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元エリート日銀マンの転落人生 過剰な自信崩壊、悪徳企業に騙され巨額賠償請求裁判も(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/723.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 16 日 00:39:45: igsppGRN/E9PQ
 

                   旧日本振興銀行の店舗(「Wikipedia」より/Katorisi)


元エリート日銀マンの転落人生 過剰な自信崩壊、悪徳企業に騙され巨額賠償請求裁判も
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11129.html
2015.08.16 文=編集部 Business Journal


 政府がコーポレートガバナンス強化を掲げる中で関心が集まる「社外取締役」をめぐる議論に、一石を投じる裁判が進行中である。

 2010年に経営破綻した日本振興銀行から損害賠償請求権を譲り受けた整理回収機構が、木村剛元会長ら旧経営陣7人に50億円の賠償を求めた裁判で、社外取締役だった作家の江上剛(本名・小畠晴喜)氏ら3人の和解が7月16日、東京地裁で成立した。

 ほかに和解したのは、自民党の平将明衆院議員と公認会計士の森重榮氏。3人は社外取締役としての責任遂行が不十分だったことを認め、連帯して6000万円を支払うことになった。元取締役2人はすでに訴訟が終結しており、木村氏ら2人は係争中だ。

 2010年9月10日、振興銀は経営破綻を金融庁に申し立てた。申請を受けて金融庁は国内初となるペイオフ(一定額の預金を払い戻す制度)を発動し、預金保険機構が金融整理管財人となった。同日、振興銀は東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。

 振興銀が経営破綻したのは商工ローン大手、SFCGから回収の見込みが低い多額の債権を買い取ったのが原因だといわれている。その額は1705億円に達した。SFCGは資金調達のためにローン債権を重複して譲渡していた。二重売りした総額は700億円に上り、ダブルブッキング(二重売り)を振興銀は受けた。「日銀出身で『金融のエリート』といわれていた木村氏が、裏街道を歩いてきたSFCG元会長の大島健伸氏にババをつかまされた」(経済記者)という構図である。

 整理回収機構は11年8月23日、木村氏ら元役員7人に対して50億円の損害賠償を求める訴えを起こした。買取り債権の内容悪化とSFCGに返済能力がないことが明らかになっていた08年10月28日の取締役会における290億円の債権買取り承認、および同年11月17日の取締役会における170億円の債権買取り承認、決済した取締役の連帯責任を問うものだ。同機構は記者会見で、「金融機関の役員として当時、SFCGが危険だと知らなかったでは済まされない。なぜそうなったのかを裁判の過程で明らかにしたい」と述べた。

■機能しなかった社外取締役

 木村氏は自著『金融維新』(アスコム)の中で社外取締役の役割についてこう記している。
「社外取締役なんてお飾りでしょう――という醒めた指摘があるかも知れない。しかし、日本振興銀行だけは別である。(中略)執行部はアクセルを噴かし、外部取締役はブレーキを利かせる。そういった牽制体制を名実ともに作り上げることによって、日本振興銀行は、アクセル部門とブレーキ部門を完全に分離した、日本一厳しいガバナンスを実現する」

 社外取締役は、経営陣に対してブレーキを掛ける権限を有しているというが、新興銀ではアクセルを踏みっぱなしの木村氏に対し、社外取締役がブレーキを掛けた形跡はなく、その職責は全うされていなかった。整理回収機構はその点を問題にして、社外取締役の責任を問う訴訟を起こした。

 今回和解が成立した江上氏は、元銀行マンとして知られている。1997年の第一勧業銀行(現みずほ銀行)総会屋事件の折りには、広報部次長だった。総会屋と決別する銀行改革に立ち上がった「4人組」の1人として名前を知られるようになる。後に高杉良の小説『金融腐蝕列島』のモデルにもなり、03年3月に銀行を去り作家となった。デビュー作の『非情銀行』は退職の前年に発表されている。

 江上氏が振興銀の社外取締役に就任したのは04年6月。4月に開業した直後の株主総会で選任された。その後、取締役会議長を務めた。木村氏を支えた社外取締役は5人いた。江上氏のほか、東京青年会議所元理事長で創業メンバーの平氏。公認会計士協会元副会長の森重榮氏。弁護士の赤坂俊哉氏、経済評論家の三原淳雄氏。赤坂氏は自宅で首吊り自殺をし、その真相はいまだ不明である。

■コーポレートガバナンスの議論に影響も

 振興銀事件では、社外取締役をめぐる米国と日本の認識の違いが浮き彫りになった。振興銀がその経営モデルとした米国企業では、社外取締役会が経営の中枢で、株主の代表で構成される。社外取締役会が会長、社長、CEO(最高経営責任者)などの執行役を任命する。したがって、経営の失敗は社外取締役会の責任とみなされる。一方の日本では、社長らが社外取締役を任命するため、社外取締役が社長の経営に口を挟むのがはばかられるのは当然である。

 振興銀では奇妙なことが起きた。経営陣が逮捕されたことを受けて、社外取締役である取締役会議長の江上氏が社長に就任。本来であれば、木村氏と江上氏は共同で責任を問われるべきだったが、社外取締役には実質的な責任や権限がなかったと見なし、社外取締役から新しい社長が選出された。しかし、その社外取締役の責任に切り込んだのが整理回収機構だ。債権買取りを決裁した3人の社外取締役の責任を追及し、3人の社外取締役は責任遂行が不十分だったことを認め6000万円を支払うことで和解した。

 東京証券取引所が6月から適用を始めたコーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対して社外取締役の複数選任を求めている。そのため、社外取締役の就任ラッシュが起きているが、新興銀をめぐる今回の裁判結果は、こうした動きに大きな影響を及ぼす可能性もある。

(文=編集部)

 

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コメント
 
1. 2015年8月16日 08:32:14 : nJF6kGWndY

>米国企業では、社外取締役会が経営の中枢 株主の代表で構成 
>社外取締役会が会長、社長、CEO(最高経営責任者)などの執行役を任命
>経営の失敗は社外取締役会の責任 

今の日本は、資産格差の小さいサラリーマン社会

ほとんどの大企業の大株主は年金や銀行などの法人か、死が近い老人ばかり

最悪、モノ言う株主は短期利益を重視する外資ばかりとなる


結果として自社株をもたない無責任な取締役ばかりとなって、

出世のため過剰にリスクを取りすぎるか、

怠惰になって社長のイエスマンとなってリスク回避しすぎるかとなって、

会社を傾けることになっても、そう不思議ではない


その防止のため、取締役に対して厳しく結果責任を問うのは良いが、

資産隠しをされなくても、資産が数億程度しかない取締役の場合、

自己破産されれば打つ手はない



2. 2015年8月18日 08:53:48 : nJF6kGWndY
http://diamond.jp/articles/-/76872
黒い職場の事件簿〜タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史
【第28回】 2015年8月18日 吉田典史 [ジャーナリスト]
「みんな、早く離婚してしまえ!」結婚できないアラフォー課長の逆恨み日記(上)

理想の女性に巡り会えず、悶々とする独身男性は多い。日常業務のストレスもあり、彼らはいつしか周囲の幸せな結婚に恨みを抱くまでに妄想を膨らませることがある。似たような人はあなたの職場にもいないだろうか(写真の人物は本文とは関係ありません)
「婚活」を取り上げる際、メディアは婚期が遅れがちな男女を対象にして、「かわいそうな人たち」というイメージを醸成する企画づくりをすることが多いように思える。あるいは、婚期が遅れている男女の親を登場させ、「今どきの若者は……」というコメントを紹介するなど、面白おかしく報じることもある。

?実際、婚活にいそしんでいる人たちの本音はどうなのだろうか。今回は、アラフォー(40歳)一歩手前となった1人の男性から聞いた話を紹介しよう。この男性は「結婚相談所」に入り、見合いを通じて婚活をしているものの、思い描いていたようには、スムーズにことが運ばないようだ。

?職場では、「出世頭」として早々と課長になり、そこそこの活躍をしている。だが、その裏には不満が溜まっている。見方を変えれば、この結婚できない男性は、鬱屈した今の30代会社員の1つのモデルケースのように見える。読者諸氏はどう感じるだろうか。

いつまでも噛み合わない会話
中年男女の寒々しい見合い風景

?ここは、JR新宿駅西口から徒歩で10分ほどにある高級ホテルのラウンジ。2人は、「結婚相談所」を運営する会社の会員である。お見合いをしているはずなのだが、言葉が噛み合わない。

?村田(39歳)は、2時間の間、何度も途中で席を立とうと思った。テーブルを隔てて座る30代前半の女性が、自分の言葉にいちいち反論することに対して、気が滅入っていた。

「僕は転勤はもう、嫌だな……」

「そうですか……誰もが、嫌でしょう」

「……」

「犬を飼っているんですね??かわいいでしょう?」

「かわいいから、飼っているんです……」

「……」

「最近は、暑いですよね」

「夏ですからね」

「……」

?女性は、小田急線の経堂駅から10分ほどにある私立女子高を卒業した。京王線沿いにある「お嬢様」が通うと言われる私立女子大を卒業した。その後、10年ほど石油製造販売会社に勤務している。

?村田は思い起こした。確か、こんな学歴や職歴がプロフィールシートには書かれてあったな……。

自分の好みと全然違う……!
なぜ写真と似ても似つかないのか

?シートは見合いの1週間ほど前に、「結婚相談所」から郵送されてくる。女性の容姿はシートの写真とは大きく違った。まるで別人だった。写真では、「目がビー玉のようにまんまるでかわいらしい」と村田は好感を持った。しかし、目の前の女性の目はとても細かった。

?髪は、写真を見る限りではボリュームがあり、こしがある。実際は、髪がぺちゃんこになっている。肌は、ひどく荒れていた。

?挙げ句に太っている。155センチで体重が48キロ――。シートにはこう書かれてあった。スレンダーな女性が好みの村田はこの条件にも惹かれたが、実際に会うと、相手は60キロ近い感じだった。

?自分の好みと全然違う……!

?ラウンジを後にして、新宿駅までの道がやたらと長く感じた。村田は横で歩く女性と言葉を交わすことはなかった。一緒に歩くのが恥ずかしいとさえ思った。

?この「結婚相談所」の会員になるためには、学歴や職歴などの審査をパスし、15万円前後の入会金を支払い、毎月1万円ずつ会費を納めることが前提となる。お見合いをするときは、1回につき1万5000円の手数料を払う。

?数ある「結婚相談所」の中で、審査は厳しいことで知られる。当然、会員は独身の男性か女性である。エントリーできる条件は、男性の場合は日本国籍を持ち、大卒であり、現在会社に籍を置き、年収が500万円以上で、45歳以下であること。審査の際は、戸籍謄本の提出までもが義務付けられている。

?ところがなぜか、女性の審査のハードルはぐっと下がる。仕事をしていない、いわゆるニートのような人もいる。ただし、それらは「家事手伝い」という扱いとなる。

?村田は現在、39歳。社員数300人ほどの専門商社の営業部に勤務する。有名私立大学を卒業し、新卒として今の会社に入り、今年で15年目を迎える。1年前に課長となり、年収は700万円ほど。昇格は、同世代の中では早い。

?2年前に会員となり、10人ほどの女性と見合いをした。今回のように、そこから先の交際は、迷うことなくいずれも断った。目の前に現れる女性は、シートの写真とはまるで違う。毎回、見合いのための待ち合わせをするとき、見つけるのに苦労をするほどだ。

?前回の女性は、写真では目が柴犬のようにころっとしていて、愛嬌があった。しかしいざ会ってみると目が細くて、しかも20年も前に流行ったようなメガネをかけていた。さらに、肥満としか言いようのない体型だった。毎回、あ然とするのだ。

学生時代のマドンナに憧れ続けて
現実を受け入れられない39歳課長

?当初は、学生時代の友人に笑い話として話していたが、次第に自分が情けなくなってきた。なぜ、これほどまでにタイプと違う女性が次々と現れるのか……。10人ほどの女性はいずれも背が高く、太っていた。平均身長は、いずれも162〜4センチほどで、体重は60キロ近くに見えた。

?村田の理想の女性は、学生時代にわずか数回コーヒーを一緒に飲んだことがある、同じゼミにいた小田加奈子だった。30代後半の今は結婚し、中学生の子どもがいるらしい。相手の男は、職場で知り合った銀行員のようだ。

?十数年前、小田は「背が155センチで体重は48キロ」と自称していた。色白で、目鼻だちがモデルのようにはっきりし、健康的な色気があった。上目づかいの表情をするとき、村田にはなんとしてもそばにおいておきたい人形のように見えた。かわいらしいのを通り越し、アイドルに憧れているような心境だった。

?村田には、今でもこんな理想がある。だから見合いの際、その意味での「当て」が外れると、会話をするのも億劫になってしまうのだ。

次々結婚していく部下の女性たち
人の結婚話を聞くたびに辞めたくなる

?婚期を逃した村田に対して、周囲はそれとなく気を配る。営業部で「20代の社員が結婚する」といった噂が流れる。40代後半の部長は、課長である村田がいないときを見計らい、「おめでとう」と声をかける。

?その都度、村田は肩身の狭い思いがした。特に20代の女性たちが次々と結婚するのを知ると、一段とやるせなさを感じる。

?なぜ、あの女性たちの尻拭いをいつまでもさせられているんだ……?

?営業部には40人ほど社員がいる。平均年齢は20代後半。30代の男性社員が数人しかない。これが致命的なのだ。新卒、中途で入る社員は、数年以内に辞めていく。会社は5年ほど前に業績難で、大規模なリストラをした。400人近い社員を300人ほどまで減らした。

?40〜50代の使えない中高年層が一気にいなくなるのかと思いきや、30代で優秀な男性が大量にいなくなった。その後は、残った30代の男性社員に仕事がなだれ込む構造になっている。そんなこともあり、村田は出世頭になり、早々と課長になった。そもそも、競い合う相手がいなかっただけなのだ。

?課長になると、想像を絶するほどに仕事が多くなった。月の残業は、80〜90時間をキープするほどになっていた。ところが、残業代は支払われない。総務部によると、残業代は管理職手当に含まれているのだという。なぜか非管理職だったときのほうが、給料が多い。こんな生活が、もう3年も続いている。

?四国の実家の親からも勧められ、2年前に今の「結婚相談所」に入会したものの、意中の女性は現れない。目の前に登場するのは、好みとはかけ離れた女性たちばかり。騙された……!

?そんな不愉快で釈然としない思いを、村田はずっと引きずっている。職場では一応課長らしく振る舞うが、解せない思いがますます強くなる。部下である20代の社員の面倒をみるのだが、この新卒の社員たちも、入社後数年以内に大量に辞めてしまうだろう。その筆頭が、20代後半以内に「寿退職」する女性たちだった。

>>後編『「みんな、早く離婚してしまえ!」 結婚できないアラフォー課長の逆恨み日記(下)』に続きます。

http://diamond.jp/articles/-/76928
黒い職場の事件簿〜タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史
【第28回】 2015年8月18日 吉田典史 [ジャーナリスト]
「みんな、早く離婚してしまえ!」
結婚できないアラフォー課長の逆恨み日記(下)
>>。ハ上)より続く

?いまどき「寿退職」??結構な身分だな……。面接の時点で、戦力になる前に辞めてしまうとわかっているのに内定を出し、雇い入れる。案の定、彼女たちは数年以内にあっさりといなくなる。そのしわ寄せを、自分たちが引き受ける……。

?村田は、こんな不満をいつも胸に秘めていた。ストレスが溜まるばかりで、結婚話を聞くたびに、もう、こんな会社を辞めようとさえ思う。

?お見合いは週末が多い。ここ1年は、それをキャンセルし、20代の女性社員たちがやり残した仕事をする機会が増えている。当然休日出勤になるが、その分の賃金は支給されない。時折、学生時代の友人に愚痴をこぼす。そんなとき、憧れだった小田加奈子のことを聞くと、たまらなく空しくなる。

「みんな早く離婚してしまえ」
そして周囲に誰もいなくなった

?村田は今、転職活動をしている。今ならば、「若き課長」として労働市場で売れると考えたからだ。ただし大きな理由は、実は他にある。

?自分が知らないところで、営業部の河口という20代後半の女性が、結婚式を挙げたらしい。さすがにバカバカしくなったのだ。村田には一切、知らされていなかった。部長以下、十数人が参加した。その中には、村田の部下である非管理職たちも多数いる。

?なぜ、課長である俺を呼ばない??あれほどに仕事で尻拭いをしてあげているのに……。残業代ももらえず、無償の行為をしているのに、こんなことを水面下でやっているなんて……。

?村田には、河口のこともフォローしてきた自負があった。お世辞にも優秀とは言えない女性だった。むしろ、足手まといと思ったほどだ。それでも、仕事を手伝っていた。

?なめやがって……あいつ……。

?怒りが次第に強くなる。最近は、河口のフォローはしないようにしている。そうしているうちに、村田の腹に秘めた怒りやコンプレックスを感じ取ったからだろうか、いつしか20代の女性社員が周囲に近寄らなくなった。一方で、早々と数年以内に離婚する女性がいると、うれしさのあまり、誰もいないトイレでほくそ笑む。そして祈る。

?早く、河口も離婚しろ……!

婚期を逃がした上昇志向の
強い30代には厳しい企業社会

?村田が転職活動をする、もう1つの理由がある。自分を含む30代の男性社員にひどいしわ寄せが来ることにも、愛想を尽かしていた。それは絶望的な怒りに近い。

?部長は2流半と言われる私立大学しか卒業していないのに、バブル世代の末期にどさくさまぎれに入社し、そのまま居座っている。さしたる実績はないはずなのだが、営業部のナンバーワンである。無責任にも、仕事を次々と課長である村田にあてがう。しかも指示は滅茶苦茶だ。ところが、なぜか20代社員の前では、優しいおじさんであろうとする。

?そんな上司の「土台要員」の役割を果たすことにも、心底嫌気がさしていた。20代のしょうもない女性たちに軽くあしらわれ、無能な部長にもいいようにこき使われる……。俺が独身だから、こんな目に遭うのだろうか?。俺が40代になっても、この構造は変わらないだろうな……。こんな思いが、今や確信となっている。

?朝、ひげを剃るために洗面台の鏡に向かう。時々、自分が別人のように見える。白髪が目立つ。眉間にしわがいくつもある。額の生え際が薄くなり、頭皮が見える。髪が細くなり、こしがない。もみあげのところの毛には、白髪が光るほどに生えている。ほほやあごには脂肪らしきものがたまり、顔が大きくなっている気がする。鼻毛にも白髪がある。シミも、目じりの下にかすかに見える。そんなものが5〜6つもある。

?これでは、あの見合い写真と別人の男になってしまう。まさにおっさんだ……!?どうしよう……!??キモイ……かもしれない……。

?写真は、「結婚相談所」に入会したとき、そこに案内されて訪ねたスタジオで撮影したものだ。それを見たとき、自分とは思えないほどのイケメンになっていた。目は奥二重なのに、はっきりとした二重になっている。しばらく、その写真を見るのが怖かったくらいだ。

?俺も、あのお見合いの女性たちと同じなのだろうか……。これじゃ、双方とも詐欺みたいなものだな……。あのとき、あの女性と一緒に歩くのが恥ずかしかったけど、彼女たちも俺と歩くのは嫌だったのかな……。「おじさんとおばさんの会話にならない見合い」か……。

?絶望のかすかに手前にあるところで、村田は何とか踏みとどまっている。衝動的に辞表を出したいという思いをぐっと押し殺し、職場で理不尽な扱いに耐え、極秘で転職活動をしている。新しい会社に行けば、いい女も見つかる。まともな課長職になることができる……。内定をゲットしたら、こんな会社、辞めてやる!?あの女ちたちや部長たちとも、縁を切る!

?これらが妄想でしかないことは、村田はやがてわかるだろう。一昔前の話ではない。婚期を逃がした上昇志向の強い30代の男女には、今でも企業社会は厳しい場所なのである。

タテマエとホンネを見抜け!
「黒い職場」を生き抜く教訓

?今回登場した村田の捉え方は、読者によって様々だろう。そこで今回は、この男性の背景にあるものを考えることで、企業と会社員のタテマエとホンネを考えたい。

1.30代の意識の高い人が
這い上がれない職場の構造

「婚活」「結婚難」と言うと、非正規社員が登場し、収入が少なく、生活が不安定で結婚ができない「かわいそうな人たち」が、メディアで取り上げられがちだ。そこでは、有識者が決まって「格差」を論じる。その格差は相も変わらず「正社員 VS 非正規社員」というくくりで捉えられることが多い。

?しかし、筆者が取材をしていると、それはある一断面でしかないことに気がつく。タテマエにしか見えないこともある。むしろ実際は、今回紹介した村田のような正社員として、そこそこの収入を得ている人であろうとも、割に合わない状況に陥り、結婚ができないケースのほうが多い。村田は「名ばかり課長」として、20代の社員の面倒を一応はみる。だが、同世代の30代の社員が少ないために、大きな負担となる。これが、様々な機会で異性と知り合い機会を奪うことになっている。

?その機会を奪う理由の1つとなっている20代の女性社員は、次々と「寿退職」をする。村田がなんとも解せない思いになるのは、ある意味で当然ではないか。行き詰まった中堅・中小企業とはこういうものなのだろうが、意識の高い30代の社員が這い上がれない構造がここにはある。

?30代の意識の高い人が這い上がれない構造は、この国の根深い問題であり、近いうちに一段と深刻化するはずだ。本来は「正社員 VS 非正規社員」だけではなく、「20代 VS 30代」「20代+40〜50代 VS 30代」といった観点から、深くアプローチし、問題点を炙り出すべきなのだと筆者は思う。世間のメディアでそれができていないこともあり、今回はそうしたスタンスで取材を試みた次第だ。

2.会社員の婚期が遅れる
本当の理由

?村田はなぜ、独身であるのか。いくつかの理由があるのかもしれないが、その1つには、女性や周囲を怒らせる「何か」があるのではないか。たとえば、心の中で周囲を見下す思いである。一流大卒で、若き課長として冴えない上司や部下、そして会社を否定したくなるのも理解できなくはないが、あえて孤立するような言動をとるのもいかがと思う。

?結婚している人の中にも、このような自己中心的なタイプは多数いるが、このことが村田の婚期を遅らせてしまっている一因とは、言えないだろうか。周囲には、ホンネのところではこうした人たちにシンパシーを感じ取っている人もいるだろうが、タテマエとしては「かわいそうな人」という扱いになる。

結婚の「格差」を嘆くメディアや
有識者が伝えない真実とは

?さらに言えば、そもそも村田自身、ホンネのところでは「婚期が遅れている」ことに焦っていないのかもしれない。「若き課長」として、お世辞にも優秀とは言えない部下や上司を冷めた目で見ては、バカにすることで、この男の自尊心は当面は守られている。生活水準も低くはない。会社員としては、将来も決して暗いとは思えない。

?村田は、様々な面でそれなりに満たされているのだ。これも、1つの立派な生き方なのではないか。成熟した社会では、村田のような人が増えてくるのは自然なことであり、健全な流れとも言えよう。「格差」を嘆くメディアや有識者が、なかなか伝えないホンネのところだ。

[32削除理由]:削除人:要点がまとまっていない長文


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