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ヨーロッパで広がっているワンウェイ式カーシェア「CAR2GO」(2014年9月、桃田健史撮影)
路駐車両を利用可能 加速するクルマの公共交通化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150815-00010000-norimono-bus_all
乗りものニュース 8月15日(土)11時14分配信
■路駐しているクルマを借りられるヨーロッパ
クルマが、電車やバスと同じような乗りものになる日が来るかもしれません。つまり、クルマが公共交通のようになるかもしれません。そうした傾向がいま、世界各地でドンドン高まってきているのです。
まずはヨーロッパ。高度交通システム(ITS)に関する国際会議の場で、自動車関連調査会社の多くが「ヨーロッパにおける若者のクルマ離れ」を指摘するようになりました。クルマの代わりに、LRT(路面電車などの軽量軌道交通)や自転車の利用が増えているといいます。彼らにとってクルマを所有することは、とても面倒なことなのです。
もちろん金銭面での負担もありますが、最も大きな問題は駐車スペースです。多くのヨーロッパ都市部では、庶民の住宅に駐車場がありません。そのため法律で“路駐”が許されています。しかし夜は“路駐”するスペースもなくなってしまい、自宅から遠い場所に停めることも。こんな面倒なことに嫌気が指して、クルマを手放す人も増えています。クルマがなくても、発達している公共交通機関を使えば良いのですから。
荷物が多いときや赤ちゃんが一緒のとき、早朝や深夜で電車やバスが走っていないときなどは、カーシェアの出番です。日本でも最近、パーク24が運営する「タイムズカープラス」などのカーシェアが増えています。
ただし日本の場合、A地点からB地点までといった出発地に戻らないワンウエイ式カーシェアは、まだほとんどありません。一方、ヨーロッパで最近急速に広がっているメルセデス運営の「CAR2GO」は、路駐しているクルマを借りて、自分の好きな場所に路駐して返すことができます。
ヨーロッパでは若者のクルマ離れが進むなか、「カーシェアをするために運転免許を取る」という人が増えているそうです。彼らにとってクルマは所有するより、共有するほうが便利なのです。
■自動運転が加速させるクルマの非所有物化
次にアメリカは、ニューヨークのマンハッタンやサンフランシスコなど一部の地域を除き、公共交通機関が発達していません。
その原因について「昔から地方行政に対して自動車産業界の圧力があった」と、まことしやかに言う人が大勢います。その真相を突き止めるのは難しいと思いますが、現実としてアメリカはクルマ社会になっています。
そんなアメリカでも最近、クルマを所有しない、または所有するクルマの台数を減らす人たちが徐々に増えてきました。クルマの代わりに彼らが使うのが、「Uber」や「Lyft」といったカーシェアや相乗りサービスです。朝晩の通勤で渋滞のなかを走るのが苦痛だとか、お酒を飲んで帰りたいとか、都市周辺の郊外に住む人たちが利用します。
これはアメリカでは、極めて大きな社会変化です。公共交通機関が少ない地域に、公共交通機関のような役目をするビジネスが定着しようとしているのですから。
こうした世界各地でのトレンドを踏まえて研究開発が進んでいるのが、「グーグルカー」です。スマホで時間と場所を指定すると、ドライバーレスの自動運転車が利用者をピックアップ。予約時に目的地を設定していれば、そのまま自動運転が始まります。乗車してから音声認識やスマホ操作で目的地を指示したり、走行中に「ちょっとスーパーで買い物をしたくなった」と寄り道することも可能。そんな夢のような乗りものが、2020年前後には実用化される計画です。
またグーグルも出資するシェアライドの世界最大手「Uber」が2015年2月、先進技術研究センターを開設。自動運転について開発を始めました。既存のカーシェアサービスの自動運転化を目指しているとみられます。
日本でも、DeNAと自動運転関連のベンチャー企業ZMPが2015年5月、新しい企業「ロボットタクシー」を立ち上げました。
近い将来、カーシェアと自動運転が連携し、バスや電車のような公共性を重視した乗りものへと変貌。クルマは所有するものから供給されるものになり、日常生活が大きく変わるかもしれません。
桃田健史
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