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異様なほどギリシャに肩入れする、IMFの真意 誰も語らない、ギリシャ危機の「核心」(東洋経済)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/625.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 11 日 09:51:05: igsppGRN/E9PQ
 

             ギリシャのGDP成長率は甘く見積もられている?(写真 : AP/アフロ)


異様なほどギリシャに肩入れする、IMFの真意 誰も語らない、ギリシャ危機の「核心」
http://toyokeizai.net/articles/-/79399
2015年08月11日 増田 悦佐 :ジパング・シニアアナリスト 東洋経済


おそろしく昔の話のように思えるが、ユーロ圏が発足した1999年1月1日の時点でギリシャは、創設メンバー11カ国には含まれていなかった。財政赤字がGDPの3%未満にとどまることという条件を満たせなかったからだ。


■ギリシャがユーロ圏のメンバーになれた不思議


その2年後の2001年1月1日には、ギリシャはユーロ圏最初の追加メンバー国となったが、そのときに提出された「財政上必要とされる基準を満たした」という財務データは、のちに粉飾された数値だったことが暴露されている。


つまり、ギリシャには本来ユーロ圏に参加している資格がなく、少しでも早く税収を増やすなり、公共部門の支出を減らすなりして、財政赤字の削減に取り組まなければならないはずだった。


ところが、2008〜09年の国際金融危機の中でドイツなどのユーロ圏主要国の間でも、一時的に財政赤字がGDPの3%未満という基準を満たすことのできない国が続出し、ギリシャの公共部門の財務体質改善は、ほとんど進まなかった。いや、進まないどころか、相変わらずGDP自体が小さい割には気前よく国家支出をバラまく国であり続けたというほうが正確だろう。


次のグラフの上段をご覧いただきたい。



(上)ウェブサイト『Market Oracle』、2015年7月1日、(下)『Acting Man』、7月1日のエントリーより


ユーロ圏より多くの国をカバーするEU28カ国の中で、ギリシャは国民1人当たりの国家支出が非常に高くなっていることが分かる。EU全体の平均が6755ユーロ(約88万円)なのに対して、ギリシャは8073ユーロ(約105万円)に達していた。EU諸国の中には、もちろん、ドイツ、オランダ、フランス、イギリスといった経済規模でも、国民1人当たりGDPでもギリシャより高い水準の国が多いのに、その平均値と比べてこれだけ高かったのだ。


さらに、EUへの加盟が1993年のマーストリヒト条約締結以後と遅かった中欧、東欧を中心とする16カ国の平均値は5123ユーロ(約67万円)でユーロ圏全体の平均値よりもっと低くなっている。ギリシャ経済の現状が、EU創設時からのメンバーが多い西欧・北欧・南欧諸国と、あとから参加した国が多い東欧・中欧諸国のどちらに近い水準かといえば、後者のほうだろう。つまり、ギリシャの国家支出はそうとう背伸びをした高さなのだ。


ギリシャ経済の公共部門依存度の高さは、下段のグラフにもはっきり表れている。2006年の時点ですでに、GDPの44.6%とかなり高めだった。しかし、2008〜09年の国際金融危機以降は公共部門依存度がさらに高まって50%を割ることがなくなり、このデータでは最新の2014年1月時点ではGDPの6割近い水準となっている。


要するに、ギリシャ政府から実際に財政赤字を削減しようとする意図は、ほとんど感じられない。当然のことながら、いつ破綻してもおかしくない国に経営基盤を置いているギリシャの民間銀行からは預金が大量に流出し、ますます民間部門全体を委縮させるという悪循環が起きていた。


ギリシャ政府は、銀行預金を始めとする資金の国境を超えたやりとりを禁止し、個人預金者が1日に引き出せる預金額に厳しい上限枠を設定するなどの資本移動制限を実施した。


これで、一応ギリシャからの資金の流出には歯止めがかかった。だが、国全体で資金の循環がやせ細り、農民同士がカネを使わず物々交換で農産物をやり取りするというような事態も起きている。地域経済の委縮も深刻で、資本移動制限の実施前と直近の数値を比べると、小売業売上高は首都アテネ市内でも約40%、テッサロニキ、ピレウスといった比較的規模の大きな都市圏でも60%、観光名所であるロードス島では60〜70%というすさまじい減少を記録している。


■EUが抱える根本的欠陥


ギリシャは国内に製薬会社が1社もなく、薬品は全面的に輸入に頼っているというお国柄だ。それなのに、海外の製薬会社が現金と引き換えでなければ薬品を売ってくれず、糖尿病患者にとっては文字どおり生命線であるインシュリンのストックが1〜2週間のうちに底をつきそうだというような悲惨な話も報道されている。


さらに、きちんとした資格を持った医師や看護師の間で国外に移住する人が激増し、例年1年で約550名の医師が海外での仕事に就いていたものが、今年は上半期だけで790名の医師が海外移住のための資格証明の発行を申請したという。


マラソン折衝の土壇場で、一応、ギリシャ政府とEU首脳陣の間に妥協が成立し、8月に欧州中央銀行(ECB)への返済が予定されている32億ユーロの資金繰りはできるようだ。だが、ECBだけではなく、EU委員会、IMFへの巨額債務の返済期限が迫るたびに、なんとか借り換えによって資金を調達しなければならないという窮状は、まったく改善していない。


事態がここまで切迫してしまった原因の一端は、EUやユーロ圏が(主権国家ではないながらも特定の財政・金融政策を推進しようとしている点では)単なる友好団体でもないという機構的な中途半端性にある。とくに、「いったん参加した諸国については、当事国が自発的に脱退しないかぎり、いつまでも居座りつづけることができる」という現行の枠組みは、自国の放漫財政のツケを加盟諸国に回すという行動様式を許してしまっている。


だが、もうひとつ、大問題がある。それは、金融機関としての健全性を目指して制定されたIMFの運用規則が、かえってこうした放漫財政常習国への追い貸しを正当化する仕組みとなっていることだ。


■非現実的な成長率予測で追い貸しをするIMF


次のグラフをご覧いただきたい。日米欧、主要先進国13カ国で国家債務の対GDP比率を減少させるためには、それぞれの国がGDP成長率をどの程度上げる必要があるかを示したグラフということになっている。



ウェブサイト『Zero Hedge』、2015年7月24日のエントリーより


このグラフ、漫然と眺めているだけだと、「ふうん。スペイン、イギリス、フランス、ポルトガルといった国々は、相当がんばってGDP成長率を加速させる必要があるけど、アイルランドやギリシャは、意外にすんなり国家債務の削減ができそうじゃないか」と思わされてしまう。だが、表面的な印象論にとどまらずに、数値の中身まで読みこんでいくと、かなり非現実的な「予測」がまぎれこんでいるのだ。


たとえば、スペイン、イギリス、フランス、ポルトガル、フィンランドからなる上位5カ国は、そろって今後5年間のGDP成長率を年率で2%ポイント以上かさ上げしないと、国家債務の対GDP比率は削減できないということになっている。ちょっと目ざとく儲かるビジネスチャンスを探せば自分がやっている事業の収益も国民経済全体の規模も急拡大できる、発展途上国や新興国の話ではない。十分に成熟した先進国でGDP成長率を突然2%ポイントも加速させるのは、不可能に近い高いハードルといえるだろう。


目をむくような数値に出くわすのは、第7位アイルランドと第10位ギリシャに関する成長率予測だ。アイルランドが国家債務の対GDP比率を削減するには年率3.0%の成長が必要だが、2014〜19年の平均成長率は3.0%とちょうど債務削減の最低条件ぴったりの成長ができることになっている。


また、ギリシャも債務削減には2.5%のGDP成長が必要だが、これまた不思議なことに、ぴったり同じ2.5%成長を達成できるという「予測」になっている。


ギリシャの場合、2010年以降、現在に至るまでこの高成長予測とは似ても似つかない低成長やマイナス成長にあえいできた。国際金融危機後の最悪期にはGDP規模がピーク時に比べて30%も縮小したのだが、最近になってやっと25%減というところまで「回復」した程度のお粗末な実績にとどまっている。


そして、ここまでに詳しくご説明したとおり、経済の血液ともいうべきカネの循環が悪くなり、高額所得の稼げそうな人ほど国外移住を急ぐという風潮が蔓延しているのが実情なのだ。


つまりこの先、経済成長率が好転する兆しはほとんどない。なぜ、こんなに楽観的すぎる数値が、なんらかの根拠を持った予測であるかのように国際金融市場で流布されているのだろうか。


そこには単純明快な理由がある。しかも、情けないことに、その理由とは煎じ詰めれば自己保身の一語に尽きる。官僚が自己保身に腐心するのは万国共通の現象であって、残念ながら、世界中から選りすぐった優秀な人材をかき集めているはずのIMFや世界銀行のような国際協調金融機関の官僚においても、まったく同じことなのだ。


■ギリシャの後は、アイルランドが危機に陥る!?


IMFの短期融資・緊急融資には、融資の実行から3.25〜5.00年のうちに全額回収できる見込みの立たない融資をしてはいけないという運用規則がある。一方、現実には「IMFが融資を渋ったために、特定の国が財政破綻した」というような責任を問われるのもイヤだ。だから、IMFの官僚たちは短期融資・緊急融資をするときには、必ず「融資対象国は、これこれしかじかの年率で経済成長を続けるので、ちゃんと5年後には借りたカネを完済するだけの資金を確保しているはずだ」という作文を書く。


この作文修練のたまものが、ギリシャは向こう6年間で年率2.5%のGDP成長を達成するというすばらしい回復予測なのだ。「しかし、そんなに荒唐無稽の予測をしても、現実には期限までに債務が完済されるはずがないから、すぐにウソだとばれてしまうだろう。賢い官僚たちがそこまで愚鈍な行動に出るはずがない」とお思いの方が多いだろう。


それは、大変な買い被りだ。官僚は自己保身のためなら、平然とそういう行動に出るのだ。そして、実際に完済されなかったときには、経過金利を上乗せした借り換えのための融資をしてやる。「そのために必要な経済成長は、ちゃんと達成できる」という新しい作文を添えて。


これが、ギリシャという国がこんなに高いGDP成長を持続できると予測されているほとんど唯一の根拠なのだ。


逆に、何とか返済資金を工面して期限どおりにIMF融資を完済したスペインには追い貸しをする必要がない。だから、「今後のGDP成長率は1.7%と推定されるが、国家債務の対GDP比率を削減するには3.8%ポイントも高い5.5%成長が必要だ」という、正直でおそらくは的確でもある予測が出されているのだろう。


もちろん、借り手としての当事者であるギリシャ国民にも、返すべき借り入れを期限内に返済できなかったという責任はある。だが、かなり非現実的な高成長予測をつくって貸しこんできたIMF官僚側にも、少なくともギリシャ国民と同等の責任を問うべきだろう。


こうして見てくると、国際金融危機に際してのIMF融資を一応期限内に完済したアイルランドが、「一層の国家債務削減には3.0%成長が必要だが、今後6年間はそれだけの成長率を維持できる」と予想されているのは、かえって不気味な感じがする。


IMF首脳陣は、アイルランド経済がもう一度失速して融資を申請する可能性が高いことを知っていて、そのための必要条件は満たされているという予防線を張っているのではないだろうか。


 

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コメント
 
1. 2015年8月11日 11:11:11 : nJF6kGWndY

>ギリシャは国民1人当たりの国家支出が非常に高く EU全体の平均が6755ユーロ(約88万円)なのに対して、ギリシャは8073ユーロ(約105万円)

特別会計の社会保障だけで65兆円からわかるように

日本の特に後期高齢者への投入は、こんなものではないw
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12403500-Hokenkyoku-Koureishairyouka/0000072432.pdf
https://www.mof.go.jp/budget/topics/special_account/27yosan_kibo.pdf


>地域経済の委縮 観光名所であるロードス島では60〜70%というすさまじい減少
>高額所得の稼げそうな人ほど国外移住を急ぐ

既得権者を優遇する国の末路だな

まあ同様に、改革を避け続け衰退に向かう日本も、既に同じ運命を辿りつつある

異次元緩和程度では、せいぜい、痛みを多少、既得権老人たちに前倒しして、内需を減らしインフレ抑制して、壊滅的状況を、遅らせることくらいしかできない



2. 2015年8月11日 22:42:47 : AxHLMtGTIo
破綻国家はIMFの飯の種、お得意様は大事にするだろう。

3. 2015年8月12日 10:27:35 : LpvKfkcTUk
それはそうだ。ギリシャが中国、ロシアの経済圏に取り込まれ政治的にもそちらへ行けば元も子もない。

ギリシャは地中海東部に位置し多くの海岸線を持ち黒海からの出口。中国、ロシアにとってEU、中東、アフリカへいたる絶好の位置。


4. 2015年8月14日 08:47:40 : HC1Ax8O4NU
2. 2015年8月11日 22:42:47 : AxHLMtGTIo
破綻国家はIMFの飯の種、お得意様は大事にするだろう。>

御意


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