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異次元の訪日外国人爆増で、日本がパンク状態…ホテル客室7割が外国人、出張にも支障
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11186.html
2015.08.21 文=和島英樹/ラジオNIKKEI 記者 Business Journal
訪日外国人(インバウンド)の熱気が、一層高まってきている。
株式市場では上海市場の株価急落で先行きを懸念する声があるものの、上海総合指数は年初からは依然としてプラスであり、外国人訪日への影響は限定的にとどまっているもよう。
インバウンド急増による国内需給ひっ迫は、これまで化粧品や炊飯ジャーなど土産品が中心だったが、直近では観光バスやホテルといった滞在に欠かせないインフラ関連にまで及んでいる。
報道によれば、商用車大手いすず【編注:「ず」の正式表記は踊り字】は観光バスの受注が前年度比で2〜3割増え、三菱ふそうトラック・バスや日野自動車はフル生産を続けているという。中国などからの訪日外国人のツアー客が急増していることが背景にある。
バス需要は数年前にむしろ縮小した局面があった。2012年の関越自動車道における高速ツアーバスの悲惨な事故を受けて、規制が強化されたことが要因。過労運転の疑いがある運転手の居眠りが原因で、乗客が死傷した。高速ツアーバスは廃止され、高速乗合バスに集約。ワンマン運転できる距離も上限が設けられた。
これを機にバス業界は淘汰されたという。その直後に降って湧いたのがインバウンド需要というわけだ。需要に供給が追いつかず、中古バスが新車並みの価格で取引されている例もあり、バスは品薄状況が続く。
■旅行・ホテル業界にも異変
ある中国の旅行会社幹部は「日本に行きたい旅行客は多いのに、バスやホテルが取れない。民宿まであたったが確保できず、この夏は顧客の希望に応えられなかった」と残念がる。この幹部は、リピーターも含め来年はさらに数倍の需要が出そうだとしている。
また、格安チケットのインターネット販売業者は「店舗を持たない我々に、アジアの旅行会社からバスやホテル確保の問い合わせが入った」と驚く。特に大阪近辺ではホテルが枯渇し、ビジネスパーソンの出張に影響が出ているほどだ。
こうしたなか、格安旅行代理店エイチ・アイ・エスの業績が好調だ。同社は格安航空券のパイオニアだが、テーマパークのハウステンボス(長崎)再建に成功している。また、九州が地盤のバス大手の九州産交バス(推定保有台数:500台)を傘下に有している。わかりやすくいうと、格安航空券で来日した外国人を九州産交のバスに乗せ、ハウステンボスに連れて行く。バスやホテルの不足に無縁の会社といえ、16年10月期も過去最高益を更新する。
藤田観光は今年4月、東京・新宿のコマ劇場跡地に「ホテルグレイスリー新宿」を開業した。ゴジラのモニュメントが話題のホテルで、客室は970室。(4〜6月はプレセールス期間となっているが、稼働率は60〜70%程度)と順調。
驚くべきは総客数に占めるインバウンドの比率が、6月に67%となっていることだ。新規オープンのホテルで、3人に2人は訪日外国人客。団体でなく個人利用が大半で、旺盛な需要を背景に客単価の上昇にも寄与している。
15年12月期上半期(1〜6月)の損益は会社計画を超過達成した。藤田観光は現在、運営する「新宿ワシントンホテル」の本館高層階(15階〜24階)を改装中。年度後半には低層階を改装し、16年春には全1297室がフル稼働になる見込み。来年は沖縄、京都にも新規ホテルをオープンし、17年にも新施設を相次いで開業する。中期計画では「観光立国のリーディングカンパニーを目指す」としている。計画最終年の19年に経常利益48億円(今期は休業もあるため17億円の赤字計画)を狙うなど、利益も急拡大となる見通しだ。
20年の東京オリンピックに向け、交通インフラや宿泊施設の整備などの動きはこれからも継続しそうだ。
(文=和島英樹/ラジオNIKKEI 記者)
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