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4−6月期GDPについて
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52729977.html
2015年08月17日 在野のアナリスト
4-6月期GDP速報値が発表されました。実質で前期比-0.4%、年率は-1.6%で、市場予想の-1.9%よりは良かった、として市場は落ち着いた動きでした。しかし数字以上に、中身は相当悪い印象です。寄与度でみると内需が-0.1%、外需が-0.3%ですが、内需のうちの民間最終消費支出は-0.8%です。前期は0.3%と、辛うじて物価上昇分ぐらいの支出は増えていたのですが、ゼロに近づいたとはいえ、まだプラスの物価上昇にある中、消費支出が大きく減った。これは深刻です。
物価に賃金上昇が追いついていない、集中豪雨などの気象要因があった、などとも語られますが、関東では5月の気候はよかったですし、世帯収入は上がっています。特別手当は増えていますし、何より世帯主以外の収入が増えています。原因ははっきりしていて、消費税増税、軽自動車税の増税など、税負担が消費マインドを著しく冷やしている。これに尽きます。
企業の設備投資が-0.1%は、かなり意外な結果です。今年前半に集中するはずの設備投資がマイナスになったからですが、1-3月期に2.8%と大きな伸びとなったことの反動なら、再浮上する要因すらありません。内需、外需ともに減退を示す以上、企業にとって設備投資するインセンティブが働かない。住宅投資は2四半期連続で1.7%、1.9%の伸びを示していますが、五輪特需もあるのか? ただし最近の不動産状況は、価格改定として値下げして販売されるケースも目立っており、消費税増税以後、落ちこんだ部分を回復させようとムリして住宅建設をすすめても、買い手のいない状況も透けてみえます。投資対象以外の住宅は今後も厳しいのでしょう。
もっとも驚いたのは、在庫投資が0.1%のプラス寄与だった点です。1-3月期に0.5%増だったのであり、横ばいの推移でもマイナスになるはずでした。それがプラスだったのは、これが消費減退による、予期せぬ在庫積み上げになった可能性が高く、7-9月期には大きな下押し圧力になりそうです。昨年の4-6月期も予期せぬ在庫の積み上がりが、その後で2四半期もマイナス寄与になったように、この在庫もまた企業の生産意欲、設備投資意欲を殺ぐ要因となりそうです。
政府最終消費支出は0.4%で、小幅にプラスを続けていますが、ということは累積で歳出が膨張をつづけている、ということです。それは新国立競技場でも、無駄遣いする気満々の安倍政権では、歳出の歯止めがかからないのは当然です。輸出は-4.4%、輸入は-2.6%、とともに悪化。市場予想を上回ったのは、在庫投資や住宅投資が予期せず増えたためであり、将来を先食いしただけです。7月の経済統計も芳しくなかったことから、2四半期マイナスは確定かもしれません。
メディアは「景気は踊り場」などと伝えますが、昨年度はマイナス成長であり、踊り場どころかずっと下り坂です。昨年の10-12、1-3月期がよかったのは、前2四半期が悪すぎた反動です。今年は増税の影響が薄れ…という予想そのものが裏切られ、やっぱり悪かったとなります。
景気対策のための補正予算、金融緩和、などの期待も語られますが、そもそもの環境が悪いのですから、ただのバラマキにしかなりません。大事なことは、いくらメディアが煽っても国民のマインドが低下していること。急速に低下する労働人口、倒産件数は減っているはずなのに、就労人口も減っている。65歳以上と、女性の就労が急上昇していますが、それでは支えきれないほど、国内経済が急速に萎んでしまっているのです。就労形態が変わっているのですから、賃上げしても寄与が低い。それこそ高齢者雇用や、パートタイムなどの賃金を上げる方が景気対策としてはよほど寄与する、これが現状なのです。安倍政権の頓珍漢な経済政策の結果、二年連続でマイナス成長になろうとしている。安倍ノミクスの実績とは、まさに株価だけ。その株価も、GDP悪化をうけても上昇したように、国内景気には最早関心がないかのようです。企業業績をよく見せかけるためだけの通貨安競争、今のところ日本は勝っていますが、中国も参戦したこの競争が、実は日本にとって経済面における最大の脅威、安保法制以上に深刻なものとなるのかもしれませんね。
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