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2015年 08月 13日 19:40コラム:人民元ショックは早期収束へ 鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト [東京 13日] - 米雇用統計も終わり夏休みシーズンの閑散相場を迎えるかに思ったが、中国人民銀行(中央銀行)の基準レート引き下げが金融市場を揺さぶっている。 人民銀行は11日、人民元の基準レートと市場レートのかい離を解消するためとして、基準レートを前日よりも約1.9%引き下げ、これは「1回限り」の措置とした。しかし、実際に起きたのは基準レート決定方法の変更である。 2005年7月以降、基準レートはマーケットメイカーに対するヒアリングを基に人民銀行が決定する(事実上は人民銀行の裁量次第)ことになっていたが、11日以降は「前営業日のドル人民元相場の引け値を参照し、他通貨の需給や市場動向も加味して決定する」こととなった。人民銀行の裁量部分も残されてはいるものの、「前営業日の引け値を参照」することでより市場原理に基づく決定方法に移行した。 結果、突然の引き下げ措置は「1回限り」だが、人民元の下落トレンドが続けば新ルールに基づいてどこまでも基準レートが引き下げられる可能性が台頭。実際、12日、13日と基準値が連日引き下げられたことで、金融市場に動揺が走っている。 <AIIBもにらんだ当然の一手> 今回の措置に対する中国サイドの目的は2つあると見ている。1つは金融改革の推進、もう1つは景気対策である。 金融改革に関しては、もともと2013年の中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)で改革の全面的深化における重要領域として「市場による価格決定メカニズムの完備」「人民元レートの市場メカニズム導入」「金利自由化の推進」「預金保険制度の確立」などを挙げており、これらについて2020年までに決定的成果を得るとしていた。10月に予定される第5回全体会議(5中全会)で2020年までの5カ年計画が決定するが、この中でも金融改革は最重要課題となることが確実視されている。 国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨採用や本格稼働が近づくアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対する「金融改革推進アピール」の必要もあろう。 スケジュールを確認すると、6月に米中戦略対話が行われ、9月には習近平国家主席の訪米、10月に5中全会、10月から11月頃にはSDR採用通貨決定、年末から年明けにAIIB本格稼働といった状況の中で、7月末から8月上旬の為替市場改革は中国サイドからすれば当然の一手だった可能性が高い。 景気浮揚策としての人民元安誘導の意味もあろう。昨年終盤より人民銀行は積極的な金融緩和姿勢を示して数度にわたる利下げや預金準備率の引き下げを行い、中国政府は水利事業や鉄道、住宅などに対する財政政策を積極化。また、規制緩和など制度的な後押しも行ってきた。 7月の貸出増加や貿易統計に見る資源エネルギー商品輸入の持ち直しの兆しなど、その効果は徐々に確認されつつあるものの、6月以降の株式市場の動揺などを含め不安要素も多い。これまで米景気回復を背景に全般的に上昇トレンドを描いてきたドルにほぼ固定していたことで、人民元は実質的に切り上がってしまったが、ここでその不均衡を解消するとともに、輸出テコ入れ効果を狙って人民元安誘導に踏み切ったということだろう。 <月平均1%の下落が1年続く可能性> メディアや市場はこの2つの理由のうち、景気対策面のみを過剰に取り上げ、報道・相場が過熱してしまっている感が強い。預金準備率は18.5%、1年物貸出金利は4.85%と追加緩和余地は十分にあり、上記の通り景気対策効果も一部には見られ始めている中で、「景気悪化に歯止めがかからず、ついに人民元の基準値引き下げに追い込まれた」との解釈には違和感がある。 むしろ、SDR採用通貨決定や金融改革で決定的効果を要求される5カ年計画策定というスケジュールから逆算した金融改革推進の一環と捉える方が自然ではないか。そうだとすれば、中国当局は急激で大幅な人民元の下落は望んでいないことになる。 市場では人民元急落を前提として、「貿易収支の悪化や競争力維持のために為替レートが引き下げられるとの懸念」からアジア通貨が下落。「中国の輸入減少懸念と、人民元の反対側で切り上がったドルとの逆相関」から商品市場にも悪影響を及ぼし、結果、資源国通貨も下落。中国との貿易比率の大きい国の通貨も軒並み下押し圧力がかかっており、米金融政策にも「人民元安誘導によるドルの実効レート上昇が及ぼす悪影響や、資源価格下落によるインフレ率低迷から利上げ先送り」との見方が台頭しているようだ。 しかし、前述の通り、これらはいずれも行き過ぎた動きだと考えている。確かに、人民元の実効レートと市場レートの間にはかい離が生じており、今後一定の時間をかけてこれを解消していく可能性はある。 中国が為替制度改革を発表した2005年7月以降の8年間で、人民元の実質実効レートはほぼ50%超上昇し、市場レートとのかい離は17%程度に拡大している。金融市場への影響や外貨建て負債のコストなどを考慮すると、人民元は今後緩やかに10%前後の下落を見せる可能性があると考えている。月平均1%程度の下落が1年程度続けばほぼ解消される計算だ。 メインシナリオとしては、人民元は1年程度かけて緩やかに下落、中国の景気を下支えし、その景気拡大が世界経済にプラスとなる一方で、日米の金融政策やドル円相場に対する影響は限定的、というものだ。目先の重要なポイントはまさに人民元の下落が緩やかとなるかであろう。 新たな基準レート決定ルールにおいても、人民銀行には2つの裁量の余地がある。1つは前営業日終値を参考にしつつも他の要素を勘案することができること、もう1つは終値を介入によって持ち上げることにより翌日の基準レートに影響を及ぼすことだ。市場の混乱が続けば、人民銀行はこのような手段を講じてでも市場の安定化に乗り出すと見ており、これにより市場は徐々に落ち着きを取り戻すだろう。 とどのつまり、今回の人民元引き下げ騒動も早期に収束していくのではないか。ドル円は短期的に上下しつつも最終的には日米金融政策格差を反映した相場に回帰していくだろう。 *鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。明治大学経営学修士。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。 超低金利による弊害増大「FRBも気づき始めた」、グロス氏警告 2015年 07月 31日 日本と異なる「バブル崩壊」構造、中国では株式と不動産が逆連動 2015年 07月 14日 人民元仲値の調整が正常、元安は持続しない=中国人民銀 2015年 08月 12日 http://jp.reuters.com/article/2015/08/13/column-forexforum-kengosuzuki-idJPKCN0QI0MU20150813?sp=true ECB:量的緩和を必要なら微調整の準備、失望誘う回復で 2015/08/13 22:08 JST
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は7月15、16両日の定例政策委員会で、世界の市場変動に対応するのに必要であれば量的緩和(QE)プログラムを微調整する準備があることで一致した。ユーロ圏について「異例に低い」インフレ率と「失望を誘う」経済成長が続いているとの認識も示した。 ECBは同委員会の議事要旨を13日公表。「最近の市場のボラティリティは経済見通し評価を大きく変えるには至っていないものの、高い不透明感の継続は警戒と必要に応じた対応準備を要するものだ」とし、「状況が変わって必要が生じるようなら、資産購入プログラムはその設計において、調整のための十分な柔軟性を持ち合わせている」とした。 さらに「ユーロ圏経済の回復は緩やかで段階的にとどまる見込みであり、これは失望を誘うとみられる」と表現。「年初以降に見られた上昇にもかかわらず、消費者物価のインフレ率は引き続き異例に低い」と続けた。 議事要旨によれば、政策委員らは金融市場を「注意深く監視」し続けることで一致。ギリシャと債権団が救済協議開始で同月合意したため、ユーロ圏内に悪影響が広がるリスクは「大幅に減った」との認識も示した。中国金融市場の混乱については、同国の世界貿易に占める大きさから「予想よりも大きな悪影響」があるかもしれないと警戒していた。 原題:ECB Stays Ready to Tweak QE If Needed as Recovery Disappoints(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Alessandro Speciale aspeciale@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net Paul Gordon, Craig Stirling 更新日時: 2015/08/13 22:08 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NT0SWP6VDKHT01.html |