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イオンの進出と和歌山市
2千14年3月中頃、イオンという大規模な商業施設が和歌山市の北方地域にオープンした。
デフレ下においてこのような大規模商業施設の開業は、和歌山にどのような影響をもたらすのであろうか。
先ず言っておかなければならないことは、イオンのような巨大モールだけでなく、巨大スーパーや、全国的な小売のチェーン店などが出展すると、その地域のお金が吸い上げられる性質を持っていることだ。
これは製造業の進出とは全く異なる。
固定資産税や賃貸収入が入り、雇用が増え、所得が増えるなどといろいろな謳い文句をつけて、自治体などが企業誘致を行うが、それ以上に売上収入が本社に送られるため、その地域の実体市場の資金が減少する傾向がある。
またデフレというのは、生産能力に比べ実体市場の消費資金が著しく少なくなっている市場である。そのため生産手段やサービスを通じた激しい価格競争が起こっており、利益額の少ない、生産コストの高い経営状態を余儀無くされている。
そのような厳しいデフレ状況下におかれている和歌山にイオンのような小売を主体とした大モールが進出してきたのである。
当然、デフレ下での大規模な小売店の進出は、供給力の増加であり、これによって消費購買力が伸びる訳ではない。当然出店過剰になり、消費者の取り合いという大戦争になる。
イオンの商圏や、その他の商店街、小売店への消費者の購買力を引き寄せる戦いとなり、広告による宣伝競争、さらなる過剰なサービス競争や、低価格競争が巻き起こる。双方とも深手を負うことになる。
攻めるイオン側はそれなりの戦略を練ってやってきている。価格競争はお手の物だろう。和歌山市の地元の企業も黙っているわけではないが、かなり食われることになる。
しかもデフレ下の企業競争は住み分けができない。どちらかが倒れるまで行われる。両サイドとも売上減が続きやがて採算が合わなくなる。
地元側は低価格競争や、消費者の減少に見舞われ採算割れのところが増えるだろう。しかしイオン側も一人勝ちするわけではない。あれだけの大規模モールが採算を取るには、それ相応の売上が必要になるからだ。
消費不足の和歌山であれだけのモールを維持するには、たいへんだろう。
そのためイオン自体も苦しくなる。両サイドが苦しくなっていく。しかし全国規模のチェーン店は、他の
地域で稼いでいるため、さらに攻勢をかけることができる。
さらに消費者の取り合いだけでなく、従業員の取り合いも行われる。和歌山で今まで地元で残り、地場産業や、商店街でへばり付いていた人達が、同じ和歌山なら少しでもよい給料のところへとイオンになびいていく。
それにより地元の小売店や商店街がさらなる苦境に陥る。
そのため4年5年と経つうちに地元勢が崩壊していくことになる。しかしデフレ下ではイオンが一人勝ちすることはない。
なぜなら地元勢の退潮は、和歌山全体の退潮となり、消費不足がイオンにも及ぶため、イオンも売上減、利益減が顕著になっていく。
結局イオン自体も和歌山から撤退する可能性が高いだろう。
イオンのような低価格競争を主体とした大規模販売店は、より低価格を武器にして販売量を確保しなければ経営を維持できない。
そのため消費購買力が減少し続けるデフレ下では、低価格にしても販売量がいずれ確保できなくなるため、経営を維持できなくなる。
デフレ下の薄利多売のスーパー経営は成り立たないのである。
消費税の引き上げ、10%になればその傾向ますます顕著になって来るだろう。その結果、イオンの本部は規模の縮小、あるいは撤退を示唆することになる。
イオンが撤退するころには、和歌山市に目ぼしい商店街や、大規模店が少なくなっている。多くの地元の企業や、商店、小売店がなくなり、地元民は買いに行く場所がなくなり、大弱りとなる。
デフレ市場というものは、理論的に、最終的に企業が存在できなくなり消滅するものである。資金が生産力に片寄り、消費力が常に生産力よりに及ばないため、縮小していくからである。
このような現象は、ヤマダ電機の地方の不採算店の撤収例をみれば明かだろう。
消費税5%の時は、攻勢をかけ、何とか売上や、利益を確保していたが、8%には、大した抵抗もせず白旗を上げてしまった。
当初のヤマダ電機の進出は、安売り攻勢で、地方の地元の有力企業をくじき、淘汰させた。しかし消費税引き上げなどによる消費購買力のさらなる減少は、ヤマダ電気のような大規模で低価格では採算がもはや取れなくなっているのである。
イオンだけでなく今後消費税が8%や10%になるとますます消費が不足し、大手の小売業や、チェーン店は、それに合わせた規模に縮小、撤退していくことだろう。
撤退したり、規模を縮小させた地域では、地元の小売店舗がなくなっており、消費者が買う所を求めて右往左往することになる。
デフレは放っておけば産業が成り立たなくなる所まで進むのである。
そして和歌山市内はますます資金が枯渇していく。
このような大規模小売店などが辺境の地に進出するのは、内需が先細りであるにもかかわらず、法人税の減税や低金利、過剰金融緩和による政策的な後押しが主な原因である。それがますます地方を崩壊させ、デフレを促進しているのである。カジノが大阪に進出すれば同じような現象が起こることになる。
今、中国人による爆買いが話題であるが、百貨店や、市中の専門店の売り上げに貢献しているようだ、しかし地方のスーパーやアウトレットには恩恵がないようだ。
昨年4月に消費税が8%に引き上げられたため、1年経ち、市場の消費用の購買力資金がどんどん減少し始めている。
イオンのアウトレットモールは消費税が5%の時は成長できたが、8%では規模の縮小、不採算点の切り捨てを免れないだろう。百貨店は爆買いがなければ赤字であり、スーパーは8%では、縮小させなければ採算が取れない。
今年の456月期のGDPが発表されたが、案の定、景気の回復は全くない。このまま789月期も沈んでいくだろう。
国内市場はもうここまで落ちぶれている。
この先消費税10%になればどうなるかは明らかだろう。まだ政府の御先棒をかつぐ人達は、10%にしなければ財政がさらに赤字になるといって、喧伝しているが、10%にすると多くの人が生活ができなくなり税収がさらに減少していく。
これがデフレ下の大規模小売店の地方進出のてんまつである。
一言主
デフレインフレの一般理論参照。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
追記:私達は一刻も早く消費税の減税を施行させ、消費者に直接投資をして、購買力があがるような政策を取らせなければならない。
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