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乳がんや卵巣がんの発症高まる“HBOC”って何?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150820-00000012-sasahi-hlth
週刊朝日 2015年8月28日号
再発を繰り返す卵巣がんは、近年、複数の治療薬の研究が進行中だという。東京慈恵会医科大学病院産婦人科主任教授で、国際婦人科癌学会および日本婦人科腫瘍学会常務理事の岡本愛光(あいこう)医師に今後の展望を聞いた。
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進行がんで見つかることが多い卵巣がんですが、初回の化学療法が奏効しやすいことから、治療薬の研究が進んでいます。
がん細胞の特異的な性質を分子レベルでとらえて標的とする分子標的薬では、現在導入されている、がんがもつ血管をつくりだす作用をブロックするアバスチン(血管新生阻害薬)とは異なる作用をもつ「PARP阻害薬(パープ・インヒビター)」という薬が治験中で、遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)の人の卵巣がんに効果が期待されています。HBOCは、特定の遺伝子に変異があって高率に乳がんや卵巣がんを発症するもので、卵巣がん患者さんの約1割はHBOCと考えられています。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんがHBOCで、予防的に乳房と卵巣を切除したことが知られています。わが国でもHBOCの検査・遺伝カウンセリング・治療体制づくりが進行中です。
最近、がん細胞がヒトの免疫機能をブロックする仕組みを壊して、がん細胞に対する免疫を十分に働かせるようにする「がん免疫療法」が注目されています。卵巣がんでも免疫機能をブロックするPD―1、PD―L1に対する抗体の研究が進行中で、有効性が報告されています。近いうちに治験が開始されるでしょう。
また、患者さんの卵巣がんの遺伝子変化を特定して、確実に効果が見込める薬剤だけを投与するといった、治療を個別化する時代になりつつあります。
このように、さまざまな新しい薬物療法に期待が寄せられていますが、合併症などで手術ができない症例を除いては、やはり卵巣がんの治療は手術によるがんの完全切除を基本に考えるべきだと思います。残存するがん細胞の数がゼロに近いほど、予後がいいことがわかっているからです。
なお、明細胞腺がんや類内膜腺がんは子宮内膜症が原因となって、比較的ゆっくりと進行することがあります。子宮内膜症がある人は定期検診を欠かさないようにしましょう。
卵巣がんを疑われたら、婦人科腫瘍専門医のいる、症例を多く手がける施設を受診してください。
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