3. 2015年8月17日 15:20:45
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Business | 2015年 08月 17日 15:08 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス焦点:日銀、中国減速へ警戒感 輸出・生産不振に長期化リスク http://s1.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20150817&t=2&i=1072436323&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXNPEB7G072 8月17日、減速が鮮明化する中国経済に対し、日銀は日本経済への影響について、これまでよりも警戒感を強めている。都内で6月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai) [東京 17日 ロイター] - 減速が鮮明化する中国経済に対し、日銀は日本経済への影響について、これまでよりも警戒感を強めている。7─9月期には回復するとみている輸出・生産の不振が長期化したり、中国の需要動向を起点に原油やその他の商品価格が下落し、それが日本の物価上昇力に逆風となるリスクがあるからだ。 日銀は中国経済の動向を一段と注意深く点検し、日本経済への影響を注視していくとみられる。 <電力消費が鈍化> 日銀内では、中国経済の状況について、減速感が強まっているとの見方が増えている。電力消費などの指標が鈍化している点や、マンション建設など宅地開発がスローダウンしていることに懸念を示す声がある。 また、習近平主席が進める汚職追及などの綱紀粛正の推進が、消費を含めた幅広い需要サイドに下押し作用として影響を与えているとの中国国内における見方について、関心を示す動きもある。 結果として、中国の輸入が減少し、日本の輸出・生産にジワジワと下方圧力がかかり続けるリスクシナリオに対し、警戒する声が以前よりも多くなってきた。 実際、日銀が公表している実質輸出の国別データをみると、中国向け輸出は2015年1─3月期が前期比マイナス2.2%、4─6月期が同マイナス0.7%と減少が続いている。 月別では、5月に前月比マイナス0.2%、6月に同マイナス2.6%とマイナス幅が拡大している。 17日発表の日本の4─6月期国内総生産(GDP)では、輸出は前期比マイナス4.4%と大きく落ち込み、外需寄与度はマイナス0.3%だった。 日銀内には、輸出・生産の落ち込みは一時的で、7─9月期には回復基調に戻るとの見方が根強いが、一部には中国経済の減速が今のペースで長期化した場合、日本の輸出・生産が頭打ちになり、国内景気のエンジンの1つが「不完全燃焼」になることへの懸念も出始めている。 <原油下落と中国減速の関係> グローバルな商品市況の弱さが、中国経済の減速の影響を強く受けた「需要サイドの弱さ」に起因していれば、原油価格の先行き見通しにも大きな影響を与えかねず、その点も注視するべきとの声もある。 商品市況の指標となるロイター/ジェフリーズCRB指数.TRJCRBは12年ぶりの低水準にあり、米原油先物CLc1は17日、1バレル42.07ドルと6年ぶり安値に迫っている。 日銀は、展望リポートのシナリオの前提として、ドバイ産原油が1バレル60ドルから70ドルに上昇する前提を置いているが、足元は49ドル程度まで下げている。 日銀内では、40ドル台で推移すれば、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は、そう遠くない時期に前年比マイナスになり、その時期が長期化するリスクも意識しているもようだ。 <中国関連データ重視し始めた日銀> ただ、直ちに追加緩和に動くべきとの声は、日銀内では皆無だ。4─6月期GDPが前期比・年率マイナス1.6%になったものの、日銀内では7─9月以降に景気は持ち直し、15年度の成長率はしっかりとしたプラスを確保。需給ギャップは4─6月期に一時的にマイナスになっても、7─9月期以降に需要超過に転じ、物価を押し上げるメカニズムが働くと見ている。 しかし、中国経済の減速が一段と深刻化したり、長期化することになれば、輸出・生産のルートと、商品価格下落による物価やインフレ期待への影響という2つのルートで、日銀シナリオに下方圧力がかかる懸念もある。 12日公表の議事要旨では、中国経済について「構造調整に伴う下押し圧力を背景に、成長モメンタムが鈍化しているとの認識で一致した」と盛り込まれた。 中国経済の動向によっては、日銀が重視する期待インフレ率に下押し圧力がかかり、2%の物価目標達成がより困難になる展開も捨てきれない。 日銀は以前にも増して、中国経済の動向と日本経済への波及の程度について、丹念に点検していくとみられる。 (竹本能文 取材協力 伊藤純夫 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/2015/08/17/boj-r-idJPKCN0QM0F120150817?sp=true Business | 2015年 08月 17日 15:01 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 焦点:実態悪化のGDP、輸出・消費不振で政府に先行き懸念 http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20150817&t=2&i=1072434369&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXNPEB7G06U 8月2015年4─6月期国内総生産(GDP)は、成長率の数字自体よりも実態が悪い事を示しているとの指摘が民間エコノミストから相次いでいる。都内で6月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter) [東京 17日 ロイター] - 2015年4─6月期国内総生産(GDP)は、成長率の数字自体よりも実態が悪い事を示しているとの指摘が民間エコノミストから相次いでいる。日用品価格の上昇による消費の弱さや中国やアジア向け輸出の急速な悪化がその要因として指摘され、政府内にも落ち込みが一時的なものに留まるかどうか、先行きを懸念する声が出始めた。 <在庫増と輸入減のGDP押し上げ、喜べない内容> 「見かけの数字以上に内容が悪すぎる」──。今回のGDPを見て、民間調査機関からはこんな声が相次いでいる。年率1.6%のマイナス成長は、事前の平均的な見通しより多少良かったものの、在庫投資が予想より上振れ、輸入が思ったより減少した。 内需の低迷で在庫が溜まり、輸入量も需要減に対応して減ったとみられる。「在庫と輸入による成長率押し上げは決して喜べる話ではなく、消費の下振れも予想以上に深刻だ」(第一生命経済研究所 ・主席エコノミスト、新家義貴氏)との指摘が出ている。 多くの民間エコノミストによって注目されているのが、消費マインドの悪化だ。4─6月期の民間最終消費は、1年ぶりにマイナスとなった。政府内からも「デフレマインドが払しょくされていない」との声が上がる。 政府関係者からは、原油安や円安の恩恵を受けている企業が、賃上げや設備投資に対し、期待通り動いていないとの不満がくすぶる。 <停滞する消費性向> 今回のGDPの結果について、甘利明・経済再生相は17日の会見で「マイナス成長は、天候不順の影響など一時的な影響がかなり大きい」とコメントした。 だが、本当に7─9月期から景気が上向くのか、民間エコノミストだけでなく、政府関係者の一部からも懸念の声が漏れている。 例えば、政府が重視する個人消費。エコノミストの中には、猛暑効果や夏物セールの後ろ倒し効果、ボーナス支給といった追い風で持ち直すとのシナリオを描く声が多い。 だが、その一方で消費性向が低下しているために、回復は極めて緩慢との見方が広がっている。 安倍晋三政権発足以降、ほぼ74%以上で推移してきた消費性向は、今年4月と6月は73%台に低下。支出に慎重姿勢を強めていることがうかがえる結果となった。背景には、物価を差し引いた実質値でみた賃金の伸びが鈍い現実がありそうだ。 今年の春闘で、連合の参加労組のベアは平均0.7%、日本全体では概ね0.5%程度に過ぎず「まだまだ力不足」(内閣府幹部)という状況になっている。 政府内には今年秋からの最低賃金の引き上げ実施に伴い、その効果が勤労者全体に波及するはずとの読みもあるが、早くも「来年の春闘での賃上げにも、引き続き取り組むことになる」(政府関係者)との声が上がる。 <中国含めアジア輸出が不振> ところが、賃金の原資となる企業収益の先行きに不透明感が出始めている。4─6月期GDPをみると、輸出の落ち込みが目立っている。前期比4.4%もの減少は東日本大震災でサプライチェーンが機能しなくなって以来の大きさだ。 中国やその他アジアの景気減速が明らかに影響しており、アジアの成長をテコに事業の拡大を図ってきた企業には痛手となった。 このため「輸出の低迷が長引く恐れがあり、在庫調整圧力の高さから生産活動の停滞が続く可能性があるなど、景気の下振れリスクは高い」(ニッセイ基礎研究所・経済調査室長・斉藤太郎氏)との見通しも出てきた。 輸出や海外生産の停滞は、国内生産や設備投資にも波及しかねない。4─6月期はマイナンバー対応のシステム投資や物流効率化、イノベーション投資など、老朽化設備の更新に加えて新たな投資の潮流が期待されていたが、ふたを開ければ3四半期ぶりのマイナスに落ち込んだ。 今回の結果は、内外需ともにしっかりと回復するというシナリオの現実味を問うものだ。本来であれば、原油価格下落に伴う海外からの所得流入が続き、企業収益から家計所得と設備投資へと好循環が働くはずだった。 ニッセイ基礎研によれば、交易利得は1─3月期の5.2兆円に続き、4─6月期も2.1兆円の改善となっている。 しかし、GDP統計から明らかになったのは、円安の副作用や企業・家計のデフレマインドにより支出に回っていない点だ。 この結果、7─9月期のGDPは回復力が弱くなると見るエコノミストが増えている。「15年度の成長率見通しはプラス1.0%を割り込む」(みずほ証券)との見通しも出てきた。 そうなれば政府、日銀のいずれの見通しも下回り、経済対策と年内の追加緩和観測が強まる、との声も市場で浮上してきた。 17日の日経平均.N225が取引進行につれて、上値を切り下げてきたのも、こうした「見かけよりも悪いGDP」の実態を織り込んできたからもしれない。 (中川泉 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/2015/08/17/gdp-d-idJPKCN0QM0EK20150817?sp=true |