2. 2015年8月18日 09:54:45
: jXbiWWJBCA
敬遠されるコモディティー関連資産、そろそろ買い時か コモディティー価格は、長期にわたりさらに低下すると見込まれており、買い急ぐ者は誰もいない ENLARGE コモディティー価格は、長期にわたりさらに低下すると見込まれており、買い急ぐ者は誰もいない PHOTO: SHOTBYDAVE/ISTOCK By ANDREW BARY 2015 年 8 月 11 日 08:24 JST • 原油をはじめ、銀、銅、鉄鉱石、天然ガスなどは全て弱気相場 コモディティー関連銘柄は、今や株式市場で非常に嫌われているセクターだ。エネルギー大手のエクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)、ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA)は数年来の安値で、特にシェブロンは年初来24%下落と、ダウ工業株30種平均の中でのパフォーマンスが最低だ。 原油価格は6月末以降で25%下落して1バレル当たり45ドルと、1年前と比べ55%も安い。金は年初来8%下落して1オンス当たり1100ドルを割り込み、2011年の高値を43%も下回っている。銀、銅、鉄鉱石、天然ガスなどは全て弱気相場だ。鉄鉱石は2011年の高値から70%も下落した。S&P GSCI商品指数は、2011年のピーク時の半分以下の水準だ。ブルームバーグの商品指数は2009年の最安値を割り込んでいる。 コモディティー価格は、「もっと長期にわたりさらに低下する」と見込まれており、買い急ぐ者は誰もいない。飢えたようにコモディティーを欲していた中国やその他の新興国の多くは経済成長が鈍化し、需要が低迷している。ドル高で米国外での生産者には助かるが、ドル安になるまでコモディティー関連銘柄が上昇することはないと多くの人が考えている上、米国経済は相対的に好調なため、ドル高は急に変化しそうにない。 ENLARGE 底打ちを宣言するのは危険だが、そろそろコモディティーをポートフォリオに加え始めるのも良いと本誌は考える。ウェルズ・ファーゴ証券のジーナ・アダムズ氏は、最近の急落が底に近づいた兆候かもしれないと述べる。アドバイザーズ・アセット・マネジメントのスコット・コリアー最高経営責任者(CEO)は、今が底だとし、「世界中のほとんど全ての中央銀行がインフレ創出を狙っている。コモディティーの買い手になる時だ」と述べる。 しかし、さほど確信のない意見もある。ゴールドマン・サックスのアナリストたちは、今年の弱気相場を言い当てていたが、今後についても「三つのDが価格を抑制する。すなわち、デフレーション、米国と他国の経済成長率のダイバージェンス(分岐)、デレバレッジ(レバレッジ解消)の頭文字だ。新興国もこれまでのコモディティーに関連したインフラ中心の経済拡大からもっとバランスの取れた成長へとシフトしている。需要と供給のバランスを取るため、コモディティー市場はもっと長期にわたり、価格の低迷が続く」と述べる。しかし、コモディティー生産者は生産調整を進めており、それが次の上昇の準備となるという声もある。 総合石油企業は、エネルギー価格下落の恩恵を受ける傾向がある精製や石油化学などの事業を抱えるため、通常は最もディフェンシブなエネルギー関連投資となるが、あまりに急激な原油価格下落が原油生産以外の要素を圧倒している。そのため、配当利回りは稀な水準にまで上昇した。エクソンモービルは3.7%、シェブロンは5%、ロイヤル・ダッチ・シェルは6.4%、BP(BP)は6.7%だ(S&P500指数全体では2%にすぎない)。現在、総合石油企業の大半は十分なフリーキャッシュフローを創出しておらず、現在の原油価格が継続すると、エクソンモービルを除いて減配の可能性もある。 エネルギーや他のコモディティーへの投資の方法は多数ある。大手企業の株式への投資もその一つだ。米国の探鉱企業アナダルコ・ペトロリアム(APC)やEOGリソーシズ(EOG)、カナダのオイルサンドの生産者サンコール・エナジー(SU)、BHPビリトン(BHP)などの総合鉱山企業、そしてバリック・ゴールド(ABX)やニューモント・マイニング(NEM)、ゴールドコープ(GG)などの金鉱銘柄もある。 ENLARGE 株価や商品の指数に連動する上場投資信託(ETF)を買う方法もある。S&P500指数構成企業のうちエネルギー関連株を保有するエネルギー・セレクト・セクターSPDR(XLE)、主要な金鉱株を保有するマーケット・ベクターズ・ゴールドマイナーズETF(GDX)が挙げられる。オープンエンドの株式ファンドには、バンガード・エネルギー(VGELX)、バン・エック・グローバル・ハード・アセット(GHAAX)などがある。資源重視のクローズドエンドの株式ファンドには、アダムズ・ナチュラル・リソーシズ(PEO)やブラックロック・リソーシズ・アンド・コモディティーズ・ストラテジーズ・トラスト(BCX)があり、これらは純資産価値に対して2桁台のディスカウントとなっている。このグループ最大のSPDRゴールド・トラスト(GLD)の資産残高は、投資家の解約と金価格低迷で2011年のピーク時から70%も減少した。エネルギーに直接的なエクスポージャーを取りたい投資家は、ユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンド(USO)(年初来27%下落)やユナイテッド・ステーツ・ナチュラル・ガス・ファンド(UNG)もある。 大手総合石油企業に強気な意見としては、20年以上稼働可能な巨大な液化天然ガス施設などへの多額の投資は、現時点ではまだ生産していないため利益を下押ししているが、最終的には利益に貢献し始めるというものだ。ツェナ・インベストメント・マネジメントのアナリスト、マシュー・クイグリー氏は、「石油メジャーのバランスシート上の資本の30〜40%は売上高を創出していないプロジェクトに関連している。今後これらのプロジェクトが始動すれば、エネルギー価格と関係なく、利益を押し上げる」と述べる。 ツェナは、エクソン、BP、ロイヤル・ダッチ・シェルを保有している。「エクソンは、比較的負債が少なく、原油価格下落の中でもバランスシートは盤石で、魅力的な資産を安値で買収できる能力がある」と同氏が述べているほか、ツェナの最近のレポートはロイヤル・ダッチ・シェルを、「最近の設備投資対象が稼働を始めれば利益が改善し、キャッシュフローが急増するとめ、非常に魅力的な投資機会」と推奨している。 モルガン・スタンレーのアナリストは、石油メジャーは減産に対応し、設備投資を抑制するようビジネスモデルを変更する必要があると述べる。しかし、配当にのしかかる重圧は、設備投資の抑制や、2017年までに20%と予想されるエネルギー生産増などによって緩和される見込みがあり、株価は今が底かもしれない。 ENLARGE エクソンの第2四半期の利益はコンセンサス予想をわずかに下回ったが、トリプルA格付けを持ち、石油メジャーでは唯一、自社株買い戻しを継続している(規模は縮小)。株価が高い時に自社株買いをしながら、株価下落時に中止したり縮小したりするのは不運だ。 アナダルコのような米国の独立系企業は、コスト削減への対応が多国籍企業より積極的で、原油価格下落の環境で競争力を強化した。米国の石油生産会社の生産コストは世界で最低水準だ。年初来8%下落したアナダルコは、株価収益率(PER)で見れば依然として割高のようだが、キャッシュフローや資産価値を見ると妥当な株価だ。自ら設立したマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)のウエスタン・ガス・エクイティ・パートナーズ(WGP)およびウエスタン・ガス・パートナーズ(WES)の持分は1株当たり25ドルの価値がある。また、米国でのシェールガスの規模拡大を望むエクソンの買収の標的となっているとのうわさもある。 EOGリソーシズは、カナダの投資会社のポートフォリオマネジャーによると、米国の陸上油田で最良の2カ所に資産を有する。サンコールはカナダ最大の総合エネルギー企業で、アルバータ州のオイルサンドで最大の原油生産会社だ。最近の決算は市場予想を上回り、JPモルガンのアナリスト、フィル・グレッシュ氏によると、「生産ガイダンス引き上げ、設備投資削減、増配、自社株買い」のため、株価は12%上昇した。 金鉱銘柄は大幅安で、ゴールドコープおよびニューモント・マイニングの組入比率が大きいGDXは、年初来27%、2011年のピークからは80%下落した。バリックの株価は現在、2011年のピークから90%下落し、1990年代の株価に戻った。当時の金価格は、現在の約3分の1だった。 金が他の金属と違う点は、ほとんど消費されないということだ。かなりの金が毎年生産され、蓄積されていく。その結果、全て込みの生産コストよりも依然高い水準の価格は、さらに下落する余地がある。もっとも金の増加量などは、世界中の中央銀行が発行する通貨の増加に比べれば影が薄いが。 JPモルガンの貴金属アナリストのジョン・ブリッジズ氏は、「金のグロース」企業として知られるゴールドコープを選好している。最近の第2四半期の生産量は前年比40%増だった。目標株価は現在の約13ドルを92%上回る25ドル。バリックは急回復に賭ける銘柄で、新たなCEOは経営をフラット化し、負債削減のため鉱山を売却しており、今後の金価格上昇に対して大きく反応する可能性がある。 |