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[大機小機]5年前の提案の呪縛
通貨安競争。中国の人民元切り下げを機に、この言葉が挨拶代わりとなっている。中国人民銀行の易綱副総裁は慌てて記者会見し、10%の元切り下げで輸出を刺激するといった観測を、否定せざるを得なかった。
通貨安競争や通貨戦争の言い回しは、国際不均衡と絡んでよく使われる。2010年の20カ国・地域(G20)首脳会議(ソウル・サミット)の時もしかり。
米連邦準備理事会(FRB)による金融の量的緩和でドルが下がり、資金が流れ込んだ。新興国は米国をそう責めた。一方、米国は中国の経常黒字が膨らみ、国際不均衡を増幅させている、と中国を批判した。
不均衡を是正するため、経常収支などに参考指針をつくってはどうか。G20首脳会議に先立つG20財務相・中央銀行総裁会議では、15年までに経常黒字と赤字を国内総生産(GDP)の4%以内に抑える案を、米国と韓国が共同提案した。
米国の狙いはハッキリしていた。中国に元切り上げの圧力をかけるためである。ならば韓国が共同提案した理由は。G20首脳会議の議長国として成果を上げ新興国を脱し先進国の仲間入りをするためである。
確かに、ソウル・サミットは参考指針を議題とし、李明博大統領(当時)は先進国入りを高らかに宣言した。それから5年近くたった。世界経済と国際金融の舞台は一巡りしたようだ。
米国は量的緩和に幕を引き、利上げを模索する。ドルは上がり、新興国からは資金が流出している。中国の経常黒字のGDP比は14年には2%台まで減った。07年の黒字のGDP比が10%台だったのと比べると、様変わりといってよい。
中国が元を切り下げるのは歓迎できないにせよ、事情の変化はよく承知している。この辺が米当局の目下の心づもりであろう。
そんななか、経常黒字が4%を大きく上回っている国がある。ドイツと韓国だ。ドイツの場合は、ユーロ圏全体としてみてほしいとの言い訳もあろう。
これに対し、14年の経常黒字のGDP比が6%を上回る韓国は、5年前に「4%ルール」を高唱していた当の国である。米国が韓国の通貨安誘導に厳しいまなざしを向けるのも、むべなるかな。国際ルールは自らをも縛る。それだけに、先を読む目が問われる。他山の石としたい。
(和悦)
[日経新聞8月18日朝刊P.19]
- 人民元安定の時代は終わる あっしら 2015/8/23 03:29:28
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