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スクープ! シャープ現役幹部が決意の勧告 「社長(高橋興三氏)、 あなたでは無理なんです」(週刊現代)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/518.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 06 日 10:44:00: igsppGRN/E9PQ
 

              躁状態と鬱状態を行き来する高橋社長〔PHOTO〕gettyimages


スクープ! シャープ現役幹部が決意の勧告 「社長(高橋興三氏)、 あなたでは無理なんです」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44498
2015年08月06日(木) 井上 久男 週刊現代 :現代ビジネス


ついに身内からも批判の鉾が突き出された。社長の迷言・妄動が止まらず、経営再建案は銀行に言われるがまま——残る手は「一度倒産するしかない」と言い切る現役幹部が、会社の闇を語った。

■ただの「操り人形」

「高橋社長は危機にある会社を変革していくには失礼ながら、能力不足。メインバンクの単なる『操り人形』です。これから希望退職者を募りますが、従業員のクビを切る前にあなたが辞めろと言いたい」

怒りと悲しみのこもった口調で、シャープの高橋興三社長を糾弾するのは、現役のシャープ社員A氏。長年にわたり高橋社長を始め、経営陣の言動を間近に見てきた経営幹部だ。

「なにより許せないのは、高橋社長は嘘をつくということです。これまで社員に説明してきた重要なことは、ほとんど嘘だった。そして、ものづくりのことはまったくわかっていないくせに、ただ債権回収さえできればいいと考えている銀行とグルになって社員をだましてきた。

もう社長も銀行も信用できません。シャープの名を残して、少しでも多くの社員を救うためには、両者の関与が制限される民事再生を申請して、いったん倒産させるしかないと思います」

シャープの'15年4月~6月期の営業損益は350億円の赤字に陥る見通しだ。今年5月14日に新中期経営計画を発表した際には、4~9月期に100億円の営業黒字を予想しているので、この計画を達成するためには残り3ヵ月で450億円もプラスにする必要がある。

だが、頼みの綱である液晶価格は回復せず、好調だった白物家電も落ち込みが見え始めた。また、7月27日からは全従業員の約7%にあたる3500人の希望退職の受け付けが始まる。経営破綻寸前に追い込まれているシャープの内部で、いま何が起こっているのか——。

■「奇行」が目立つようになった

追い詰められた高橋社長は非常に不安定な精神状態にあり、周囲の社員をハラハラさせている。

「お疲れちゃまー。またねー。今日はなにもしゃべれないよー」

夜回り取材のため自宅を訪れた記者たちに、高橋社長はこんな調子で応えている。「躁状態」にあるのか、不自然に明るすぎる声で、崖っぷちに立たされている企業のトップとは思えない。一部の記者たちからは、あまりにひどいマスコミ対応に「人をなめきっている」という声も上がっている。

高橋社長は'54年生まれ、静岡大学大学院修了後、シャープに入社し、複写機、健康・環境システムなどの分野を経験した後、米州本部長、副社長を経て'13年6月より社長の座に就いている。

だが、最近の社長の「奇行」は社内でも話題になっている。幹部たちが「このままだとシャープは三洋電機のように消滅しますよ」と進言したときのこと。社長はおもむろにスマートフォンを取り出して、「三洋電機」「経営危機」と検索し、「うわあー、こりゃ大変だなぁ」と大笑いした。その一方で、思いつめた表情で、鬱積した感情を押し殺すような様子も目撃されている。

前出のA氏が語る。

「私はシャープを愛しています。社員の意思を尊重してのびのび仕事をやらせてくれる社風が好きだった。だから、ずっとこの会社に残って再生に貢献したいと努力してきたつもりだが、もう心が折れてしまいました。希望退職の募集に応募しようと思っています。他にも私のような社員がたくさんいますよ」

■好き嫌い人事の弊害

社員が社長に愛想を尽かした決定的な出来事が3月20日にあった。「玉音放送」と揶揄されている社長による社内向け放送だ。ここで高橋社長はこう語りかけた。

「メディアから希望退職報道が出ているが、憶測です。銀行支援も憶測であり、シャープはあくまで自分たちの力でやっていく。従業員やご家族に心配をかけて申し訳ない。経営幹部には情報統制を敷いているが、憶測で書かれるのでどうしようもない。皆さんも報道に惑わされないでほしい」

だが、舌の根も乾かぬ5月14日の決算および中期経営計画の発表の場で、希望退職と銀行からの金融支援を発表したのだから聞いて呆れる。

「社員が不信感を募らせている中、火に油を注いだのが、中期経営計画の人事に関する箇所で『信賞必罰』という文字をわざわざ入れたことです。それを強調するのだったら、あなたが一番先に辞めろと言いたい」(A氏)

高橋体制となって、真っ先に責任を取るべき役員人事が信賞必罰ではなく、「好き嫌い」で行われていることも社員の不信感を一層募らせている。

とりわけ同世代の仲良し3人組「チーム高橋」の馴れ合いが目に余る。社長の高橋氏と会長の水嶋繁光氏、副社長の大西徹夫氏のことだ。

6月の株主総会までは、水嶋氏と大西氏は代表権を持つ副社長で、水嶋氏は技術担当、大西氏はコーポレート統括本部長で財務や経営企画などを担当してきた。両氏ともに代表権を返上、水嶋氏は会長に、大西氏は取締役も退任して副社長執行役員の肩書となり、形式上は責任を取った人事となった。

■タイガースのほうがマシ

しかし、この人事についても「水嶋氏は自分では会長に出世したと思っているふしがある」(A氏)という。

「悠長にも業界団体のトップを務める予定です。大西氏にいたっては、執行役員として液晶構造改革担当という重責を担います。大西氏はこれまで本社の管理部門の責任者であり、高橋社長と一緒に真っ先に責任を取るべき立場ですが、うまく立ち回って残ったのです。そもそもこの役員人事に関しては、メインバンクの関与と『内紛』がありました」(A氏)

危機の最中の内紛とは以下のような構図だった。

「黒字予想の決算が昨年12月下旬に一転して赤字に転落することがわかると、高橋社長や大西氏は液晶部門が本当の情報を隠して正しい情報が上がってこなかったと見なして、悪の根源は液晶部門にあると言い始めました。

しかし、昨年11月頃から主要顧客である中国の携帯電話メーカー向けの中小型液晶の出荷が落ち始め、業績が不透明になりつつあることは社内会議で議論されていたのです。その会議には経営陣直轄のコーポレート統括本部からも人が来ていました。その情報が高橋社長や大西氏に上がらなかっただけで、液晶部門が故意に情報を隠蔽したわけではない。

液晶事業担当だった方志教和代表取締役専務(当時)と大西氏は『犬猿の仲』として社内では有名です。液晶部門の急激な業績悪化に付け込んで、社長や銀行に近いことをいいことに大西氏が方志氏を追い落としたと見られています」(A氏)

結局、方志氏は赤字転落の責任を一身に負う形で、顧問に退いた。

「チーム高橋」の経営能力に不信感を持つのは社員だけではない。6月23日に大阪市内で開かれた定時株主総会では株主から、「阪神タイガースの監督でも成績が悪いと責任とって辞めるのに、シャープの社長は辞めんでいいのか」といった質問も出た。13人の取締役選任の議案での賛成比率は、高橋氏が86・6%、水嶋氏が87・01%。2人だけが90%を割っている。株主からも厳しい目線が注がれているのだ。

■銀行もお手上げ

シャープ社内では、メインバンクのみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の支援なしでは生き残れない経営状態でありながら、両行への不信感も募っている。

'12年3月期、'13年3月期と2年連続で巨額純損失を計上した際には、両行が計5100億円の融資と融資枠を設定して支えた。'15年3月期に再び大赤字に陥ったことで、両行は1000億円ずつ計2000億円、債務を株式に振り替えるデット・エクイティ・スワップに応じた。この結果、辛うじて連結での債務超過を免れた。ただ、A氏はこう指摘する。

「銀行自身もシャープをどう変革していいのかわからない。このため、組織いじりばかり考える。新たに導入するカンパニー制度なんて、どこの電機メーカーも10年くらい前にやっていますが、成功した例などありません。そもそも、銀行主導で再建に成功した大手メーカーなんて聞いたことがない。

メインバンクから『お目付け役』として取締役が2人派遣されているが、はっきり言って無能です。三菱東京UFJ銀行からは橋本仁宏氏('13年就任)、みずほ銀行からは橋本明博氏('14年就任)がともに取締役常務執行役員としてボードメンバーに入っており、彼らにも当然経営責任はあるので辞めるべきです。

特に三菱東京UFJ銀行は債権回収だけできればいいと思っています。あの銀行の行風です。東三の橋本氏は旧三和銀行出身で行内で本流ではないので、シャープに島流しにされたのだろうと言われています」(A氏)

■下手な延命策ばかり

高橋社長は、「シャープは自分の力で生きていく」と社内で宣言しながら、一部の役員から銀行主導の経営再建には限界があることを指摘されると、「銀行に操られることが生き残る唯一の道だ」と激怒したそうだ。

「これまで銀行との会議には複数の取締役が参加していましたが、今春以降、シャープ側の出席者は高橋社長一人のみ。大事なことは密室で決まっています。銀行側も高橋社長を優秀だとは思っていませんが、操りやすいから温存しているに過ぎません」(A氏)

メーカーはリストラだけでは生き残れず、新しい製品を造るために思い切った投資や研究開発も必要になるが、銀行にはこうした長期的視点で技術を判断する能力はほとんどなく、小手先だけの改革に終始しがちだ。

シャープは'13年秋には1365億円の公募増資に踏み切り資本を増強したが、工場閉鎖など大胆なリストラをするための大規模な引当金を計上するには不十分だった。戦力を逐次投入して結局は大損害を被った旧日本軍の戦いぶりを彷彿させる経営手法だ。A氏はこう嘆息する。

「日本航空を再生させた稲盛和夫氏や日産自動車のカルロス・ゴーン氏が行ったような、思い切った構造改革を断行しないとシャープは生き残れません。このままだと2~3年後にまた同じ事態がくり返される。

高橋社長にも銀行にも難局を乗り切る能力やノウハウはない。だから、現経営陣や銀行が経営に関与しにくくなる民事再生が必要なのです。まだ人材が残っているうちに、小さくてもいいからシャープのブランドを残す努力をすべきです」

下手な延命は、落ちたブランドをさらに棄損するばかり—現役幹部にこう嘆かせるシャープの前途はかぎりなく暗い。

「週刊現代」2015年8月8日号より

 

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