1. 2015年8月12日 22:56:56
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ロシア経済の縮小で原油安への警戒感が再燃 2015.8.12(水) Financial Times (2015年8月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)ロシア政府は危機の最悪期は脱したと言っていたが・・・ (c) Can Stock Photo ロシアの第2四半期の経済成長率(速報値)が前年同期比でマイナス4.6%に低下した。6年ぶりの大幅な落ち込みで、金融危機以来の景気後退入りが決まった。 ロシア連邦国家統計局はこの速報値の詳細を開示していない。 だが、アナリストらによれば、小売売上高や鉱工業生産、世帯所得といったセクターごとの統計数値が実質ベースでさらに大幅な落ち込みを示唆しており、この速報値は下方修正される公算が大きいという。 マイナス4.6%という速報値は、市場予想よりも若干悪い数字だった。エコノミストらは、再び生じた原油安、そしてそれを受けて進行してきた通貨ルーブルの下落のために、早期の景気回復はますます考えにくくなっていると警告している。 第1四半期の経済成長率はマイナス2.2%という比較的マイルドな値だった。ロシア政府は6月まで、昨年の終わりごろに下落したルーブルはその後安定し、危機は最悪期を脱したと国民に断言していた。 プーチン体制下で初の実質所得減少 しかしロシアでは2014年12月に、ウラジーミル・プーチン大統領が権力を握るこの15年間で初めて実質所得が減少しており、簡単には乗り越えられない障害になっている。 先月公表されたデータによれば、6月の小売売上高は前年同月比で9.4%減少しており、第2四半期には個人消費の落ち込みに拍車がかかった。また第1四半期には横ばいだった鉱工業生産も、第2四半期はほぼ5%のマイナスになっている。 「原油価格がここ数カ月でさらに下落しているため、回復を論じるのは時期尚早だ」。調査会社キャピタル・エコノミクスのアナリスト、リザ・エルモレンコ氏はそう指摘する。 ロシアの経済成長はすでに昨年のうちに鈍化していた。投資不足が長期化しているためだ。また原油安の打撃に加え、ウクライナ紛争でのロシアの役割を批判した西側諸国からの制裁が追い打ちをかけた。この制裁により、多くのロシア企業や銀行が外国から資金を借りられなくなっている。 この締め付けは広範なシステミック危機の引き金になると懸念されたが、そうした見方は、急落したルーブルが今年の春に1ドル=50ルーブル前後で安定してから後退した。 だが、ルーブルはそれ以降も弱く、現在は1ドル=64ルーブルまで下げており、新たな懸念も浮上している。 1998年のロシア危機当時より深刻か 「これはロシアがこれまで経験したうちで最も深刻な、ダントツに深刻な危機だ。1998年*1や2008年のそれと比べてもそうであるうえに、我々はまだその最悪の段階に達していない」。マッキンゼーのディレクター、アイリーン・シュヴァクマン氏(モスクワ在勤)はそう見ている。「銀行セクターがいわゆる弱い環になるかもしれない」 ロシア政府は昨年夏以降、輸入代替を促進している。ルーブル安になれば、旧ソビエト連邦崩壊後に大部分輸入することになった品物の製造においてロシアの競争力が再度強まると期待したからだ。しかし、鉱工業生産の減少はあらゆる追い風が短命だったことを示している、とアナリストらは語っている。 *1=1998年はロシアが財政危機に陥り、デフォルト(債務不履行)した年 By Kathrin Hille in Moscow http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44516 ロシア国営ガスプロム、中国との大型契約に暗雲 鳴り物入りの大型プロジェクト、相場低迷で赤字の可能性も 2015.8.12(水) Financial Times (2015年8月10日付 FT.com)
上海で中露首脳会談、合同軍事演習も 天然ガス交渉は妥結せず 2014年5月20日、中国・上海で開かれた中ロの合意文書署名式典に出席したロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席〔AFPBB News〕 ロシアのガスプロムが中国に天然ガスを30年間供給する契約は楽観的な原油市場見通しに基づいており、原油安が長期化した時の備えを盛り込んでいないことが10日、同社の話で明らかになった。 この契約はロシア国営のガスプロムと中国石油天然気集団(CNPC)との間で2014年5月に交わされ、大いに宣伝された。 向こう30年にわたって供給される天然ガスは4000億ドルに上ると見られており、ガスプロムは同社史上最大の契約だと胸を張っていた。 ところがその後、原油相場は50%を超える下落に見舞われており、このプロジェクトの採算も危うくなっている恐れがある。同社では、プロジェクトの開発コストを550億ドルと見積もっている。 供給するガスの価格は主要石油製品の価格と連動 ガスプロムは10日、CNPCと契約したガスの価格は複数の主要石油製品の価格を組み合わせた値に連動することを認めた。 原油価格の低迷が長引いてもガスプロムに損失が生じないようにする備えが契約に組み込まれているのかとの問いに対し、ガスプロムのディレクター、パベル・オデロフ氏は「我が社はこの契約について高いリスクを取る方針を表明しており、そのような事態は想定していない」と答えた。 ルネサンス・キャピタル(モスクワ)の石油・ガス業界担当アナリスト、イルダル・ダヴレトシン氏は、もし足元の原油価格が維持されれば、「パワー・オブ・シベリア」と呼ばれるこのプロジェクトは恐らくガスプロムに利益をもたらさないだろうと述べている。 複数のアナリストによれば、この契約によるガスの価格は契約成立時には1000立方メートル当たり350ドル前後だったと見られる。 だがその後、原油価格が50%下落したことから、「1000立方メートル当たり175ドルにまで下がっている可能性もある。これは明らかに赤字のレベルだ」とダヴレトシン氏は指摘する。 支援に乗り出すロシア政府 一方、ロシア政府はこの最重要プロジェクトを支援する準備を進めている。10日公表の文書によれば、ウラジーミル・プーチン大統領はロシア政府に対し「パワー・オブ・シベリアのパイプラインをはじめとするガス輸送インフラの建設を政府が確実に支援するための包括的な行動計画」を9月初めまでに策定するよう命じたという。 ウクライナへの露ガス供給停止、1日に期限迫る モスクワにあるガスプロム本社〔AFPBB News〕 ガスプロムは、政府に支援を要請する計画は今のところないとしながらも、将来的にはそうした段取りが必要になるかもしれないと述べた。 「状況が変わることはあり得る。制裁がもっと厳しくなったり、プロジェクトの量が増えたりする可能性もある。政府の支援が必要になる時期が来る可能性を私は排除しない」。ガスプロムの財務担当ディレクター、アレクサンドル・イワニコフ氏はそう語った。 この発言は、ガスプロムが第1四半期の純利益を3820億ルーブル(60億ドル)と発表した際になされた。純利益はルーブルベースで見れば前年同期比71%の増益だが、ドル換算ベースでは減益となる。ルーブル安のために利益が膨らんだのだ。 ガスプロムの生産量はソ連崩壊後以来最低に ガスプロムは最も重要な収入源である欧州向けの販売減少に苦しめられており、1〜3月の販売量は前年比で16%減少し、391億立方メートルとなった。 ガス価格が原油安を追うように下げたことから、ドル建て価格も下落し、23.7%下げて1000立方メートル当たり284.2ドルとなった。 ロシアの経済省は最近、今年上半期にガスプロムの生産量が13%減少したと報告し、同社の生産量が通年でソ連崩壊後の最低水準を更新すると予想した。 ガスプロムは冴えない経済成長と暖冬を受けた欧州での需要減退に直撃された。加えて、最近まで最大の市場の1つだったウクライナと、独立系の生産業者からの圧力にさらされているロシア国内の双方で大幅な市場シェア減少に苦しめられている。 By Jack Farchy in Moscow http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44512 |