これでは仕事を続けられなくなるのではないかと不安になって、東京医科歯科大学病院精神科のもの忘れ外来に飛び込みました」
丹野さんほどうまくはなかったけれど、何とか話すことができた。MCIという言葉も知らず、最初は軽度認知症と思い込んでいたことや、ためらいはあったが妻や職場の同僚に相談して早期治療デイケアに通う実体験ルポを週刊誌で連載し始めたこと。デイケアで同じ悩みを持つ人たちと一緒にトレーニングしてたくさんの助言や励ましをいただいたことも。
控室で映像を見た際、岩手県岩泉町から来た佐藤充博さんが、
「みんな(人とのつながりを)探しているんだ」
と語ったのを思い出した。たった一人では生きられない、とか言いたかったけど、うまく表現できなかった。ところで、ぼくの主治医である朝田隆さんやリハビリ専門家の作業療法士・浅野有子さんが認知症の医学的な説明をしているときに、ぼくは急に眠くなった。あくびをするわけにはいかない。筋トレの先生、本山輝幸さんの声が聞こえた。
「眠くなったら筋肉に集中して力を入れれば、眠気は防げます」
数分間、胸筋に力を入れて動かしたり膝の上の腿の筋肉をつねったり。効果あり。眠気は飛んだ。指導者の折山もと子さんとプサルタリーを弾き、本山式筋トレに励む自分の映像が流れている間は恥ずかしくて頭に血がのぼった。冷や汗が出た。
「山本さんは音楽は嫌いだったのですか」
町永さんの質問で我に返る。「音痴で小学校や中学時代は口パクでした」
それが、デイケア仲間と一緒に歌を歌ったり、合奏をしたりするのが楽しくなったのである。もちろん下手の横好きだけど。この1年半の変化には自分でも驚く。何でもやってみよう、やってみることの中に発見がある。この連載でも書いたが、代償作用で新しい脳細胞が働き始めた、そんな体験もしゃべったはずだ。
丹野さんも合唱を始めて音楽に目覚めたという。トレーニングは楽しくないと続かない、と。同感だ。1時間半があっという間に過ぎて、休憩に入った。ぼくは丹野さんに、
「お話が上手ですね」
と言うと、ニッコリと、
「車のディーラーをしていたので、お客様とよく話していましたから。『家族の会』でも話す場面は私が……」
丹野さんはいつも笑顔で明るい。あのキャラがうらやましい。見習うことができればなあ。あと1時間だ。第2部では、佐藤充博さんのウィットに富む話術が笑いと拍手をとった。
佐藤さんは幻視が出たり、手足の震えが出たりする症状が進行し、レビー小体型認知症と診断された。さまざまな症状から地域で孤立することも多かったが、やりたいこともあった。
その一つが師範の免状も持っていた書道である。録画映像では、地域の後輩から頼まれてお品書きを書き、佐藤さんが好きな「風」と「道」の文字も筆で書いた。その書の感想を聞かれると、当のご本人が、
「なかなかいいね」
「感動した。もっと書いて展覧会もやりたい」
トツトツとした東北なまり。ちっとも尊大じゃない。
「佐藤さんに私が教えられたことはたくさんある」
主治医の紺野敏昭さんの弁がよくわかった。ぼくも朝田さんからレビー小体型認知症のごく初期ではないか、と言われたことがある。
レビー小体型認知症の特徴を朝田さんが説明するのを聞いていると、幻視だけは当てはまらないが、「認知機能の変動(日によって記憶障害が大きく違う)」「手足の痺れや歩行障害」「睡眠時の異常行動(大きな寝言や奇声)」「自律神経の異常」など思い当たることはいくつかある。脳の後頭葉に血流の悪いところがあるのも心配材料だ。
症状は今のところ進んではいない。でも、いつかは……? 不安はある。そうした中で自分ができることは何か。探し続けよう、それしかないんだ。
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