http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/788.html
Tweet |
「現代の皇帝」を目指す習近平主席〔PHOTO〕gettyimages
【スクープ】中国株の大暴落は、反・習近平派の謀略だった! 権力のためなら世界経済もぶっ壊す、困った人たち
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44730
2015年08月19日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
TEXT 週刊現代編集次長 近藤大介
「アイツの『経済オンチ』ぶりを喧伝せよ」
アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪を引くといわれたものだが、いまや中国がくしゃみをすれば日本は重態になる時代。それなのに、株価暴落は権力闘争によるものというから穏やかではない。
■公安が株価暴落を阻止
まさに中国2億人の「股民」(個人株主)にとって、「悪夢の7月」だった。
上海の不動産会社に勤める王雲氏(42歳)が、ため息交じりに語る。
「中国の不動産バブルはすでに崩壊しているので、私自身は薄給の身ですが、株で貯めた資金で、夏休みに親子3人で日本旅行に行くつもりでした。
ところが7月の『過山車暴跌』によって、あっと言う間に50万元(約1000万円)以上もの借金を抱えてしまった。もちろん日本旅行は、即刻キャンセルしました」
過山車暴跌——「ジェットコースター暴落」が、中国経済を直撃している。しかも1度ならず、短期間に2度にわたって起こったのである。
1度目は、6月15日から7月8日にかけての3週間で、中国の日経平均株価にあたる上海総合指数が、47%!も暴落した。
この時は、証券業を管理監督する中国証券監督管理委員会や、中央銀行にあたる中国人民銀行などが様々な手段を講じたが、株価暴落を食い止めることはできなかった。最後に登場したのは、何と公安(警察)だった。
北京在住ジャーナリストの李大音氏が明かす。
「もともと中国の公安利権は、習近平主席の政敵である江沢民元主席と周永康・前党常務委員が握っていました。それを習近平政権は、'13年末に周永康を連行し、今年6月11日に無期懲役刑で刑務所にブチ込んだ。その上で習近平主席は、同月26日に、浙江省勤務時代からの子飼いである孟慶豊を、公安部副部長(副大臣)に抜擢しました。
その孟慶豊を習主席は、自らの名代として7月9日に、証券監督管理委員会に乗り込ませたわけです。同委員会を不意打ちした孟副部長は、『何としてでも株価を上げろ!』と凄んだ。そしてこのニュースを見た全国の『股民』たちは、『習主席が守ってくれる』と信じて、再び『買い』に走ったため、株価は何とか持ち直したのです」
習近平主席は、まるでヤクザか西部劇のカウボーイのような手法を取ったのだった。市場経済を標榜している国にはふさわしくないが、これぞ「習近平流」である。
だがそれでも、7月末に「2度目の悪夢」が中国を襲った。7月27日、上海総合指数は、わずか1日で8・48%も暴落したのである。
上海市場はどの銘柄も、1日に10%下がると取引が停止されるが、まさに全銘柄がストップ安に近い額まで暴落したことになる。これほどの「熊市」(市場の下落)は、実に8年ぶりのことだった。
上海総合指数は翌28日も、1・68%下落し、わずか2日間で10%以上の下落。これによって1281億元(約2兆5600億円)も消失した。
■みんな薄々気づいている
世界第2の経済大国である隣国の市場がこれだけ荒れれば、日本も「対岸の火事」では済まされない。最近は上海株が暴落するたびに、日本市場も大揺れとなっている。
7月8日には、中国の影響で日経平均株価は、2万円を割り込んで638円安となった。7月28日も、一時279円も値を下げた。特に、中国と深く関わっている、いわゆる「中国銘柄」が深刻だ。一昔前まで中国銘柄と言えば、優良銘柄の代名詞だったが、いまや「リスク銘柄」なのである。
中国経済は、30年以上続いた高度経済成長が終焉を迎えたとはいえ、今年前半のGDP成長率は7%をキープしている。それなのになぜ、株価がこれほど暴落するのか。
中国の官製メディアは、「アメリカの利上げ圧力が強まって、豚肉価格が3%上昇したことが原因」などと、木で鼻をくくったような報道をしている。その上で、「政府の市場救済策は決して失敗していない」と、しきりに強調する。
だが、中国の庶民は騙せても、インテリたちは政府に対して反発を強めている。私のところにも、習近平主席の顔をした熊が涙を流している絵を「微信」(WeChat)で送ってきた中国の知人がいた。中国の株式用語で「牛」は上昇を示し、「熊」は下落を示す。
中国のある著名なコラムニストも、次のように指摘する。
「7月28日に、上海総合指数は3537ポイントまで下落しましたが、万一3000ポイントを切ったら、中国全土の銀行で取り付け騒ぎが起こり、中国発の金融危機が勃発するところでした。
誰も表だって口にはしませんが、今回の暴落は、江沢民元主席を始めとする反・習近平派による謀略だったのではと、薄々感じています。8月上旬に『北戴河会議』が開かれるので、その直前に習近平政権の経済オンチぶりを喧伝して、権力を削ごうとしたというわけです」
北戴河会議とは、毎年この季節に、北京の東方300kmにある河北省北戴河の避暑地で行われる中国共産党の重要会議である。「トップ7」に加えて、すでに引退した党の長老たちも参加して、党の重要方針や人事などを決める。
■暴落直前に流れたデマ
このコラムニストによれば、江沢民一派による謀略説の根拠として、次のようなことが挙げられるという。
「まず江沢民一派には、『前科』があります。'12年8月の北戴河会議で、その年の秋の第18回共産党大会で正式に決議する『トップ7』人事を巡って、江沢民派と胡錦濤派がガチンコ対決し、決着がつかなかった。すると江沢民一派は、配下の公安部隊を駆使して、全国で若者たちが反日運動を展開するように仕向けた。そして『胡錦濤政権は親日政権』とのレッテルを貼って、追い落とすことに成功したのです。
'13年秋には、習近平政権の方針を決める共産党の重要会議『3中全会』の前に、ウイグル族による天安門自動車爆破事件が発生しました。この時も事件を調査していく過程で、ウイグル族の過激派グループが、どこからか潤沢な資金を提供されていたことが発覚し、江沢民派の『黒幕説』が囁かれました。
さらに昨年秋には、共産党の重要会議『4中全会』の直前に、香港で突如、民主化運動が勃発した。この時も、香港に地盤がある江沢民派の『黒幕説』を、習近平政権は調査しています。実際『4中全会』が無事終わったとたんに、学生運動は沈静化してしまいました」
つまり、中国では重要会議が行われる前になると、決まって体制派が頭を抱えるような事態が起きるのだ。今回の株価暴落についても、不可解なことが起こったという。
「実際の資金の何倍もの投資ができる信用取引に関して、『信用取引が今後禁止され、その資金も凍結される』という噂が突然、全国に飛び交ったのです。これによって信用取引に手を染めていた全国の『股民』が、一斉に損を覚悟で解約に走った。それが『7・27暴落』の原因でした。
北戴河会議の直前に、そのようなデマを流して誰が得するかと言えば、江沢民一派に他なりません。国民の利益を犠牲にして権力闘争に明け暮れるのは、古代以来の中国政治の伝統手段なのです」(前出・コラムニスト)
習近平一派は現在、中国政界の「2大長老」こと江沢民元主席(88歳)の一派、及び胡錦濤前主席(72歳)の一派と、三つ巴の権力闘争を繰り広げている。習近平主席と、この「2大長老」との不仲は周知の事実で、例えば昨年9月30日に人民大会堂で開かれた建国65周年のパーティでは、この3巨頭は同じ円卓に座ったものの、互いに口も利かなかった。
そんな中、習近平主席は前述のように6月11日、かつて「江沢民の財布」と呼ばれた周永康前党常務委員を無期懲役刑にした。この日、天津中級人民法院で、やつれきった白髪姿の周永康氏の姿を中国中央テレビに晒したばかりか、カメラの前で謝罪までさせた。
続いて7月20日には、かつて「胡錦濤の分身」と言われた胡前主席の最側近、令計画・前党統一戦線部長の公職を剥奪し、逮捕してしまった。
香港誌『動向』7月号は、江沢民元主席最側近の曽慶紅・元国家副主席が、まもなく捕まるとの話を詳述している。
これまで過去2年半にわたって習近平主席が行ってきた「実績」から推測すれば、十分に信憑性はある。周永康前党常務委員ばかりか、薄煕来・元重慶市党委書記、徐才厚・元中央軍事委員会副主席、郭伯雄・同副主席……といった江沢民派の大物たちを、次々に投獄してきたからだ。
■経済なんて関係ねえ!
前出のコラムニストが続ける。
「習近平が江沢民に決定打をあびせたのは、昨年7月に上海福喜食品の期限切れ食肉事件を仕掛けて、世界的なスキャンダルにしたことでした。あの工場の『後見人』が江沢民であることは、上海では周知の事実で、工場を業務停止に追い込んだことで、習近平が上海を制圧したわけです。それによって江沢民は、昨年の北戴河会議に欠席を余儀なくされたと聞いています」
上海福喜事件と言えば、日本でもその工場から鶏肉を輸入していたマクドナルドの凋落の原因となり、ファミリーマートも大いに損失を出した。あの1年前の事件も、習近平vs.江沢民の仁義なき権力闘争の産物だったというのである。
そして今年は、同じ権力闘争のために、日本を含めた世界経済が、多大な迷惑を被っているというわけだ。産経新聞北京支局の矢板明夫特派員が、今年の北戴河会議について解説する。
「今年の会議の大きな注目点が、北京市、上海市、天津市の3つの中央政府直轄市の党委書記(市トップ)の人事です。北京市は胡錦濤側近の郭金竜が、上海市は江沢民側近だった韓正が就いていて、天津市は昨年末から空席になっている。これらの重要ポストを自分の側近で固められるか、習近平主席にとって正念場です」
一方、前出の李氏は、人民解放軍の改革に注目しているという。
「習近平主席は、軍の『2大長老』だった江沢民側近の徐才厚と郭伯雄を失脚させました。しかし同時に軍の腐敗一掃を宣言したため、軍幹部たちの反発を買って、掌握に四苦八苦しています。
そこで今回の北戴河会議で、人民解放軍の大改革を承認させようとしていると聞いています。最近、南シナ海に埋め立て地を造ったり、東シナ海でガス田工事を始めたのは、軍の強硬派を懐柔して、大改革を進めるためだというわけです」
中国国内では、株価暴落で自殺者も続出。世界中の経済が混乱しているが、政敵を倒すためならお構いなし。それが中国の権力闘争なのである。
(後記:今年の北戴河会議は激化する権力闘争によって中止された。詳細はこちらを参照→「習近平vs江沢民の仁義なき戦い、いよいよ最終局面へ」)
「週刊現代」2015年8月15日・22日合併号より
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。