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4〜6月期はマイナス成長に(イラスト:TAKUMI-CG/PIXTA)
日本経済の雲行きが怪しくなってきた 4〜6月マイナス成長で景気対策の思惑浮上
http://toyokeizai.net/articles/-/80417
2015年08月13日 山田 徹也 :週刊東洋経済 副編集長
日本経済の雲行きがにわかに怪しくなってきた。
8月17日に発表される今年4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率はマイナスで着地しそうだ。民間エコノミストらによるコンセンサス予想・ESPフォーキャスト調査は6月5日時点では前期比年率プラス1.7%だったが、7月9日時点では同0・72%に下方修正。8月11日にはマイナス1.55%に大幅に下方修正されてきた。
ドイツ証券は6月時点でプラス1%とみていた成長率を7月17日に下方修正し、マイナス0.7%と見込む。バークレイズ証券の最新予想はマイナス1.7%、モルガン・スタンレーMUFG証券に至ってはマイナス2%だ(いずれも前期比年率)。
■消費の低迷と輸出の不振
各エコノミストが共通して指摘する下方修正の原因は、GDPの6割を占める消費が低迷していることと輸出が弱いことだ。
消費低迷の一因は、4月の軽自動車税引き上げに伴い、直前に駆け込み消費があり、その反動が出たこと。また、6月は悪天候続きで消費に逆風となった。
ドイツ証券の小山賢太郎エコノミストは「消費が冴えないのはサプライズだったが、悪天候など特殊要因が重なったことが大きい。消費のセンチメントや所得環境など、消費を構造的に下押しするような圧力は特に見あたらない」と解説する。
他方、悲観的な見方もある。
SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「昨年の消費増税をきっかけに、低所得者層中心に節約志向が広がっている。シニア層は株高の恩恵を受けているアクティブシニアと節約層に二極化しており、大企業中心の賃上げだけでは、消費の弱さを補えていない」と懸念する。
■7〜9月期も不振なら?
では先行きはどうか。今のところ7〜9月期はプラス成長に戻るとの見立てで一致している。
「雇用環境はしっかりしており、大崩れはない。日本経済は一種の”踊り場”的な局面にあったのだろうが、2四半期マイナス成長はないのではないか」とモルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅シニアエコノミストは見る。
ただ、先行きのリスクは残るようだ。バークレイズ証券の森田京平マネージングディレクターは、米国向け輸出や実質賃金の改善が見込めるため、2四半期連続のマイナス成長はないとしながらも、「鉱工業生産が震災前の水準をなかなか超えられていない点や、日銀短観が『設備投資不足』を示しているにもかかわらず、製造業の稼動率が上がっていない点が気になる。製造業の設備投資が更新投資以上の規模になるのか見極めたい」と指摘する。
エコノミストの予測に呼応するかのように、安倍政権内部からも、日本経済の成長率の弱さに懸念を示す声があがる。本田悦朗・内閣官房参与は「足元低迷している個人消費が復調しなければ(中略)3兆円程度の補正予算で下支えする必要がある」と述べたという(8月4日付けロイター)。
次の焦点は11月16日公表予定の7〜9月期の実質成長率。仮に、ここでもマイナス成長、ないしはそれに近い低水準の数値が出るようだと、本田参与のアドバルーンのように、補正予算や追加金融緩和の観測が強まるかもしれない。
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