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「日本株だけは逆行高」という根拠は乏しい。日経平均は1万9000円割れどころか、1万8000円も危なくなるというのが筆者の予想だ。日本株はどこで下げ止まるのか(花火/PIXTA)
日経平均、現実味を増す「1万8000円割れ」 世界同時株安は「割高修正への一歩」に過ぎず
http://toyokeizai.net/articles/-/81456
2015年08月23日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
■日本株下落の本当の要因は何か
筆者は「根拠なき日本株の上昇」に対しては、忍耐強く警告を発してきた。
特に日経平均株価が2万0800円を再び突破した7月21日の直後のコラムでは、こうした見せかけの上昇は「ブルトラップ」(強気筋の投資家が、株価がもっと上がると誤解して高値づかみをしてしまう、心理的ワナ)だと述べた(7月26日配信の「米国株の『本格下落』が、いよいよ始まった」http://toyokeizai.net/articles/-/78308)。
このコラムでは、6月23日(火)〜25日(木)、7月21日(火)がブルトラップだと指摘したが、結局8月10日(月)〜11日(火)の上昇も、この2万0800円超のワナに加わった。当コラムの読者は、筆者の警告を踏まえ、「3度のワナ」を見抜いてくださったのではないか。
筆者が、2万0800円超えの日経平均の動きを「根拠なき上昇」と述べた背景には、中国、米国、そして日本において「3つの悪化の潮流」がある。まずは中国から一つ一つ見て行こう。
1)中国の実体経済については、比較的信頼できる経済指標と言われる、鉄道貨物輸送量でみると、2015年1〜6月は前年比10.1%もの大幅減少である。こうした中国の景気悪化は、中国の株価動向と関係なく進行してきた。
8月11日(火)突如打ち出された中国元切り下げに、世界の株価が下落して反応したのは、「中国経済は、政府がどんどん対策を打つから大丈夫だ」ではなく、「中国経済は、政府がどんどん対策を打っても、もうだめだ」と、市場が正しく理解したからだと推察される。
■なお高すぎる米国、日本も「逆行高」主張の根拠なし
2)米国株については、PER(株価収益率)がまだ高すぎる。S&P500指数の予想PER(米リサーチ会社のファクトセット調べ)は、前週末8月21日(金)現在で16.7倍と、ピーク時の17.8倍からは低下したものの、2006年以降の平均値である14.9倍よりまだ高い。PERの調整要因として、利上げ観測の高まりを想定していたが、9月利上げの有無にかかわらず、自律的にPER低下が始まったと言える。
ここで不安なのは、S&P500指数採用銘柄のEPS(1株当たり利益)予想値が、株価ピーク時の5月22日(金)の週から先週までで、1.3%下方修正されていることだ。この背景には、米ドル高や新興国経済の不振があると推察される。
もし今後EPSが一段と下方修正されると、PERが平均値を目指して切り下がるには、さらなる大幅な株価下落が必要になる。米株価の下落は、米国以外の投資家が米株を売り逃げて資金を本国に戻す、との懸念を拡大し、米ドル相場をも押し下げていくだろう。
3)日本株は、米株価の下落基調入りを無視して、最近まで堅調に推移していた。しかし、海外の悪材料を跳ね返して日本株が逆行高することが正当だと言えるような、日本発の株価押し上げ要因は見当たらない。8月9日(日)付のコラム「日本株は、やっぱり下落する懸念がある」(http://toyokeizai.net/articles/-/79909)で述べたので繰り返さないが、国内経済指標、政治動向等々、ぱっとしないことばかりだ。
4〜6月の日本企業の連結営業利益が、前年比で2割以上伸び、これが欧米のひとケタ増と比べて高いので、欧米株が下落しても日本の株価は上がってもよい、という「暴論」が聞こえる。昨年4〜6月は、国内での企業収益が消費増税で落ち込んでいたのであるから、それと比べて前年比が高いのは当然で、日本株の逆行高を主張するのは無理がある。
以上、1)〜3)のような、着実に進む世界の大きな流れを素直に眺めれば、8月11日(火)ザラ場まで日経平均株価が上昇したことは、根拠を欠いていたとしか考えられない。先週の株価下落は、国内株価正常化への、とりあえずの一歩であると位置づけられる。
述べてきたように、中国の株価が上がろうと下がろうと、中国政府が経済対策を出そうと出すまいと、中国経済は悪化していく。米国株についても、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを9月に行なおうと行なうまいと、高すぎるPERの調整が株価下落という形で続き、米ドルも押し下がるだろう。
さらに不安材料を挙げれば、国際商品市況の下落によって商品ファンドの破たん懸念が指摘されている。たとえそこまでいかなくても、商品・株式双方同時に運用する資金が、商品先物の損失拡大で株価指数先物も投げ売ってくる展開も十分考えられる。
一方、足元では急速に米ジャンク債(低格付け債)の価格も下落している。そのためジャンク債平均と米国国債の利回り格差は、2012年11月以来の水準に拡大している。となると、債券運用ファンドの苦境も気になるし、ジャンク債の償還期限が来た発行企業が、借り換えに失敗し資金繰りに行き詰まるリスクにも要注意だ。これに、天津における大爆発の中国経済・政治への悪影響や、緊張する朝鮮半島情勢なども悪材料として上乗せされている。
■いったんリバウンドがあっても、下落が続く可能性
今後の日本株は、短期的に多少のリバウンドは交えるかもしれない。だが残念ながら、基調としては下落が続くだろう。下値は、自信はないが、以前当コラムで述べた、1万8000円割れの可能性を引き続き見込む。一方、底入れの時期は、急速な株価調整が進めば、意外と早く、9月半ばには見えてくるのではないだろうか。
投資スタンスとしては、「頭としっぽは犬にくれてやれ」の格言を守り、欲張ったポジションを張らないことをお勧めする。当面は様子見姿勢で良いと思うし、株価が大きく下振れすれば、そこからさらに続落しても構わない程度の資金で、少しずつ買い溜めていく方針がよいだろう。
筆者の見通しが不幸にして的中し、日経平均が1万8000円を割れると、「世界経済は地獄に落ちる、日経平均は1万5000円もあるかもしれない」と騒ぐ専門家が、わらわらと現れるだろう。そうした専門家にだまされて、最安値で思い切り株を売ることだけはしないでいただきたい。
そうした流れのなかで、今週(8/24(月)〜8/28(金))の日経平均の予想レンジ(週内のザラ場最安値〜ザラ場最高値)は、1万8500〜1万9300円とする。かなり幅が広いが、大きな値ブレが起こることは、否定できない。先週の値幅も1233円だったのだから。
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