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楽しいカラオケ大会も度重なると出費が痛い〔PHOTO〕gettyimages
生保、薬代、贈答、葬儀代… 老後に「削っていいカネ」「削ると後悔するカネ」 70過ぎたら、おカネがどんどん出ていく【後編】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44502
2015年08月08日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
思いがけず積み上がってしまう70過ぎからの出費。さらに今後は実質的な年金支給額引き下げの時代がやってくるなど、不安は尽きない。一方で人生の最終盤 に何もかも節約、節約と切り詰めていては、あまりに味気ない。いったい、どうすればよいのか。経験者たちの声に耳を傾けてみよう。
■放置してしまいがちな生命保険料
東京・杉並区在住の佐藤道夫さん(78歳・仮名)は一昨年、利用している複数のクレジットカードの利用明細表を並べて、支出を見直したという。気付いたのは、「年会費」がやたらと多いことだ。
「デパート系のカードには、年会費数千円というのもありました。妻も昔は都心のデパートに買い物に行っていたけれど、最近は近所のスーパーくらい。私は私で、現役時代に格好をつけてゴールドだプラチナだとランクの高いカードを作っていましたが、年会費だけで10万円以上かかるものもあった。そこで不要なカードをどんどん解約して、使いでのあるものだけに整理したんです」
これだけで年間12万円ほどが削れたという。
また、多くの人が現役時代のまま放置してしまいがちなのが、生命保険料だ。世田谷区在住の笹原洋二さん(70歳・仮名)は、「子供も自立して自分で稼いでいるのだから、毎月生命保険料を払うのはもったいない」と考え生命保険を解約。ついでだからと、妻が加入していた簡保も解約した。
「ところが、妻の簡保については大失敗。子供が中学生だった40代のとき、'80年代末に掛けはじめたものだったんですが、あとで聞いたら、これは世間で『お宝保険』と呼ばれていて、解約したのは大損だったというんです」(笹原さん)
「お宝保険」とは、現在ではありえないような高い利率が設定された、貯蓄性の高い終身保険のことだ。月々の支払いが安いうえに、契約を続けていれば払い込んだ金額を上回る利益が得られることもある。
実際、笹原さんの妻が加入していた簡保は、60歳での払込期間終了後、5年おきに4回、一時金が入る特約がついたもの。保険金額1000万円の場合なら、1回に200万円ずつが手に入る。掛け金は月々数千円程度だったというから、加入を続ければ大きなリターンが得られたはずだった。笹原さんは「分かる人に相談しておけば」と後悔するが、残念ながら、あとの祭りだ。
■薬代は減らせる
中野区在住の八木橋彩子さん(80歳・仮名)は、新聞で高齢者の医療費高騰が問題になっていると知り、「世のため人のため」と自分にかかる医療費の削減に挑戦した。
「病院の先生にお話ししたら、『それはいいことですね』という。成人病(生活習慣病)やら骨粗鬆症には運動がいいので、区の体育館に行き始めた。それからお薬を安いジェネリック(後発医薬品)に替えてもらいました」
たとえば、八木橋さんが処方されていた、食後に血糖値が急上昇するのを抑える薬ボグリボースの場合、ジェネリックには先発薬の半額のものもある。医師と相談した結果、月々の薬にかかる費用は3分の2ほどに圧縮できた。運動の効果もあり、血糖値や血圧、骨密度も改善してきたという。
「ただね、体育館で新しいお友達がたくさんできたんです。みんな、携帯電話が便利だというので、娘に頼んで、操作の簡単な携帯を買ってもらった。だけど、私なんかヒマでしょう。だから電話が長い長い(笑)。こないだも請求書を見つけた娘に怒られましたよ」
家に一人籠もっているより、友人と交流したほうが豊かな時間が過ごせるのは確か。だが不要不急の会話なら直接会って話したほうがよさそうだ。
■「虚礼廃止」の副作用
人付き合いにかかる費用を削ろうと試みた人もいる。練馬区在住の加藤慎一さん(77歳・仮名)は、75歳になったのを機に、「虚礼廃止」を掲げ、暑中見舞いや年賀状、贈答などを一切、やめた。
「小さな印刷会社でしたが、私は役員まで拝命しまして、お義理の付き合いが多かった。毎年のお中元、お歳暮だけでも大変でした。それで贈答やら季節の挨拶を、すべてやめた。すっきりしましたねえ。妻も『盆暮れがこんなに楽になるなんて』と笑っていました」
贈答をやめたことで、年間約40万円が削れた。
他にも75歳で生活を見直し、支出を切り詰めた加藤さん。だが、趣味のゴルフだけはやめられなかった。そんなある日、ショックを受ける。
「ゴルフコースで、昔の取引先の元役員にばったり会ったんですが、第一声が『おお、加藤さん! てっきり亡くなったと思っていた』。彼は遠慮のない直截な性格の好人物なんですが、それだけに『世間では、やはりそんな風に受け取られるのか』と後悔してね」
思えば、年賀状などは手間こそかかるものの、出費は大したことはない。加藤さんは「自分なら相手の消息を知りたい」という人を選んで、今夏の暑中見舞いから挨拶を復活させたという。
■遺族を困らせる抽象的な遺言
世田谷区在住の田畑芳乃さん(79歳・仮名)は昨年、がんで闘病していた5歳年上の夫を送った。
「夫は『僕の葬式にカネを使うより、お前の残りの人生に使うべきだ。一番安い葬儀にしなさい』と繰り返し言っていました。でもいざ病院に葬儀社を紹介されてみると、私も気が動転していたんでしょう。『とにかく一番安いコースで、あとはお任せします』としか言えなかった。
気が付いたら近所の公営葬祭場の小さな部屋に親類数人と座ってお経を聞いていました。『ああ、これは違う。もっと何かできたんじゃないか』と、そのときとても後悔しましたね……」
葬儀や墓に関して、もっとも遺族を困らせるのは、「とにかく簡素に」、「カネをかけるな」など抽象的な遺言だという。「祭壇に花だけ飾ってお前と息子夫婦が手を合わせてくれれば、読経はいらない」など、具体的に希望を伝えれば、コストも最小限で、遺族も後悔しない葬儀が実現できる。
削れるカネ、削れないカネ。人生を満足に生き切ることができるかは、あなたの取捨選択にかかっている。
「週刊現代」2015年8月8日号より
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