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中国株急落に大前研一氏「行くところまで行くのではないか」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150805-00000027-pseven-cn
SAPIO2015年9月号
この10年、囁かれ続けてきた中国バブルの崩壊が現実のものとなろうとしている。だが、GDP世界第2位に上り詰めた隣国の破綻は、日本のみならず世界経済に甚大なダメージをもたらすことになりそうだ。大前研一氏が解説する。
* * *
中国株が急落した。企業業績が良くなっているわけでもないのに1年前の2.5倍に跳ね上がっていた上海株式市場の株価が6月中旬以降の3週間で3割も下落し、7月8日には中国の全上場企業の約半数にあたる1400社以上が自社株の取引停止を申請するという異常事態になった。
慌てた中国政府は、国家ファンドや証券会社などによる買い支え、持ち株比率5%以上の株主を対象とした向こう6か月間の株式売却禁止、公安当局による「悪意ある空売り」の取り締まりなど、なりふりかまわぬ株価維持策(PKO)を矢継ぎ早に繰り出した。とりあえず株価は持ち直しているが、先行きは極めて不透明な状況だ。
私は、株価下落の流れは止まらず、行くところまで行くのではないかとみている。なぜなら、大株主の株式売却禁止や空売りの取り締まりといった株価維持策は世界の歴史に類がないものであり、中国政府がパニックに陥っている証左にほかならないからだ。中国の「統制経済」は、もはや統制できない状況になっている。
中国の場合、日本と違って株取引を行っている個人が非常に多い。不動産が値下がりしているため、この1年間の株バブルによって不動産投機から株投機にシフトする人が急増したからだ。
しかも、世界恐慌直前のアメリカと同じく、信用取引が大きくなっていた。政府もそれを後押しするように、株で儲けろと言わんばかりに囃し立てた。したがって、今回の株バブル崩壊は多くの人民の財布を直撃するだろう。
日銀の黒田東彦総裁は7月15日の金融政策決定会合後の記者会見で「(中国経済は)総じて安定的な成長を維持している」という見方を示した。株価急落の日本への影響は“爆買い”をしてくれる観光客の減少など限定的だと分析する楽観的なエコノミストもいる。だが、それは間違っている。
中国の高成長は、日本をはじめ世界中に恩恵をもたらした。たとえば、日本は機械や部品を、アメリカは自動車を、ドイツは自動車や機械や化学製品を、オーストラリアは鉄鉱石や石炭などの資源を、ブラジルやカナダは食料を大量に買ってもらってきた。
そういう世界的な大口顧客の中国が急減速するとなれば、日本はその影響を直接受けるだけでなく、日本製品を買ってくれていた他の国々の減速によって間接的にも甚大なダメージを被ることになる。
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