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中国経済の減速が、世界経済を蝕みはじめた 〜米国ではエネルギー関連企業が失速、新興国は通貨安競争へ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44890
2015年08月24日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
■急速に進む投資家のリスクオフ
8月後半に入り、市場環境が急速に悪化している。わが国や米国をはじめ世界的に株価が下落する一方、米国の金利は低下(債券価格は上昇)し、円高も進んだ。また一時、原油価格は1バーレル当たり30ドル台後半にまで下落した。
この背景には、中国経済が予想を上回るペースで減速していることがある。中国経済の先行きの不透明感が高まったことで、多くの投資家がリスクの高い資産を減らす動き=リスクオフに走った。中国政府が景気刺激策を打ち出す可能性は高いものの、それが世界経済にどう影響するのか慎重に状況を見極める必要がある。
足許の市場環境の悪化は、急速に投資家のリスク許容度を低下させている。日米の株価は下げ止まらず、新興国の株価も軟調で資金流出の動きも進んでいる。為替相場ではドル高の巻き戻しが進んでいる。また、原油価格は21日の海外時間中に40ドルを下回る水準に下落した。
特にドル円は急速に円高方向に動いた。21日には一時、ドルが121円台後半にまで下落した。それが米国での利下げ観測の後退に影響されているという見方も多い。特に、FOMC議事要旨の中で、米国の物価見通しに対する慎重な見方が確認されことは、ドルの先高観を低下させている。
加えて、新興国の経済にも変調が表れつつある。ベトナムは通貨ドンを切り下げ、カザフスタンは変動相場制度に移行するなど、通貨安競争の影響が懸念される。そうした動きを包括的に考えると、原油安や米国の利上げ観測の後退、新興国への懸念などが複合的に影響しあい、懸念を高めているように思えてしまうのではないか。
重要なポイントは、リスクオフの最大の原因を明確にすることだ。市場参加者と話をしていると、中国経済の先行き不安に加えて原油価格の下落に対する懸念は根強い。それが米国での設備投資を下振れさせ、景気の下振れや物価低迷圧力になっているという読みがあるからだ。
■中国経済の持ち直しは可能か
投資家のリスクオフの最大の要因は中国の景気減速懸念だ。それが原油価格を下落させ、世界経済の先行き懸念を高めている。ドル安、原油価格の下落、そして世界的な株価の下落は、中国経済への懸念が引き起こした結果だと考えられる。
先行きへの不安を払しょくするには、中国経済の持ち直しが必要だ。ただ、製造業PMI等の経済指標は軟調だ。地方政府の財政悪化などの信用問題も重なり、大規模な財政支出は容易ではない。中国のファンダメンタルズ(経済の基礎的な条件)は悪化しやすいと考えられる。
米国での利上げ観測が後退しているのも、中国経済の減速に影響されている部分が大きい。中国の減速は原油への需要を低下させた。それに加え、OPECの生産維持が供給過剰への懸念を高め、原油価格が下落した。その流れが米国の期待インフレ率の低迷を招いた。
すでに米国では、原油価格の下落を受けてエネルギー関連企業の設備投資が落ち込んでいる。中国の減速リスクが米国経済の息切れに波及する可能性も高まっていると考えられる。
これからの世界経済にとって、中国の動向は最大のリスク要因になっている。景気刺激策が一時的に相場を支える可能性はあるが、中国への懸念が新興国の通貨安などに波及し、世界経済を下押ししやすい点には十分な注意が必要だ。
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