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米国バブルは崩壊?「ドル安円高反転論」を反証する(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/786.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 19 日 12:47:00: igsppGRN/E9PQ
 

米国バブルは崩壊?「ドル安円高反転論」を反証する
http://diamond.jp/articles/-/76950
2015年8月19日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト] ダイヤモンド・オンライン


■人民元の切り下げで米国株は下落、ドル安円高に

 前回(第16回)の「中国経済再生の秘策 人民元の基軸通貨化はいつか?http://diamond.jp/articles/-/76156」でも書いたように、今年10月のIMF総会では、AIIB関連で欧州勢を味方につけた中国が票を集め、人民元がIMFの通貨SDRの構成通貨として採用が承認されるはずでした。しかし、米国がその妥当性の検証にはさらに時間がかかると主張し、採決が延期されました。これは、米国サイドの時間稼ぎと考えられます。

 人民元は中国の通貨当局にコントロールされている通貨です。歴史的に見ても、景気対策に通貨政策(為替レート)を使うというより、政治的な目的のために通貨政策を使うのが中国という国です。米国は常に中国に対して人民元の切り上げを要求し、結果として、米中戦略経済対話など米中の大きな会談や会議の前には人民元高になることが過去にも多くありました。

 今回の中国政府による人民元の大幅な切り下げは、人民元の通貨SDR採用に関する採決延期に抗議するという意味でしょう。しかも、3日間にわたって切り下げることは、歴史的にもありません。9月には習近平国家主席が初の公式訪米をするということですから、人民元を基軸通貨にしたいという思いはよほど強いのでしょう。

 その人民元の切り下げ、および中国の景気減速により、金融市場のリスクが高まって不安定化し、米国の株式は下落し、短期的には低リスク通貨である日本円が買われることとなりました。

■市場関係者に巻き起こるドル安円高論

 さて、こうした動きの中で、今後、ドル安円高を予想する市場関係者の声が出始めました。そう考える要因を考えてみましょう。

(1)米国利上げの先延ばし

 米国の金利の引き上げは今年の国際金融における最大のテーマであり、影響も大きいものがあります。現在、米国は昨年11月に量的金融緩和を終了し、すでに資金量は減少し始めています。

 その金利引き上げの時期が、9月、12月、あるいは来年等さまざまな憶測が飛び交っています。これが前倒しされると、金利上昇が近づいたとしてドル高円安に動き、逆に後ろにずれすると金利上昇が遠のいたとして(金利の引き下げのように)ドル安円高に動きます。

 しかし、私の経験から言って、仮に後ろにずれて“一時的に”ドル安円高になったとしても、結局は、米国は利上げを実施するので、さらにそこからドル高円安が長期化し、“さらなるドル高円安”に到達することになります。一時的なドル安円高は良いドルの買い場となるのです。

(2)米国のバブル崩壊

 米国のバブル崩壊を懸念する向きもあります。確かに量的金融緩和に支えられたニューヨークの株式市場は7年間の量的金融緩和が終了し、資金量が減少を始めた今、エンジンの一つが逆回転を始めました。実際にニューヨーク株式も上値が重い展開になっています。

 フォワードガイダンス(forward guidance)という言葉があります。中央銀行などが、例えば「ゼロ金利をいつまで行う」などと市場と約束することです。これは、リーマンショックなどの危機対応には役に立ちます。しかし、平時のこれは市場関係者の間にリスクに対する慢心を呼び、たとえばリスクの高い金融商品を購入するなど、取らなくてもよいリスクまで取って、市場全体のリスクが“逆に”高まるということにつながると筆者は考えます。

 確かに、住宅ローン市場はサブプライム危機によって、バブルが崩壊しましたが、最近では自動車ローン市場のリスクが高まっているとも言われています。

 このような理由もあって、米国の中央銀行FRBは以前から「利上げする」と繰り返し予告して、株価の急落をはじめとした金融市場に与えるネガティブな影響を和らげようとしています。要は、FRBは最大限の注意を払っているのです。もちろん、金融市場の織り込みはもう始まっているともいわれていますが、利上げをしたら、新興国通貨から資金が米ドルに逆流しますので、当然ドル高になります。いずれにしても利上げによる金利差拡大が為替レートに与える影響は極めて大きいのです。

■以前の国際金融のセオリーは通用しない 

 筆者が大学の専門課程で国際金融論を勉強したのは1985年から87年でした。その後、銀行で働きながら経済学を勉強し、この分野で経済学博士号を拝受し、銀行では、長年、国内外の金融市場でディーリングや経済分析に従事してきました。

 その経験から言うと、昔の経済学の教科書でセオリーとされていたことが、現在の市場に合わなくなってきているようです。たとえば、為替レート(相場)の分析と予想手法を変えなければならないのです。筆者が為替相場の分析に実際に行っている方法を開示し、ケーススタディとして今後のドル円為替を予想してみたいと思います。

■ドル円為替相場の今後を予測するための視点

(1)貿易と投資の比率の変化

 以前の教科書では、貿易(収支)を為替レートの変動の主因として説明していました。特にかつて主流だったのが、貿易収支によるものです。貿易黒字の国と貿易赤字の国があった場合、貿易黒字の国の通貨が買われるために、為替レートが上昇するというものです。しかし、現在はその影響は極めて小さいものになっています。世界の資金決済のうち、貿易量は約3%にまで低下しており、約97%は投資によるものです。つまり、貿易収支が為替レートに与える影響は極めて小さいということです。筆者と同様にそのようなことを覚えている方々へ心理的な影響はあります。

(2)資金量(流動性)の急増

 特に2008年9月のリーマンショックをきっかけにして、米国を始めとして、英国と日本は量的金融緩和を開始しました。それまではドルの資金量は約8000億ドルでしたが、現在では4兆ドルと5倍にまで増加しました。量的金融緩和は金融商品の価格も倍増させます。

 その米国は昨年11月の量的金融緩和を終了し、利上げに向かっています。それに対し、日本はまだ量的金融緩和を継続し資金量を増加させています。つまり、市場流動性が急増し、ちょっとした理由でも大きく動く市場となったのです。

(3)リスクの要因化

 リスク、特に地政学的リスクというものを要因として、為替レートは大きく動くことになりました。リスクが高まると、新興国の金融商品よりも、先進国の金融商品が買われ、さらに無国籍である金も買われます。企業の金融商品である株式や社債は売られ、国債が買われることになります。紛争地帯に産油国がある場合には、原油価格にも影響が出ます。

(4)遅い物価の調整

「購買力平価説(PPP: purchasing power parity)」。これは2つの国でモノの価値(物価)は一緒で、為替レートはその価値が一致するところできまるというものです。インフレ率の比較といっても構いません。

 従来は、マクドナルドのビックマックの価格を比較した「ビックマック指数(Big Mac index)、最近ではスターバックカフェのトールラテ指数(Tall Latte Index)が有名です。そのころから物価による為替レートの調整に時間がかかり、調整は中長期とはいわれていました。先ほどの貿易収支のところでも書きましたが、そもそも為替レートがモノの価格を調整する力は弱いのです。

 よく為替レートが大きく動いた時に「(経済の)ファンダメンタルズ(基礎的条件)」からみておかしい、というコメントがでます。しかし、これほど分かりにくい言葉はありません。

 ファンダメンタルズというと、一般的には、経済成長率、インフレ率、貿易収支・経常収支、失業率等をいいます。これはその国の「経済」の総合的な分析には使えるが、為替レートの分析・予想には使えません。為替レートの変動はあくまでも、通貨の売買(需給)であり、その原因を考えなければなりません。その原因を筆者は「通貨のファンダメンタルズ」と名づけました。具体的には、実需(貿易)、投資、資金量、質、環境の項目です。

■通貨のファンダメンタルズに基づいた米ドルと日本円の予測

 米ドルと日本円の場合で具体的に考えてみましょう。

(1)実需

 日米間の貿易収支・経常収支では、日本の黒字が続いており、この項目ではドル安円高となりますが、前述の通り、貿易が約3%ですから、そもそも為替レートに与える影響は大きくありません。 

(2)投資

 これが影響を与える最大項目です。金融市場、とくに金融商品では株式と債券とがほぼ半分です。株価は経済成長率と関係が深く、債券は金利との関係が深いのです。米国の方が経済成長率も高く、利上げが予想されている以上、ドル高円安となります。

(3)量的金融緩和

 量的金融緩和は基本的に資金量を増やす。量を増やすモノのというのは、価格を下げるものです。これも、ドル高円安となります。量的金融緩和の終了と利上げの開始は株式に対してはネガティブな影響がありますが、先にも書きましたがFRBは注意しながら政策運営をするでしょうが。

 ちなみに資金量と金利との関係は、資金量はあくまでも現在の物で、金利には期間という概念があるということです。

(4)経済の質

 まず、財政赤字ですが、圧倒的に日本の方が悪いのです。政治的誘導としての通貨政策は、現在、日本がアベノミクスの一環で円安政策を取っています。米国のルー財務長官は公的には「ドル高は国益」を繰り返しています。この項目も、ドル高円安となります。

(5)リスク

 地政学的リスクの面でも、中東もロシアも当面大きな紛争にはならないようであり、ギリシャリスクも収まってきました。リスクが高まると、円が買われたが、リスクが収まりつつあるので、ドル高円安となります。もちろん、中国リスクには注意が必要ですが。

 以上の各項目を総合的に判断して、当面は「ドル高円安」が継続する可能性が高と考えられます。実際に、筆者はこのようにして為替レートの予想をしています。

 

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コメント
 
1. 2015年8月19日 20:52:13 : jXbiWWJBCA

中国人民元、対ドルで下落−株価変動拡大で資本流出懸念
2015/08/19 18:54 JST

  (ブルームバーグ):中国人民元は19日、ドルに対して下落。本土株の変動が再び大きくなり、世界2位の経済大国である中国の景気見通しが悪化する中で資本流出が加速するとの懸念が広がった。
中国外国為替取引システム(CFETS)によると、人民元は上海市場で前日比0.03%安の1ドル=6.3955元で終了。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日の中心レートを前日の水準とほぼ変わらない6.3963元に設定。上海での前日終値に近い水準だった。本土市場で人民元の対ドル相場は、営業日ごとに設定される中心レートから上下2%までの変動が認められている。
ブルームバーグの集計データによれば、香港オフショア人民元は6.4367元とほぼ変わらず。前日まで4営業日続伸し、上昇率は1.3%に達していた。

原題:China’s Yuan Falls as Stock Slump Prompts Concerns About Economy(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:香港 Fion Li fli59@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Regan jregan19@bloomberg.net Robin Ganguly
更新日時: 2015/08/19 18:54 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTB6ET6KLVR601.html

英中銀は「もうすぐ」利上げ、景気の強さ反映へ−マイルズ氏
2015/08/19 19:07 JST

  (ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)のマイルズ金融政策委員会(MPC)委員は政策金利の引き上げが近づいていると述べるとともに、利上げは景気の強さを反映したものだろうとの見方を示した。
同委員は18日放送されたBBCとのインタビューで、借り入れコストの転換点は「もうすぐ」だと指摘、「そこに至るのに長い時間がかかったし、まだ完全に到達してはいない」と語った。
過去最低である現行政策金利0.5%からの利上げのペースは「非常に緩やかなものになるだろう」と述べ、正常な政策金利の水準は2.5−3%程度だと説明。最初の利上げは懸念材料というよりも経済が「より正常な状態」に戻っていく兆候と受け止めるべきだとも話した。

原題:BOE’s Miles Says Interest Rates Will Increase Pretty Soon (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Jennifer Ryan jryan13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net Andrea Snyder
更新日時: 2015/08/19 19:07 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTBPKS6S972D01.html


アイスランド中銀が再利上げ、6月に続き−景気過熱リスクで
2015/08/19 19:35 JST

  (ブルームバーグ):アイスランド中央銀行は19日、政策金利を引き上げた。約7年続いた資本規制の下で景気が過熱するリスクに対応するため、6月に続く利上げに踏み切った。
同中銀は政策金利である7日物担保付貸出金利 を6.25%と、これまでの5.75%から引き上げたと発表。6月の利上げ幅も0.5ポイントだった。

アイスランドは2008年末の金融システム崩壊を受けて敷いた資本規制の下、経済の均衡維持に努めている。資本規制解除が最終段階に入り資本の動きが活発化する中で、為替レートと消費者物価の安定に向けた中銀の責任は重くなっている。
べネディクトソン財務・経済相は今月、規制が解除され通貨取引が自由になるのに伴い新たな課題が生じるだろうと述べた。課題の一つは、アイスランドがいわゆるキャリー取引の運用先になるのを防ぐことだ。金融崩壊に至るまでの数年にはキャリー取引がアイスランド経済を不安定化させていた。「異常に大量の資本流入を招きたくないなら、周辺諸国との比較において金利を高くするのには限度がある」と先週のインタビューで語った。

原題:Iceland Raises Rates as Economy Heats Up Under Capital Controls(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先: Reykjavik Omar R. Valdimarsson valdimarsson@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jonas Bergman jbergman@bloomberg.net Tasneem Hanfi Brogger, Christian Wienberg
更新日時: 2015/08/19 19:35 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTBNW26S972O01.html


2. 2015年8月19日 21:03:12 : jXbiWWJBCA
今後の米株価の行方が大いに気になる・・・ドル/円の勢いが、ほどなく一旦はピークアウト

日米の4―6月期GDP(速報値)や主要企業の4―6月期決算、その他の重要指標発表などを通過し、目下の市場は手掛かり材料に極めて乏しい状況となっており、主要な通貨ペアはいずれもボックス圏内での推移を余儀なくされています。中国やタイなどアジア方面から目立った材料が飛び込んでこない限り、このまま9月初旬に8月の米雇用統計が発表される頃まで方向感なくもみ合う展開が続き可能性もあるでしょう。

9月に入れば、いよいよ16−17に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の日程が近づき、市場は米利上げの可能性を巡って再び色めき立つようになるものと見られます。今週18日付の日本経済新聞によると、市場関係者の72%が米連準備理事会(FRB)は9月に利上げを開始すると見ているとのこと(QUICK調べ)。もちろん、フタを開けてみなければわかりませんが、一応は9月利上げ開始を前提とするシナリオというのも一つ持っておいた方がいいものと思われます。

実際に利上げ開始となれば、直ちに敏感な反応を見せるのは米国の債券市場と株式市場でしょう。初期反応としては、双方の市場から資金が流出しやすく、結果として米金利の上昇と米株価の一時的な調整を目の当たりにすることとなりそうです。もちろん、その可能性を考慮してか、すでに米株価は7月下旬以降、相当に上値の重さが感じられる展開を続けています。NYダウ平均に関しては、中期的にソーサートップを形成するような展開となってきているだけに、今後の行方が大いに気になります。

下図に見られるとおり、NYダウ平均の週足ロウソクは2012年1月以降、これまで長らく一目均衡表の週足「雲」上限にサポートされ続けており、幾度かの調整局面を迎えた場面でも「雲」の中に潜り込むのは「下ヒゲ」の部分に限られていました。じつは、先週も一時的に「雲」のなかに潜り込む場面がありましたが、終値では「雲」上限を割り込んでいません。ただ、ここにきて週足の遅行線が週足ロウソクを下抜ける格好となってきていることは見逃せません。これは長らくなかったことです。

20150819_tajima_graph.jpg

今後、仮にNYダウ平均が一段と調整色を濃くし、週足ロウソクの実体部分が「雲」のなかに潜り込む、さらに「雲」を下抜ける(現在、「雲」の下限は17049ドルに位置しています)といった展開になった場合、少なくともチャートフェイスから受ける印象は大きく変化します。なにしろ、4年近くもの間見られることのなかった"顔つき"になるわけですから、相当にマイナスのインパクトとなることでしょう。

NYダウ平均をはじめとする米国の代表的な株式指標が調整局面を迎えた場合、やはり市場にはリスク回避的なムードが一時的にも拡がり易くなるものと思われます。その結果、米当局の利上げ判断に伴って米金利が上昇することで一旦は買い上げられると見られるドル/円の勢いが、ほどなく一旦はピークアウトする可能性もあるものと考えます。

米利上げに相前後してドル/円の勢いが一旦ピークアウトするならば、それは2回目以降の利上げが相当先のことになると見られることにも因ります。もちろん、9月と12月の2回は「連続利上げ」となる可能性もないわけではありません。いずれにしても、どこかで一旦はドル買いの勢いが萎える局面もあり得るということを、今のうちから念頭に置いておきたいものと考えます。

コラム執筆:田嶋 智太郎経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:加速する海外M&Aが趨勢的な円安傾向を支援する! −2015年08月12日
http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2015/08/19.html

2015年08月19日

<速報>訪日外国人は順調な拡大続く

7月の訪日外国人客数は191.8万人と過去最高を更新

本日(8月19日)14時に7月の訪日外国人客数が発表されました。191.8万人と単月として過去最高を更新し、前年同月比51%の大幅増となりました。6月末から始まった中国株の大幅下落によって、中国人訪日客への悪影響が大きいのではないかとの懸念がありました。結果的に7月の中国人訪日客数は57.7万人とすべての国・地域を通じて初めて単月で50万人を突破しました。グラフに示したように、中国人観光客の前年同月比の増加率は105.1%と前月の167.2%に比べるとやや鈍化しました。現時点では株安の影響がどの程度出ているのかは判断できませんが、引き続き中国人観光客の訪日意欲は旺盛に推移したようです。


人民元切り下げで今後は伸びが鈍化?

ただ、8月以降の中国人の訪日にはもう1つ不安要素があります。それは、8月11日から3日連続で人民銀行が対ドル基準レートの切り下げを行って元安が進んだことです。8月以降は中国株安の影響に加えて、元安の影響がどの程度出てくるかがポイントとなります。巻末の表に示したようにいわゆるインバウンド関連株は外国人観光客の増加による業績加速への期待が高く、株価の上昇が目立っていました。
筆者はグラフに示したように人民元の対円レートがいまだに高値圏にあることから、急激な来日鈍化にはつながらないと見ていますが、いずれにせよ9月16日に発表される8月分の訪日客数にはいつも以上に注目が集まりそうです。

(ご参考)インバウンド関連銘柄の株価バリュエーション(8月18日時点)

 https://info.monex.co.jp/report/stocks-focus/index.html


https://info.monex.co.jp/report/fx-strategy-daily/index.html 「FX戦略デイリー」
シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。[ プロフィール ](8月17日収録)
【動画】山本雅文の今週のFX市場展望
2015年08月19日 
元安は再開するか?山本 雅文
<ポイント>
◆昨日は、中国株価の大幅下落を受けて豪ドルが下落した一方、NZドルは世界乳製品取引オークション価格の大幅反発を受けて上昇、ポンドも英CPIが市場予想を上回ったことが好感されおおはば上昇したのが特徴的だった。
◆この間、ドル/円は概ね前日と同じ124円台前半の狭いレンジ内での横這い推移となった。
◆本日は、本邦通関貿易収支、南アCPI、米コアCPIおよび7月FOMC議事要旨の発表が予定されている。中では米コアCPIと議事要旨が注目で、FOMCは次回9月利上げに向けて前向きな姿勢が示される場合にはドル買いとなる一方、コアCPIでは前月と同じ伸びが維持できず鈍化する場合には利上げ期待が後退しドル安となる。なお、前回FOMCは中国人民元切下げ前であることから、やや古い情報という面もあり、市場の反応は限定的となるかもしれない。
昨日までの世界:中国株安で豪ドル安
ドル/円は、124.40円で推移していたが、人民元基準値は僅かながら3日続伸となった一方で中国株価が引けにかけて大きく下落すると、リスク回避的な米利回り低下が意識され、124.18円の日中安値をつけた。但しその後NY時間に発表された米住宅着工件数が120.6万件と市場予想を上回り約8年振り高水準に達したことが伝わると120.40円近辺へ持ち直し、結局狭いレンジ内で横ばい圏内の推移に留まった。なお、同時発表の住宅建設許可件数は前月の急上昇の反動が想定以上に大きく市場予想を下振れしたが、市場はよい結果の方を注目したようだ。
ユーロ/ドルは、米住宅着工の予想比上振れを受けた米ドル高により続落し、一時1.1017ドルの安値をつけた。下落は4日連続となるが、引き続き1.08-1.12ドルのレンジ内での方向感のない取引に留まっている。
ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に、137円台後半からNY時間にかけて下落し一時137.06円の安値をつけた。
豪ドル/米ドルは、中国株価が上海市場の引けにかけて大幅下落(6%)したことを受けて下落した。その後、米住宅着工件数が市場予想を上回ったことから、米ドル高も下押し要因となり、一時0.7320ドルの安値をつけた。RBA議事要旨では、緩和策継続が適切とされたが、追加緩和に繋がるような議論はみられず、豪ドルについても下落が資源投資主導経済からの移行を後押ししているとしたが、既発表の声明文と同様で通貨安誘導姿勢の強まりはみられなかったことから、発表後に豪ドルが小幅に強含みとなる場面があった。
この間、欧米時間に原油価格が反発したほか、NZドルが世界乳製品取引オークション価格の大幅反発(前回比+14.8%)を受けて上昇したが、豪ドルはあまりつれ高とはならなかった。
豪ドル/円は、中国株安を受けた欧州時間の下落が大きく、91円台後半から一時91.09円の安値をつけた。
きょうの高慢な偏見:元安は再開するか?
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今週の経済指標カレンダー
ドル/円はこのところ124円を中心とするレンジ感が強まっているが、本日は引き続き人民元基準相場が再び元安となるか、および米国のコアCPIと議事要旨が注目される。昨日まで3日連続で元高方向に設定された元基準相場だが、プラス幅は縮小が続き昨日はほぼゼロだった。再び元安になると、昨日の中国株価の大幅下落もあって、円のつれ安がみられそうだ。なお、昨日の人民元スポット相場の動きをみると、当初は元安が進んだが引けにかけて株安にも拘らず元高となっており、当局の元安警戒・阻止姿勢が垣間見られている。
また、FOMC議事要旨で次回9月利上げに向けて前向きな議論がみられる場合にはドル買いとなる。但し、米コアCPIでは最近の原油安の中で、前月と同じ伸びが維持できず鈍化する場合には利上げ期待が後退しドル安圧力となる。全体としては、強弱両材料が交錯し、引き続き124円台でのもみ合い推移となりそうだ。なお、前回FOMCは中国人民元切下げ前であることから、そこでの議論はやや古い情報という面もあり、市場の反応は限定的となるかもしれない。
ユーロ/ドルも個別材料が少ない中で、1.08-1.12ドルのやや広いレンジ内での推移が続きそうだ。
豪ドル/米ドルは、中国株価と人民元動向が注目で、中国株価が続落したり、人民元が基準値、スポット相場共に下落に向かう場合には、再び0.73ドル割れを試す展開となりそうだ。

(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。


ギリシャGDP比24%規模の地下経済(大前研一)
【ギリシャ】課税逃れなど「影の経済」 GDP比24%規模

 日経新聞は先月29日、「脱税天国、納税意識低く」と題する記事を掲載しました。EUから金融支援を受ける条件として、ギリシャ議会が23日に可決した財政改革法案からは農家を装う脱税を減らすための措置がすっぽり抜け落ちていると指摘。与野党が強く反対した事を受けたものですが、国民はもとより、その代表である議会も脱税を正す意識に乏しいと指摘しています。

 これは、ツィプラス首相は金持ちを本当に制裁する気があるのかという問題です。ポピュリストではあるものの、金持ちと手を組んでいるのではないかということなのです。ヨーロッパ側は税金を納めるべき人からちゃんと取り上げろと要求しているわけですが、一部がすっぽり抜けているというのです。

 ただ、ヨーロッパに限らず、ブルガリア、ルーマニアなどを筆頭に、ギリシャも含めGDPの4分の1ほどが地下経済であり、ちゃんと税金を取れていない部分があるのです。日本や英国、オーストリア、ルクセンブルク、米国などは地下経済の割合が非常に小さいですが、ギリシャもこの部分をしっかりと課税すれば、GDPの4分の1は助かるのです。

 それにもかかわらず真面目に課税しない理由の一つは、政治家や徴税官たちにうまく手を回しているということと、きついことを言うとすぐに外へでていってしまうということがあります。逃れる先はルーマニアとブルガリアで、そこが裏庭というわけです。そこはさらに脱税の割合の大きなところなのです。痛し痒しのところがありますが、これが非常に重要な問題となっているのです。

 この問題に関してTIME誌には、負債が大きくても政府がしっかりしていればなんとかなるのではないかと、日本礼賛の記事が出ていて目が点になりました。日本の場合には地下経済も少なく、国家債務は巨大ではあるがそれを克服する方法がある、ギリシャが学ぶべきは日本だという話で、このような日本礼賛の記事は初めて目にしました。

 確かに、55%もの税金をじっと我慢して納めている大人しい国民は珍しいと言えます。これがギリシャだったら15%でも逃げていなくなってしまいます。国民をこのように教育した文部科学省の大勝利と言えるかもしれません。ただし、この記事はそうした皮肉で書かれているわけでもなく、政府がしっかりすれば世界が信頼し、いずれは債務も返済できるだろうと最後まで日本を讃える内容でした。おそらく人口減少や低欲望社会であることなどは知らない記者が書いているのだと思いますが、日本が良い例だという内容には本当にあきれてしまいます。

【フィリピン】アキノ大統領、後継にロハス内務・自治相を指名

 フィリピンのアキノ大統領は先月31日、次期大統領選の候補者としてマヌエル・ロハス内務・自治大臣を指名しました。反汚職や財政再建を掲げる現政権の路線を引き継ぎ、経済成長を持続させる狙いで、来年5月の選挙に向け、候補者や政党間での駆け引きが活発化しそうです。

 元大統領を親族に持つという点ではアキノ大統領もロハス大臣も同じです。ロハス氏は戦後すぐに祖父が大統領を務めていました。また、ロハス氏は意外にクリーンな人物として知られています。ただ、問題は他の人の人気が上回っているということなのです。対立野党は弁護士でマカティ市の市長だったビナイ副大統領を候補に挙げていて、また、孤児で人気俳優の養女になったポー上院議員も非常に人気を集めてきています。

 今、フィリピン経済はASEANの中でも非常に調子が良く、これがアキノ大統領の最大のレガシーと言えます。フィリピンの最大の輸出品は人材であり、その人たちが海外で稼いだ金を送金するわけですが、海外から本国への送金額を見ると、2兆円から3兆円近くに上ります。一人当たりGDPも、アキノ大統領の時代に3000ドル経済にまで上昇しました。

 次の人が誰であれ、この経済的なモメンタムを続けないと元の木阿弥で、エストラーダ元大統領のような人物が出てきた場合にはどうしようもなくなってしまいます。今回の候補者三人はどれを取ってもそれほど悪い人はいないようなのでそこまでのことにはならないとは思いますが、後継者とされたロハス氏になる可能性も高い一方、フィリピン人は喜劇俳優など人気の高い人が選ばれることがあるので、その点がやや心配ではあります。

 まだ若いアキノ大統領がなぜもう一期やらないのかというと、マルコスの悪い伝統で、大統領は一期だけと決まっているからです。ここでルールを変えるわけにもいかず、彼の選んだ候補者が助けを得ながら次期大統領になる可能性が高いわけですが、これだとブラジルのルーラ氏がルセフ大統領を選んだ時と同じようなパターンです。結局ルセフ氏はハチャメチャで、汚職疑惑で罪を問われて混乱を招いています。アキノ大統領の場合はそんなことにはならないと思いますが、ルーラ氏の指名した人だからとルセフ氏を選んでひどいことになった例もあるので難しいとも言えます。

 いずれにせよ、フィリピンの次の大統領選は極めて重要な選挙になると思います。フィリピン人もここは面白おかしくやらずに、国の将来のために真面目に選んでほしいと思います。

【中国】上海総合指数 前週末比8.48安 〜7月27日〜

 上海株式市場で7月27日、上海総合指数が前週末に比べ8.48%安い3725に急落しました。一日の下落率としては2007年2月以来、約8年5カ月ぶりの大きさです。

 この1年間で2.5倍にもなった株価は、企業業績がそれほど改善しているわけでもなく、むしろマネーゲームだったと言えます。不動産がおかしくなり株式の方に行き、政府もテレビなどを通して株で儲けてくださいなどと平気で言っていたわけです。実際2.5倍になり、3割減っただけで今度は証券会社に金を貸して買い支えようと手段を講じています。また、5%以上株を持っている人は売り買いを禁止してフリーズもさせています。このような株価対策をやったおかげで、今実力はどこにあるのか、どうやったらコントロールできるのかわからなくなっているのです。

 とりあえず株価を無理やり戻したので、追証が発生していた人たちは一応解決しましたが、借りたお金で投資しているので、今度はその価格で売り切らないといけないわけです。つまり株価を戻したら、売り圧力がもっと高まってしまったということなのです。それが今回の大きな下落につながったと言えます。中国では少なくとも5倍、10倍、人によっては100倍ものレバレッジを掛けてテコの原理で投資をしているので、下がった時には大変なことになります。

 しかし戻った時には、今のうちに売って借金を返し、ダメージが少ない間に逃げようとするので、戻れば戻るだけ下げ圧力が強くなるのです。もはや中国政府にこれはコントロールできないと思います。これからは、ヨーヨーの動きのようにどっちにいったらいいかわからない状況が続くでしょう。

 中国政府にはこの辺の経験がない上、株式市場を官製相場で維持しようとしてもうまくいったことはほとんどないので、無駄なことをやっているのです。まるで平清盛のように、沈む太陽を扇で扇いで持ち上げようとしているに過ぎません。危なっかしくて見ていられない状況になっているわけですが、レバレッジを掛けて投資している人は売って解消しないことには借金だらけになり、自殺か夜逃げしかないというところなので、簡単に市場が安定するとは思えません。

講師紹介


ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
8月2日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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日本国債の膨張を支えてきたデフレ(田口美一)
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20150819-2/


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