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「ママズ・アイ・プロジェクト 公式サイト」(「マクドナルド HP」より)
マック、信頼回復の新施策で逆に批判殺到「客の神経を逆撫で」「開き直り」
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11058.html
2015.08.11 文=沼田利明/マーケティングコンサルタント Business Journal
日本マクドナルドは、商品の原材料に期限切れの鶏肉が使用されていた問題をはじめ、異物混入が相次ぐなど、安全性が疑問視されたことがきっかけとなり、深刻な売り上げ低迷が続いている。今年1月には、既存店売上高が前年比マイナス38.6%まで落ち込んだ。
そのようななか、マクドナルドは消費者の信頼回復に向けて、一般消費者による同社の加工工場や店舗の視察を行うなど、食の安心・安全を確認するための「ママズ・アイ・プロジェクト」を開始した。
プロジェクトのリーダーには放送作家の鈴木おさむ氏を据え、子を持つ女性有識者をメンバーに並べ安全をアピールするグループをつくった。同社のサラ・カサノバ社長は、「食の安全に家庭内で最も厳しい目を持つ母親の意見をよく聞き、より良い会社にするためだ」と強調し、プロジェクトに自信を見せた。
■「ママズ・アイ・プロジェクト」の内容
(1)消費者から意見・質問を広く募集
「こんなことを確かめたい」「見てみたい」というマクドナルドに関する意見や疑問・質問を、ママに限らず幅広い消費者から募集している。ツイッターでハッシュタグ「#マクドナルドのここが知りたい」をつけてツイート、またはHPの専用フォームで投稿すると、その中から同社が選んで回答する。
(2)「ママズ・アイ・テーブル」による意見交換
消費者からの意見・質問を基に、鈴木氏、プロジェクトメンバー、カサノバ社長、担当社員などが集まり、意見交換会「ママズ・アイ・テーブル」を月1回程度、定期的に実施する。
(3)母親目線で直接チェック
意見交換会を踏まえ、プロジェクトメンバーのママたちが店舗キッチン・工場・農場などの視察を実施。国内外のマクドナルドの食品が生まれる現場を訪問し、母親目線で直接、品質管理体制をチェックして映像と記事でレポート。わかりやすく食の安心情報を発信する。
(4)特設ウェブサイトや店頭で活動内容をレポート
レポートは、ウェブサイトに掲載するほか、マクドナルドのソーシャルメディアやテレビCM、店頭で配るパンフレットなどで公開していく。
■世間は「何がしたいのかわからない」と冷ややか
このように信頼回復に向けて新たな施策を打ち出したマクドナルドに対し、世間の反応は冷ややかだ。「何がしたいのかわからない」「こんなことで信頼は戻らない」といった意見がインターネットを中心にあふれた。しかも、このような反応は若者だけではなく、マクドナルドが信頼回復に重きを置いている母親たちからも批判的意見が出ている。
「プロジェクトメンバーは、母親目線でマクドナルドを調査するといっているが、料理研究家や雑誌編集者などで、一般人ではない。マクドナルドの推薦で入った人たちばかりで、そもそも母親目線よりビジネス優先となるのではないか」
「メンバーの顔ぶれを見る限り、一般の母親と意見がずれていそうで共感できない」
このように、調査を行うメンバーに対して不信感を抱く意見が出ており、プロジェクトそのものが信用されているとはいいがたい。
■話題を集め始めたプロジェクト
出だしから批判が多く先行きに不安を覚えたが、プロジェクトは少しずつ話題を集め始めた。それは、消費者の質問に答える「食の安心Q&A」というコーナーが面白いと口コミで広まり、7月にはFacebookなどのSNSを中心に人気が高まったのがきっかけだ。
「今はどこのチキンを使っているの? そこの管理体制は大丈夫?」
「中国から仕入れている原材料はなに?」
「保存料・防腐剤を使っていますか?」
「遺伝子組み換えのじゃがいもは使用しているの?」
このような当たり障りのない質問に答えるだけではなく、かなり突っ込んだ質問や真面目に聞きたいことなのか疑問に思えるような質問にも正面から答えているのだ。
「ミミズ肉が使われているって本当ですか?」
「マクドナルドのバンズは腐らないって本当ですか?」
「ハンバーガーは長い間放置しても腐らないと聞きました。本当ですか?」
「チキンナゲットに段ボールが使われているって本当?」
「マクドナルドのポテトって、本物のじゃがいもを使っているんですか?」
これらの質問は、以前から根強く都市伝説のように語られている噂だが、すべて真面目に答えている。このQ&Aの詳細については、HPで確認できるので割愛するが、このようなやり取りが人気を集め、プロジェクトは注目されつつあった。
しかし、プロジェクトが良い方向へ歩み始めた中で、マクドナルドに批判が殺到する出来事が起こった。それは、「商品の実物と見本の写真が大分異なる場合がありますが、良いと思ってらっしゃるんでしょうか」との問いに対し、こう回答したことによる。
「使用している材料とその分量は広告写真も実際の提供商品も同じものを使用しています。商品構成をわかりやすくするために、ソースが見えるようにバンズをずらしたり、具材を中から支えたりすることがあります」
これを読んだ消費者たちは、一斉に非難の声を挙げている。
「客の神経を逆撫でしている」
「開き直っている。写真と現物が違えば、企業として誠実さが足りないと判断されることをわかっていない」
「誇大広告や優良誤認に当たるのではないか」
「同じ材料と分量でこれだけ見た目が違うのは、雑につくっているということか」
「あまりにも写真が実物と違いすぎることを良いと思っているのか、と聞いているのに、『材料と分量は同じです』という回答はひどい」
「見た目がひどいから客足が減っているとは考えないのか」
飲食店などで、メニューに掲載されている写真と実際の商品が多少異なることは珍しくないが、あまりにも差が激しければ、客足が遠のく原因にもなる。
注目を集め始めたプロジェクトだけに、信頼を回復するためにも、マクドナルドはただ単に自社の言い分を発するだけではなく、消費者の声に真摯に耳を傾ける姿勢が不可欠だろう。
(文=沼田利明/マーケティングコンサルタント)
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