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「日本郵政グループ」新規上場後は課題が山積み?
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150815-00000008-zuuonline-nb
ZUU online 2015/8/15 18:15
8月14日、日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の郵政3社が、11月4日に新規上場することが明らかになった。
親子3社が同時に新規上場するのは国内で初めてとなり、またその規模の大きさから市場関係者の注目が集まっている。
市場環境が非常に厳しいため、同社の新規公開株(IPO) に買い注文が殺到するとは考えにくく、将来の株価上昇にはリストラを含む経営戦略の大転換やガバナンスの大幅改善が必要になってくるだろう。
ここでは、8月7日に発表された第1四半期(4〜6月)決算を踏まえたうえで、同社のIPOの動向を占ってみたい。
■厳しい収益環境は当面続きそう
4〜6月の経常収益(一般企業の売上高に相当)は3兆4,465億円で前年同期から3.2%減り、経常利益は2,427億円で同10.8%落ち込むという厳しい内容だった。
傘下企業別にみると、日本郵便は増収増益だが、利益の柱であるゆうちょ銀行とかんぽ生命保険がいずれも5%程度の減収、経常利益は1割以上減少した。厳しい決算だが3社とも低迷の続く国内市場が主体のためほぼ想定どおりの結果といえよう。
日本郵便の郵便・物流事業は取扱高が底打ちし営業損益は改善したが、それでも80億円近い赤字を計上し、兄弟会社2社の窓口代理事業に大きく頼る利益体質は変わっていない。
ゆうちょ銀行では運用収益を表す資金利益が、債券など有価証券の利回り低下により1年前に比べて358億円、9%の大幅減少となったことが響いている。かんぽ生命も保険契約数の減少と運用利回り低下で本業から稼ぐ基礎利益が15%近く減っている。
このような厳しい収益環境は当面続きそうだ。同社は国内事業が主体で、人口減少や若年層の所得低下の荒波をもろにかぶることになるためだ。日本の超金融緩和策がいずれ出口に向かえば金融2社の収益好転が期待できるが、新たな株主からは自力による現状打開策を強く求められることになるだろう。
■郵政グループの課題は山積み
喫緊の課題は海外展開とコスト削減である。縮小が続く国内市場から新興国などの成長市場に目を向け、それに即した社内資源の配置や外部資源の活用が必要になる。
例えば、ゆうちょ銀行は融資事業が脆弱で、運用資産に占める貸出金の割合はわずか1%強。これでは自力で海外融資事業を行うなど夢のまた夢だ。保険事業でも一から販売ネットワークを築くには多大なコストがかかるため、海外進出は企業提携・買収が一般的だ。
したがって郵政グループ金融2社の海外展開にはM&Aが不可欠だ ろうが、これまで国内事業に専念してきた 2社にそのノウハウがあるとは思えない。
奇しくもその試金石となるのが今年5月末に日本郵便が行った豪物流大手トール・ホールディングスの買収だ。買収金額は約6000億円で、郵政グループが世界5位の物流企業になるという大型買収をいきなり行ったわけだが、国際物流でも競争が激化するなか、日本郵便の先行きに早くも懐疑的な目を向ける関係者は多い。
人員や拠点の削減などのリストラ策も課題が多い。現在でも郵便局やそこで働く人員に余剰感を覚える利用者は少なくないと思われるが、国内市場の縮小で今後これがさらに強まるのは必至の情勢だ。
しかし大株主である政府は、全国に広くあまねくサービスを提供するユニバーサル・サービスをグループ子会社3社に義務づけており、局舎や人員の削減に足かせがかけられている。
結局、行き着くところは企業ガバナンスの問題になる。政府の要求と利益追求を求める新たな株主との折り合いをどうつけるか、また上場企業としての透明性を如何に確保するかは、経営陣の頭を悩ます問題になるだろう。
日本郵便を擁し金融2子会社の過半の株式を依然保有することになる日本郵政と、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険 の3社が同時に親子上場するわけだが、主な買い手は、全株式を組み入れる義務のあるインデックス・ファンドと、上場後の値上がりを期待する一部の個人投資家などが考えられる。
小泉政権以来、何かにつけ取りざたされた郵政グループの本格民営化のスタートはどうなるだろうか、注目である。
板倉 雅史(シニアアナリスト)
国内・外資系の証券会社/投資顧問会社で30年余にわたってアナリストとして経験。
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