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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
治療で大事なのは薬選びより早期発見 「緑内障」の正しい知識
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/163254
2015年9月1日 日刊ゲンダイ
昨年秋に新薬が承認された緑内障は、必ずしもすぐに治療が必要とは限らない場合がある。緑内障を専門とする日本医科大学付属病院眼科・中元兼二講師に聞いた。
■視野欠損が進んでいるのに気付いていない人も
眼圧が上昇し、視神経が圧迫されて変形するのが緑内障だ。原因は、目の中を循環する“房水”がうまく排出されないこと。一度変形すると、元には戻らない。
「ところが、日本人には眼圧が正常範囲なのに視神経が変形する“正常眼圧緑内障”が多い。統計的には、世界の眼圧の分布と、日本人の分布は大きく変わりません。それでも日本人に正常眼圧緑内障が多いのは、近視が多い民族のため視神経が弱く、低めの眼圧でも視神経が障害を受けやすいからではないかと考えられています」
眼圧が高い緑内障と比べ、正常眼圧緑内障は進行がゆっくり。さらに、眼圧は測るタイミングによって変わる。「緊張していると高くなる」「朝晩で変わる」というから厄介だ。だから、患者の眼圧、視野、視神経の状態などの情報を吟味し、治療の開始を決める。すぐに治療を始めないこともあり、その場合は半年〜1年に1回、検査で様子を見る。
「明記された基準はありませんが、一番大事なのは、患者さんが将来、生活に困らない目の状態を維持することです」
緑内障の症状は、視野欠損。視界に見えない部分が出てきて、症状が進むとそれが拡大する。当然ながら、生活に支障が出る。
「緑内障治療の目標は、視野欠損の進行を防ぐこと。ただ、眼圧も正常で、通常の視野検査でほとんど異常が見られず、正常眼圧緑内障と診断するかどうかという微妙な段階でも、真ん中の視力から落ちてきやすいタイプがあります。これは眼底検査でわかるのですが、このタイプは、将来のことを考えて、早く治療をスタートします。こういった患者の多くは『強度近視』の方です」
真ん中の視力が落ちると、その程度は小さくても、生活の質が著しく下がる。
日本人の緑内障のリスクファクターは、岐阜県の大規模調査から、年齢、眼圧、近視の強さ。近視の強さは視力ではなく、「マイナス3D」「マイナス6D」といった表記をする「度数」で判断する。度数は視力検査などで測定しているので、近視の人は度数がどれくらいかを確かめた方がいいだろう。
緑内障の治療法は、まず薬物療法。レーザー治療、手術療法もあるが、たいていは薬物療法で済む。今回の新薬「ROCK阻害剤」は、従来の薬とは異なった房水の排出経路に作用するため、従来の薬で効果が不十分な場合の新たな選択肢になると期待されている。
■信号無視の原因にも
しかし、緑内障治療で最重要なのは、どの薬を使うかより、「早期発見」だ。
「適切な時期に治療を開始しなくてはならない。前述した“変形した視神経が元に戻らない”ということは、“緑内障による視野欠損や視力低下は治療で元に戻らない”ということです」
上方の視野欠損からたいてい始まるが、半分以上欠けていても気づかず、ある時ふと視線を上にやった時にようやく気付く人もいる。信号に気づかず、車で横断歩道を突っ走っていた人が、実は緑内障で上方の視野が欠けていたということも。
また、片方の目の視野欠損を正常な方の目で補っていたため、発見が遅れることもある。
「緑内障と診断されているのに、数カ月で治療に来なくなる人も少なくない。数年後に“見えなくなった”といらっしゃるのですが……」
片目ずつチェックして、上下左右すべてがきちんと見えていますか?
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