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雑感。機械受注統計と中国経済
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2015年08月13日 在野のアナリスト
中国の天津港湾地区にある倉庫で、爆発が起きました。原因は不明であるものの、事前に車が燃えていた、との報もあるように、単なる事故ではないかもしれません。危険物質を満載した倉庫、というのは中国全体を示唆するようですが、テロだとすれば自動車が突入したのかもしれませんし、自然発火だとすれば危険物の取り扱いがどうなっていたのか? 中国ではバブル崩壊も囁かれますが、これで天津の物流が止まり、また失われた物資からも破綻企業が出てくるかもしれない。被害をうけた人への補償など、様々な点で痛手になることでしょう。
今日も人民元の基準値をひき下げ、この3日間で4.6%も下落しました。人民銀副総裁が「定期的な介入」は中止し「効果的に管理」する、と述べています。言葉が遊んでいる印象ですが、要するに急激な人民元安は容認せず、ゆっくり誘導するということなのでしょう。これは「ファンダメンタルズは力強い」として、急激に人民元安になる根拠がない、とする声明をだしたことでも、裏付けられるのでしょう。管理相場を覆すような大きな変動には断固として対抗する、という意図が透けてみえますが、そもそもファンダメンタルズは弱く、それ以上に数字に信頼がおけません。
6月機械受注統計が、船舶・電力を除く民需の受注額は前月比7.9%減と、市場予想を超える大きな落ち込みでしたが、4-6月期では前期比2.9%増と、4四半期連続の増加です。しかし前向きな設備投資というより、古い設備の更新を余裕のあるときにやってしまおう、という行動にみえます。さらに、中国進出に失敗し、撤退する企業は設備を残してくることが多く、工場移転に伴う設備の購入が活発化している状況もみえます。しかし問題は先行きの7-9月期の見通しは、前期比0.3%増。集計した段階では人民元の基準値引き下げなどの影響もあり、中国経済への警戒は高まっていなかったことから、計画を停止する企業も出てくる可能性が高まります。
元々、設備投資は期初の計画段階より、実施されないことも多い。0.3%増は瀬戸際どころか、ほぼマイナスを覚悟するような数字です。消費も低迷、外需も期待できず、設備投資すらおちこめば、4-6月期はマイナス成長予想が拡大するように、7-9月期もマイナス成長に陥る可能性が高まります。昨年度は増税でマイナス成長、というイイワケができても、今年度もマイナス成長に陥るなら、もう安倍ノミクスは完全に失敗した、とのレッテルも貼られるのでしょう。
今日の株式市場は、日経平均だけ堅調という異常な相場つきでした。TOPIXは辛うじてプラスだったものの、下落銘柄の方が多く、明日のマイナーSQにむけて21000円が重かったこともあって指数寄与度の高い銘柄のみ、買い上がった印象です。これを反発力のある強い相場、とは言い難いのでしょう。日本の官製相場は、今のところ中国より成功しているようですが、今後は分かりません。
日本の「ファンダメンタルズは弱い」。しかし日銀が「定期的な介入」を続けているから堅調、というところであって、「効果的な管理」に移れる状態でもなくなっています。今年は年後半の見通しを示していませんが、日銀の動き次第で、年後半の相場つきは大きく変わってきます。しかし中国で不動産バブルの崩壊、株バブルの崩壊、が叫ばれますが、日本の株バブルとて今は深刻なレベルです。業績の裏づけがある、といっても年後半の高い業績の伸びがないと、それを正当化することはできません。中国が崩れれば、日本も無傷ではいられないのです。天津の爆発事故が、烽火のように見えたのは、気のせいではないのかもしれません。世界経済の不安定化を改めて示唆するのなら、世界全体が身構えざるを得ない時代がくるのかもしれませんね。
明日、明後日とお休みして、16日から再開したいと思います。
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