5. 2015年8月14日 23:28:00
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GDPデフレーターが低下するインフレ 2015/08/13 ◆GDPデフレーターが示すもの少し理屈っぽい話から始める。GDPは国内総生産の英語の頭文字だが、その意味は「一国の中で生産されたモノとサービスの(付加価値の)総合計」のことだ。生産されたものは販売され、誰かが需要し購入する(在庫の増加は生産者が購入したと想定する)から、生産=購入(需要)が成り立つ。GDP統計が発表されたときに、個人消費、設備投資、輸出などがどれくらい増えたかという内訳が発表されるが、これはGDPを需要(購入)面から捉えたものだ。 さらに、生産されたものを誰かが購入すれば、売り手は所得を得る。したがって、生産=購入(需要)=所得という関係が成立する。これをGDPの三面等価という。つまり、GDP(国内総生産)は最終需要の総合計でもあるし、経済主体(家計と企業と政府)が得た所得の総合計でもあるのだ。 次に、「名目GDP/GDPデフレーター=実質GDP」という関係を考える。デフレーターというのは価格を示す指標だが、GDPデフレーターはGDPの需要項目である個人消費や設備投資などの個別の需要ごとのデフレーターを総合したものだ。しかし、そう説明しても理解しづらいことは否めない。 そこで、GDPデフレーターは次のようなものだと考えるともう少し分かりやすくなる。GDPデフレーター=名目GDP/実質GDPだから、三面等価を考慮すれば、「GDPデフレーター=名目総所得/実質総生産」と読み替えることができる。つまり、GDPデフレーターとは「実質生産1単位当たりの名目総所得」のことだと理解できるわけだ。 「GDP=国内需要(個人消費、設備投資等々)+輸出−輸入」という関係があるので、輸入の減少はGDPを増加させる。このことから、たとえば原油の輸入価格が下落すると、輸入デフレーターが低下し(小さくなり)、逆にGDPデフレーターは上昇する(大きくなる)ことが分かる。原油価格の下落で国内の物価が下落している時に、総合的な物価指標であるGDPデフレーターが上昇することに違和感を覚えるかもしれない。しかし考えてみると、実質生産が変わらなくても輸入コストの低下によって国内の経済主体の所得が増えるわけだから、「実質生産1単位当たりの名目総所得」は大きくなる。GDPデフレーターの上昇は、国内の名目所得の増加を意味しているのだ。 ◆財政が引き起こすハイパーインフレ さて、話は飛躍するが、日本で将来ハイパーインフレが起こるのではないかと懸念する識者は少なくない。原因は財政だ。ここでは財政そのものには深入りしないが、日本が財政の健全化に失敗して物価が暴騰するというシナリオだ。 財政インフレは、(1)財政支出が増大し、需給がひっ迫して起こるものと、(2)国債を中央銀行が直接引き受けるなどして、通貨の発行量が増大して起こるものとが想定されている。しかし私は、日本で財政を原因とするインフレが起こる場合は、そのいずれでもないと思う。起こるかもしれないのは、(2)の変形というか、日銀がタブーとされる事実上の国債の直接引き受けを行っていると市場が受け止めて、為替市場で円が信認を失うような事態だ。お金が溢れてインフレになるのではなく、円が暴落してインフレになるケースである。 この場合は、前節の議論に照らせば、まず輸入デフレーターが暴騰する。輸入価格の上昇が国内に価格転嫁されると、国内需要デフレーターが上昇する。価格転嫁が十分に行われれば、輸入デフレーターの上昇と国内需要デフレーターの上昇が相殺しあって、GDPデフレーターは変わらないかもしれない。そうであれば、実質(数量)ベースで見た経済活動が変わらなければ、GDPはとりあえず名目でも不変だ。名目の所得総額が不変の下で、国内物価(国内需要デフレーター)が上昇することになる。収入が変わらず、物価が跳ね上がるのだから、日本全体で見て実質ベースで所得が減少することになる。ちなみに、価格転嫁が不十分な場合は、国内物価の上昇率は相対的には小さくなるが、GDPデフレーターが低下して国内の名目所得の総額が減少するから、結局、実質ベースで見た所得の減少は免れない。 ◆インフレでは借金問題は解決しない 一般に、インフレは借金の実質返済負担を軽減すると言われている。ただし、こうした議論の前提には、物価が上昇する一方で所得も増加するという想定がある。物価と収入が同程度に上昇すれば、実質ベースで収入が増えるわけではないにせよ、確かに借金の実質返済負担は減少する筋合いだ。 しかし、日本で将来起こりうるインフレが円相場の下落によるものであるなら、それは前節で見たように所得の増加を伴わない。それどころか、そうした物価の上昇は需要の減少を通じて実質ベースでGDPを減少させるだろう。その先では名目GDPとGDPデフレーターの低下も避けられない。 名目ベースで所得が減少すれば借金の実質返済負担は軽減されるどころか、いっそう増大することは自明だ。そんな中で、財政の健全化を進めるために増税と歳出削減を断行せざるを得なくなれば、経済はますます縮小することになる。それは、まさに今ギリシャが陥っている状況と同じだ。 日本の財政問題は、いずれ必然的にか、あるいは意図的にか、ハイパーインフレによって解決されるという見方が多い。しかし、それは全くの誤りである。好況による健全な物価上昇ではなく、財政問題を原因とする物価上昇、とくにハイパーインフレは日本経済に深刻な事態をもたらす。何としても回避する必要がある。そのためには、日銀が、財政ファイナンスだと誤解されかねないあまりにも大量の国債購入をやめる一方で、政府は、説得力のある財政健全化シナリオを提示し、実行する必要がある。残念ながら、今のところそのどちらも実現しそうにない。 (三菱UFJビジネススクエアSQUET 情報スクエア「五十嵐敬喜の『経済をみる眼』」2015年8月6日より転 http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/igarashi/column/igarashi150813 米生産者物価指数:7月は伸び鈍化−エネルギーが値下がり 2015/08/14 22:54 JST (ブルームバーグ):米国の生産者物価は7月に伸びが鈍化した。エネルギー関連が大きく値下がりした。 米労働省が発表した7月の米生産者物価指数(PPI )は前月比0.2%上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト70人の予想の中央値は0.1%上昇だった。前月は0.4%上昇。7月は前年同月比では0.8%低下した。 項目別ではエネルギーが前月比0.6%低下(前月2.4%上昇)。食品は0.1%下げた(前月0.6%上昇)。 食品とエネルギーを除くPPIは前月比0.3%上昇で、前月と同率の伸び。市場予想は0.1%上昇だった。前年同月比では0.6%上昇した。 食品とエネルギー、商業サービスを除いたPPI は前月比0.2%上昇。前月は0.3%上昇だった。 統計の詳細は表をご覧ください。 原題:Wholesale Prices in U.S. Increased at Slower Pace in July (抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Victoria Stilwell vstilwell1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net 更新日時: 2015/08/14 22:54 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NT2QWSSYF01T01.html
BRIEF-7月の米卸売物価指数(最終需要)は前月比+0.2%(予想:+0.1%)=労働省 [ 14日 ロイター] - 米労働省は卸売物価指数(PPI)統計を発表した。
* 7月の米卸売物価指数(最終需要)は前年比-0.8%(予想:-0.9%)=労働省 * 7月の米卸売物価コア指数(最終需要)は前年比+0.6%(予想:+0.5%)=労働省 * 7月の米卸売物価コア指数(最終需要)は前月比+0.3%(予想:+0.1%)=労働省 * 7月の米卸売物価指数(最終需要)は前月比+0.2%(予想:+0.1%)=労働省 7月の米PPIは前月比0.2%上昇、3カ月連続のプラス
By JEFFREY SPARSHOTT AND KATE DAVIDSON 2015 年 8 月 14 日 22:12 JST 【ワシントン】米国の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が3カ月連続で上昇した。インフレが記録的な低水準から回復し、安定しつつあることを示した。 米労働省が14日発表した7月のPPI(季節調整済み)は前月比0.2%上昇した。6月は0.4%上昇していた。 変動の激しい食品・エネルギーを除くコアのPPIは0.3%上昇した。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエコノミスト調査では、最終需要向け財・サービスの全項目を含むPPIとコアのPPIがいずれも0.1%上昇すると予想されていた。 前年同月比では、全項目のPPIが0.8%低下。コアのPPIは0.6%の上昇にとどまった。 7月はサービス価格と製品価格で明暗が分かれた。サービス価格は前月比0.4%上昇する一方、製品価格は0.1%低下。エネルギーと食品の価格もそれぞれ低下した。 個人消費向けのPPIは前月比0.2%上昇。 一方、中間需要の価格は前月比0.2%、前年同月比6.6%それぞれ低下し、インフレ圧力の弱さを浮き彫りにした。 http://jp.reuters.com/article/2015/08/14/idJPZPN79IV0220150814 元切り下げ後の金融市場展望 金融市場が総じてリスクオフに傾くなか、基準値は前日に続いて元安方向に設定された。 ただ日本株は元切り下げで一気に弱気相場入りしてしまうような状況にはないとみる。 金融・財政・通貨政策全体で中国リスクの低減につながるかを判断する必要があろう。 情報提供資料 2015年8月13日 三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川 雅浩 1 市川レポート(No.130) 金融市場が総じてリスクオフに傾くなか、基準値は前日に続いて元安方向に設定された 8月11日に中国人民銀行(PBOC、中央銀行)が事実上の人民元切り下げを発表し、同日の金融市 場は総じてリスクオフ(回避)の動きが強まりました。元安進行によって周辺国の輸出が圧迫される との警戒感や、それほどまでに中国景気は悪いとの懸念が市場参加者の間に広がったためと思われま す。欧米市場でも総じて株安と債券高(利回りは低下)が進み、また原油や銅などの商品価格が下落 しました。 注目されていた8月12日の基準値は1米ドル=6.3306元と、前日の基準値である6.2298元から 1.6%米ドル高・元安方向に設定されました。前日の終値が6.3250元水準であったことを勘案すると、 当局の公表通り、為替市場の前日終値などを参考にする新しい算出方法で基準値が決められたことが 分かります。なお人民元の対米ドルの1日当たり変動幅は基準値の上下2%に制限されており、前日の 終値も基準値から1.5%米ドル高・元安に進んだ水準でした。この終値などを基に決定された12日の 基準値は、前日の基準値からやはり同程度、米ドル高・元安方向に位置することになります。
【図表1:アジア・オセアニア通貨の対米ドル変化率】 (注)2015年8月10日を基準に8月12日までの変化率。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成 【図表2:人民元の対円為替レートの推移】 (注)データ期間は2014年8月12日から2015年8月12日。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成 15 ただ日本株は元切り下げで一気に弱気相場入りしてしまうような状況にはないとみる 日本株は8月11日、12日と続落しました。中国景気への懸念や原油安などを嫌気し、素材、資源、 インバウンド消費関連を中心に幅広い銘柄に売りが広がりました。日本株は元安のペースをにらんで 神経質な相場展開がしばらく続くと思われます。市場では1米ドル=6.5元程度まで元安が進むとの見 方が強まっており、この水準で人民元相場が安定するか否かが、目先の日本株の落ち着きどころを探 る上で1つのポイントになる可能性があります。 中国当局は、金融・財政・通貨の政策を総動員して景気対策を行っています。そのため現時点で中 国リスクが直ちに顕在化する恐れは小さいとみていますが、この先当局の政策効果を慎重に見極める 姿勢は大切です。ただ少なくとも足元程度のドル高円安や原油安は日本株にとって悪い材料ではなく、 今回の人民元の切り下げを持って一気に弱気相場入りしてしまうような状況にはないと思われます。 金融・財政・通貨政策全体で中国リスクの低減につながるかを判断する必要があろう 為替市場では、人民元の下落に連れ、アジア・オセアニア諸国の通貨安が進行しました(図表1)。 やはり中国景気への懸念や原油安などが材料視されたと思われます。加工品を輸出するタイなどは、 貿易面で中国と競合関係にあるため、元安によって相対的に輸出競争力が低下する懸念があります。 ただこれらの国々の通貨も人民元に連れ安となっているので、その影響はある程度緩和されるとみて います。 また人民元は対円でも下落し、足元では1元=20円を割り込んで、19円台半ば近くで推移してい ます。対円の為替レート変動により、中国からの訪日観光客の減少が心配されるところですが、1年 前の1元=16円台後半に比べれば依然として元高・円安水準にあり(図表2)、インバウンド消費が 急速に冷え込むことはないと思われます。今回の人民元切り下げは、金融・財政・通貨政策による総 合的な景気対策の一部であり、政策全体として中国リスクの低減につながるかを判断する必要がある と思われます。 http://www.smam-jp.com/useful/report/ichikawa/__icsFiles/afieldfile/2015/08/13/irepo150813.pdf |