http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/497.html
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「追加緩和あり」と「緩和なし」予想が徐々に拮抗
日銀サーベイ
2015/08/05 11:30 JST
(ブルームバーグ):足元の景気は低迷し、消費者物価指数もゼロ%近辺で低迷する中、日銀がエネルギーを除く物価の基調は着実に上昇しているとの主張を強めていることもあり、「追加緩和あり」予想と「追加緩和なし」予想が徐々に拮抗(きっこう)しつつある。
日本銀行が6、7両日開く金融政策決定会合は、ブルームバーグが7月27日から8月3日にかけてエコノミスト37人を対象に実施した調査によると、全員が現状維持を予想した。
10月の緩和予想は12人(32.4%)と前回(34.3%)からほぼ横ばいだった一方、「緩和なし」は16人(43.2%)と前回(37.1%)から増加した。「追加緩和あり」予想は21人(56.8%)と前回(62.9%)から減少し、「緩和なし」予想との差が徐々に縮まっている。
輸出と個人消費が低迷したことで、4−6月の実質成長率は前期比年率1.9%減と3期ぶりのマイナス成長が予想されている。6月の生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)は前年比0.1%上昇と引き続きゼロ近辺にとどまっており、7月の東京都区部のコアCPIは0.1%低下と2年3カ月ぶりのマイナスとなった。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「経済指標は思いのほか悪い。4−6月の成長率も悪く、数字だけ見ると、追加緩和の可能性が高まってもおかしくない」と指摘する。
その上で、「それでも緩和しないのは、政治的に円安がさらに進むのが歓迎されないと考えられるためだろう。黒田総裁は火中のくりを拾ってまで急いで2%に近づこうとはしていないようにみえる」という。
日銀が新型コアCPIを公表
クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは「日銀は『目先のCPIのマイナスは想定内の動きで、物価の基調はむしろ改善している。4−6月期の景気停滞も一時的で、7月以降は巡航速度での成長に戻る』との見解を示すと予想され、早期の追加緩和となる可能性は低い」とみる。
日銀は7月の金融経済月報で、エネルギーを除くコアCPIを独自に公表。5月は前年比0.7%上昇と総合(0.5%上昇)、コア(0.1%上昇)、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合(0.4%上昇)のいずれより高い伸びを示した。
スーパーマーケットのPOSデータを通じ全国約300店舗の商品を対象とする東大日次物価指数、約1200店舗のデータから算出しているSRI一橋大学消費者購買指数もこのところ伸びを高めている。中曽宏副総裁は7月27日、熊本市内の講演で両指数に言及するとともに、会見でエネルギーを除くコアCPIに注目していく姿勢を示した。
http://www.cmdlab.co.jp/price_u-tokyo/
http://risk.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/nei/
追加緩和は当面ないことを示唆
シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「同指数への言及が、日銀が政策決定を行うためのヤードスティック(尺度)を変更する前触れであるとは考えにくい」と指摘。「むしろ、同指数にみられるような『前向きな変化』を強調することで、インフレ期待と企業の価格設定に影響を及ぼしたいと考えている可能性が高い」とみる。
大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは日銀が月次で同指数の公表を始めた背景について、「エネルギー価格の下押し圧力の強まりに隠れて進んでいる『物価基調のポジティブな変化』に目を向けさせることで、追加緩和の投入は当面必要ない、との認識を示唆したいためではないか」という。
一方、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「生鮮食品とエネルギーを除くということは、食料品のみは物価の基調と関係があるということになるが、なぜエネルギーは物価の基調と関係がなく、食料品は関係があるのか、この点について日銀は分かりやすく説明すべきだ」と指摘する。
その上で、「足下では食料品価格の上昇テンポが強まっているが、基本的にはこれまでの円安の効果が顕現化したものだ。今後円安が一服すると食料品価格の上昇テンポは鈍化するだろう。日銀はその時には食料品は除くと言うのだろうか。物価の基調を示す指標を頻繁に変えると、日銀の信認の低下につながる恐れがある」という。
「10月緩和」予想は少数派
10月緩和予想は少数派となったが、依然として3人に1人を占めている。伊藤忠経済研究所の武田淳主任研究員は「景気は明らかに停滞している。消費増税前にデフレ脱却を確実にすることが不可欠だが、足元の景気停滞によりその可能性は大きく低下した。日銀は遅くとも10月の展望リポートまでに追加緩和を迫られる」と予想する。
ジャパンマクロアドバイザーズの大久保琢史チーフエコノミストも「2%のインフレ目標を2016年内に達成するためには、速やかな追加緩和が必要な状況といえる」という。
ただし、「日銀内のサイレントマジョリティは、短期的なインフレ目標について懐疑的で、2%のインフレは数年程度のタームでの達成を考えており、17年に消費税増税で日本経済が落ち込むことを考えると、16年に無理にインフレ目標は達成しなくてもよい、というのが大勢なのだと考えられる」という。
着々と出口論の理論武装
野村証券の松沢中チーフストラテジストは「海外環境がよほどひどいことにならない限り、日銀が追加緩和に近付く可能性はかなり低いだろう」と指摘。一方で、「出口論は米国の利上げ成功が前提になると思われ、今のところ表だって話が進む環境ではない」という。
もっとも、「底流では、量的・質的金融緩和がこれまで長期金利に与えてきた効果の推計や、『均衡イールドカーブ』の研究結果を続々と公表し始めており、出口論の際に必要な理論武装を着々と進めている感がある」としている。
日銀ウオッチャーを対象にしたアンケート調査の項目は、1)今会合の金融政策予想、2)追加緩和時期と手段や量的・質的金融緩和の縮小時期および「2年で2%物価目標」実現の可能性、3)日銀当座預金の超過準備に対する付利金利(現在0.1%)予想、4)コメント−。
1)日銀はいつ追加緩和に踏み切るか?
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調査機関数 37 100%
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8月 0 0.0%
9月 0 0.0%
10月7日 0 0.0%
10月30日 12 32.4%
11月 0 0.0%
12月 0 0.0%
2016年1月 5 13.5%
2016年2月 0 0.0%
2016年3月 0 0.0%
2016年4月以降 4 10.8%
追加緩和なし 16 43.2%
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2)追加緩和の具体的な手段
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マネタリーベースの増加ペースの引き上げ 14
長期国債の買い入れペースの引き上げ 13
ETFの買い入れペースの引き上げ 15
J-REITの買い入れペースの引き上げ 9
付利の引き下げ 8
その他 8
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3)日銀は生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)前年比が2%程度
に達するのは「2016年度前半ごろ」としてますが、この見通しは実現し
ますか。
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調査機関数 36
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はい 1
いいえ 35
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4)日銀が2%の「物価安定の目標」が安定的に持続すると判断し、
量的・質的金融緩和の縮小を開始する時期はいつ?
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調査機関数 37
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2015年下期 0 0.0%
2016年上期 2 5.4%
2016年下期 4 10.8%
2017年上期 2 5.4%
2017年下期 3 8.1%
2018年以降 14 37.8%
見通せず 12 32.4%
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5) 物価の基調を測る上で最も適切と思われる指標を次の中からお選び下さい。
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調査機関数 35
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総合CPI 0
生鮮食品を除く総合(コアCPI) 5
食料(酒類除く)・エネルギーを除く総合(コアコアCPI) 13
生鮮食品・エネルギーを除く総合 10
持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合 2
その他 5
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問1に対しての回答の詳細
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前回 今回
メリルリンチ証券、吉川雅幸 追加緩和なし 追加緩和なし
バークレイズ証券、森田京平 2016年4月以降 2016年4月以降
BNPパリバ証券、河野龍太郎 追加緩和なし 追加緩和なし
キャピタルエコノミクス、Marcel Thieliant 10月30日 10月30日
シティグループ証券、村嶋帰一 10月30日 10月30日
クレディ・アグリコル証券、尾形和彦 2016年1月 2016年1月
クレディ・スイス証券、白川浩道 2016年4月以降 2016年4月以降
第一生命経済研究所、熊野英生 10月30日 10月30日
大和総研、熊谷亮丸 2016年4月以降 2016年4月以降
大和証券、野口麻衣子 追加緩和なし 追加緩和なし
ゴールドマン・サックス証券、馬場直彦 10月30日 10月30日
HSBCホールディングス、Izumi Devalier 10月30日 追加緩和なし
伊藤忠経済研究所、武田淳 7月 10月30日
ジャパンマクロアドバイザーズ、大久保琢史 追加緩和なし 追加緩和なし
日本総合研究所、山田久 追加緩和なし 追加緩和なし
JPモルガン証券、菅野雅明 - 2016年1月
明治安田生命保険、小玉祐一 2016年1月 2016年1月
三菱UFJモルガンスタンレー証券、六車治美 10月30日 10月30日
三菱UFJモルガンスタンレー景気循環、景気循環研 嶋中雄二7月 10月30日
三菱UFJリサーチコンサルティング、小林真一郎 10月30日 10月30日
みずほ銀行 、唐鎌大輔 2016年1月 2016年1月
みずほ総合研究所、高田創 追加緩和なし 追加緩和なし
みずほ証券、上野泰也 10月30日 10月30日
ニッセイ基礎研究所、矢嶋康次 10月30日 2016年1月
野村証券、松沢中 追加緩和なし 追加緩和なし
農林中金総合研究所、南武志 追加緩和なし 追加緩和なし
岡三証券、鈴木誠 追加緩和なし 追加緩和なし
信州大学、真壁昭夫 2016年4月以降 2016年4月以降
三井住友銀行、西岡純子 - 追加緩和なし
SMBCフレンド証券、岩下真理 追加緩和なし 追加緩和なし
SMBC日興証券、森田長太郎 追加緩和なし 追加緩和なし
ソシエテジェネラル証券、会田卓司 10月30日 10月30日
スタンダードチャータード銀行、Betty Wang 10月30日 10月30日
東海東京調査センター、武藤弘明 追加緩和なし 追加緩和なし
東海東京証券、佐野一彦 追加緩和なし 追加緩和なし
東短リサーチ、加藤出 2016年1月 追加緩和なし
UBS証券、青木大樹 10月30日 10月30日
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関連ニュースと情報: 石田日銀委員:帰属家賃除くと2.4%必要−2%物価目標の達成に西村前日銀副総裁:「2年あり得ない」、無理に2%目指すとゆがみ家賃の品質調整で物価0.2%押し上げ−日銀調統局長が見直し要請円の対ドル相場の推移:{JPY <Curncy> GP M <GO>} 日経平均株価の推移:NKY <Index> GP M <GO> 10年国債利回り:GJGBBNCH <Index> GP <GO> トップストーリー:TOP JK<GO> 主要国の政策金利:OLR <GO> 日銀総合画面:{BOJ <GO>
取材協力: 藤岡徹
記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 Tomoko Sato tsato3@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net
更新日時: 2015/08/05 11:30 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NSL8A16TZ02C01.html
2015年 08月 4日 22:39 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
インタビュー:来夏に物価目標達成、追加緩和不要=内閣官房参与
[東京 4日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済アドバイザーを務める本田悦朗・内閣官房参与は4日、ロイターのインタビューに応じ、来年夏にかけて、日銀が目標とする物価上昇率2%近辺に達するとし「追加緩和の必要はない」との認識を示した。
金融政策の次の一手は、テーパリング(緩和度合を緩めること)になると示唆。時期は2017年4月に予定される消費税率10%への引き上げ後の経済状況を見極め判断していくことになると展望した。
17日発表の4─6月期国内総生産(GDP)について、消費の落ち込みはボーナス支給月の遅れや天候要因などによる「一時的なものだ」とし、「基調として、景気は回復傾向にあり、今年後半にかけて消費も物価も上昇してくる」と語った。
6月毎月勤労統計で実質賃金はマイナス圏に沈んだが「一時的なもの」とし、所定内給与と所定外給与を合わせた定期的に支給される給与でみると、若干のプラスになることを挙げ、実質賃金の上昇傾向に変わりないとした。
コアCPIはゼロ近辺にあるが、原油価格下落の影響がはく落してくれば、物価は9月以降、上昇を加速させると見通し、「基調として物価上昇が続いている」と語った。
物価目標達成時期について「2016年の夏ごろまでに2%近辺に達する」とし、「追加緩和の必要はない」と指摘。当面、政策スタンスを変更する必要性はないと繰り返し、不必要な追加緩和は円安やインフレ率のオーバーシュートにつながると懸念を示した。
追加緩和で円安が加速するリスクに関しては「企業が対応できるスピートでゆっくり円安傾向が進めばよいが、不確定要因で円安に振れてしまうと企業にとってマイナスになる」と語った。
本田氏は「1ドル125円に近付くと、123円に戻り、非常にいいラインで動いている。(為替動向について)今心配することはない」と語った。
一方、財政政策では、足元低迷している個人消費が復調しなければ、財政出動の必要性に言及。7─9月期の数字をみたうえで、今年度、国費ベースで3兆円程度の補正予算で下支えする必要があると述べた。さらに17年4月の消費税増税の環境整備として引き上げ前後に、3兆円程度の補正が必要との認識も示した。
マクロ政策運営に関し、当初は「今年の今ぐらい(2015年夏)には2%に近づき、3カ月くらい様子を見て、テーパリングに入り、来年(2016年)の10月ごろにはデフレ脱却宣言したうえで、最終的な消費増税の確認を行うシナリオをもっていた」という。
本田氏は「(日銀の)テーパリングについて今から言及するのは時期尚早だが、タイミングとしては、消費増税の影響をみてからのほうが安全だ」と述べた。
安倍首相の自民党総裁再選後の政策課題について、日銀法改正を第一に挙げ「2度とデフレにしないためには、日銀法改正(が不可欠)」とした。ポスト黒田日銀総裁後を念頭に「来年の通常国会か臨時国会に法案を出したい」と述べた。
(吉川裕子 梶本哲史 編集:田巻一彦)
独政府、ショイブレ財務相の「辞任検討」報道を否定
政府が東電の再建計画変更を認定、原発賠償7兆円に
コラム:中国当局が払う資産バブル傍観の「代償」
ギリシャ、第3次支援なければ銀行システム崩壊へ=ESM
インフレ率は今後相当加速、現段階で追加緩和不要=日銀総裁http://jp.reuters.com/article/2015/08/04/column-forexforum-ryutarokono-idJPKCN0Q903320150804
2015年 08月 4日 19:25 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
物価と賃金のジレンマ、見方分かれる日銀追加緩和
[東京 4日 ロイター] - 日本は物価と賃金のジレンマに苦しんでいる。物価が上昇するなか、賃金が伸び悩めば、実質賃金は減少してしまう。逆に物価が下がれば、実質賃金は上昇するが、デフレ脱却は難しくなる。アベノミクス政策は手詰まりだとして市場に失望感が広がっているわけではないが、日銀追加緩和についての見方は分かれ、海外勢の日本株買いも一服気味だ。
<大企業と異なる毎勤の「景色」>
理想は物価と賃金が同時に上昇することだ。もっと理想をいえば、物価よりも賃金の方が伸び率が高くなることが望ましい。そうすれば、物価上昇の目減り分を考慮した実質賃金は上昇し、消費に大きなプラス効果が働く。持続的な物価上昇も期待できる。
しかし、毎月勤労統計調査によると、今年6月(速報)の実質賃金は2.9%減と大きなマイナス。厚生労働省では、ボーナスが5月に前倒しで支給されたことなどが影響した可能性があるとするが、その5月も実質賃金は横ばいだった。
今年4月まで実質賃金が24カ月連続で減少していたことからすれば、改善の兆しがあるとはいえ、賃金の動きに強さが見えたとまでは言いにくい。昨年4月の消費増税分が前年比では表れなくなったが、可処分所得がその分増えたわけではない。
賃金のベースである所定内給与は、6月速報で24万1618円。1年前の24万2830円をやや下回っている。カバー対象が事業所規模5人以上と広い毎月勤労統計は、大企業の好調な業績や賃金とは「景色」がやや異なるのが実情だ。
<賃金はアベノミクスの最重要指標>
賃金が伸びない中では、物価の上昇は歓迎しにくい。賃金が十分に上昇してこないまま、物価だけが上昇すれば、実質賃金は目減りし、消費を圧迫。結果的に賃金も上がらず、持続的な物価成長も見込めないことになってしまう。
物価に負けないだけの実質賃金の上昇が起きるか──。「海外勢にとって賃金動向は、内閣支持率と並ぶアベノミクスの最重要インジケーター(指標)だ」とJPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は話す。
みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計では、4─6月期決算では7割の企業が増益だ(31日時点、東証1部企業、金融除く)。ただ、企業からは「海外子会社への融資が円安によってかさ上げされるなど円安効果がほとんど」(上場会社財務担当者)との声も漏れる。企業が賃金の引き上げに依然として慎重なのは、こうした面もありそうだ。
アベノミクス政策が始まって2年以上が過ぎたが、市場では、今年の4─6月期実質国内総生産(GDP)は、マイナス成長になるとの予測が多くなっている。弱いとみられているのは輸出と個人消費。円安でも輸出は伸びず、個人消費は円安による輸入物価の上昇で圧迫されている。「期待できるのは外需の好転くらい」(第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏)との声も多い。
<追加緩和に「本末転倒」の声も>
ただ、政策の行き詰り感も漂い始めているとはいえ、アベノミクス相場を支えてきた海外勢が見放したわけではないようだ。
日経平均.N225は4日の市場で上値が重いながらも2万0500円台をキープ。賃金が伸び悩んでいる一方、配当や自社株買いなど株主還元は過去最高水準だ。株主や投資家にとっては悪くない環境が続く。「TPP合意先送りや支持率低下を嫌気した売りが一部海外勢から出ているが、アベノミクスに失望したという感じではない。むしろ秋の追加緩和や景気対策などを期待しているようだ」(大手証券トレーダー)という。
日銀は物価目標2%の達成に自信をみせているが、原油や商品価格が大きく下落するなかで、早期の2%達成を予想するエコノミストは少ない。かといって2%の物価目標を達成しようと日銀が追加緩和すれば、実質賃金を押し下げてしまうおそれが出る。消費が減少し物価も下落に転じれば「本末転倒」となりかねない。
問題は、物価上昇の主要因が、需要が増加したことではなく、円安による輸入物価の上昇などコスト増にあることだ。所得が上がらない中で、食品などの値上がりが家計を直撃。さらに企業でも、せっかく高い価格で販売できても、コスト増に食われれば、利益は伸びず、賃金の原資も増えないことになってしまう。
このため、構造改革が進まないなかでは、追加の金融緩和や追加の景気対策を実施しても、需要が増加し、実質賃金が持続的に上昇するようにはならないとの疑問も市場では多い。
円安と株高で一息ついている間に、人口問題や年金問題などに取り組み、消費者の将来の生活に対する安心感を高めなければ、いくら物価が上昇しても、デメリットが強く出てしまうことになりかねない。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
*文字の乱れを正しました。
焦点:意識される「原油安が円安支援」の構図、日銀追加緩和の思惑
極秘のグリジット緊急対応策、ギリシャ前財務相が認める
コラム:なぜ米国は中国軍を「訓練」するのか
日銀17年度までの物価を小幅下方修正、黒田総裁「中国注視」
外国人労働者の流入で変貌する太田市、移民と地元住民の交流みえず
2015年 08月 4日 20:04
コラム:大幅マイナス成長で追加緩和はあるか=河野龍太郎氏
河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 4日] - 安保関連法案をめぐり安倍政権の支持率が急低下しているが、日銀に対しても逆風が強まりつつある。もとより「2016年度の前半頃」に2%インフレが達成されるという日銀の見通しは市場の見方からかなり乖(かい)離したものだったが、足元の景気減速やコモディティ価格の一段の低下により、実現性が一層厳しくなっている。事実、市場ではにわかに追加緩和観測が強まりつつある。
念のために言っておくと、足元までの物価動向は、日銀の従来の見通しから特に下振れしているわけではない。消費者物価指数(除く生鮮食品、以下CPIコア)は5月、6月と前年比0.1%の上昇にとどまったが、4月の展望レポートでもCPIの前年比は「当面0%程度で推移する」としていた。また、原油価格下落の影響を除くと、昨秋以降の円安によるコスト増が順調に価格に転嫁されつつあり、物価上昇率は食料品を中心に再び上向きつつある。
しかし、一方で経済成長率は、日銀の見通しをかなり下振れする可能性が高まってきた。
17日に公表が予定されている4―6月期の実質国内総生産(GDP)に関して、4―5月のデータが発表された時点での筆者の成長率見通しは前期比年率マイナス1%程度だったが、貿易統計などその後発表された6月の統計はいずれも低調で、年率2%程度のマイナス成長となる公算が高まっている。
4―6月期の減速は、在庫の大幅プラス寄与で年率3.9%の高成長となった1―3月期の反動という側面もあるが、それだけではない。中国を中心とした新興国経済の減速を受けて輸出が大きく落ち込んだうえ、緩慢ながらも持ち直していた個人消費も再び減少したと見られる。
<非現実な日銀の成長見通し>
黒田日銀総裁は、7月15日の金融政策決定会合後の記者会見で「4―6月の成長率は、非常に高い成長率だった1―3月に比べるとかなり低下する可能性がある」と述べている。4―6月期の減速に関しては日銀としてもある程度は織り込み済みということだろう。
実際、この会合後に発表された展望レポートの中間評価では、政策委員の2015年度の成長率見通しの中央値が2.0%から1.7%へと低下していた。仮に4―6月期が筆者の予想通り年率2.0%程度のマイナス成長だったとするなら、2015年度全体で1.7%の成長を達成するには、残りの3四半期は平均して年率4%程度の成長が必要となる。潜在成長率が0.3%の日本にとって、これは明らかに非現実的である。
前述した通り、いったん持ち直していた原油価格も、7月に入って再び低下している。原油価格下落それ自体は日本経済にとって交易条件の改善を意味するが、成長や物価見通しへの意味合いは、その下落をもたらしている要因にも依存する。現在、ここにきて原油価格が再び軟化している主因は中国経済の減速懸念である。つまり、中国経済の減速が、輸出減を通じた需給ギャップ悪化およびコモディティ価格下落をもたらし、当面の物価見通しを悪化させているのである。
こうした状況下、ブレークイーブン・インフレ率から判断すると、市場の期待インフレ率も再び低下している。昨年10月末に、日銀は予想外の景気の弱さと原油価格の下落によるインフレ期待への悪影響を懸念し追加緩和に踏み切ったが、状況としては当時と似た要素が増えており、市場で追加緩和観測が高まりつつあるのも至極当然だろう。
<追加緩和観測をけん制する日銀>
ただ、筆者自身は「追加緩和なし」との見方を維持している。最近、日銀はインフレに関して、原油価格下落の影響で低迷しているCPIコアや、食料品価格の上昇が反映されない、いわゆる「米国型コア」に加えて、生鮮食品とエネルギーのみを取り除いた指標を重視している。
生鮮食品とエネルギーを除いた指標は、今年2月の0.4%を底に持ち直しており(直近の6月は前年比0.8%)、それを強調することで、追加緩和を期待する市場をけん制したいとの思惑が見え隠れする。この他、CPIの帰属家賃が過少推計されていることや、東大物価指数、一橋物価指数の上昇がここにきて加速していることなどが、メディアに頻繁に取り上げられるのも、追加緩和観測が広がることへの日銀からのけん制である。
「必要ならば追加緩和は躊躇(ちゅうちょ)しない」というのが表向きのスタンスだが、当然、日銀は本音では、出来るなら追加緩和を実施したくはない。一段の長期国債の買い増しが技術的に難しくなる中、あくまでインフレ目標追求のために追加緩和を実施するとなれば、将来のデメリットがより大きくなる政策に踏み込まざるを得なくなる。
また、追加緩和はさらなる円安を引き起こす可能性があるが、ここからの一段の円安が景気に対して果たしてプラスなのか、日銀内でも懐疑的な見方があるだろう。足元で個人消費が軟化している一因も、上述した通り、円安により食料品価格などが上昇していることが影響していると考えられる。こうした家計への悪影響を懸念し、政府自身が一段の円安は望んでいないと見られる。
前年比ベースでようやく下げ止まった実質賃金が、円安により再び減少に向かえば、安倍政権の支持率低下で勢いづく野党にさらなる追及材料を与えることにもなりかねない。通常、政権の支持率低下は日銀への政治的な緩和圧力につながりやすいが、現在の環境下では必ずしもそうとは言えないのである。
<中国経済が下げ止まる可能性は大きい>
一方、日銀は、足元の景気減速は一時的なものと判断しており、筆者も基本的にはその見方に同意する。
最大の焦点は、足元の輸出減およびコモディティ価格下落の主因となっている中国経済の減速が止まるのかという点であるが、筆者は、今回の中国株の急落が不動産も含めた全面的なバブル崩壊に至ることはなく、当局による追加的な景気刺激策により、その長期的インプリケーションはさておき、年後半、中国経済はひとまず持ち直すと考えている。
財政投融資などの拡大に伴い、公共投資などが増え始めていることがすでに確認されている。米国経済や欧州経済が回復傾向を示す中、中国経済も底入れしてくれば、日本の輸出も持ち直しが予想され、そうなれば今年に入って強気化しつつある製造業の設備投資計画も大きく下方修正されることなく実行されていくだろう。
需給ギャップが再び改善に向かうという絵を描くことが出来る限り、日銀は2%目標の実現時期に関する文言を微妙に後ずらしすることで対応し、追加緩和には踏み込まないと見られる。
とはいえ、中国経済が深刻な過剰ストック問題を抱えていることは確かであり、世界経済の先行きへのリスクは明らかに下向きで、アップサイドとは言えない。
直近の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)も、予想外の大幅低下となった。仮に中国経済の減速が止まらず、7―9月期もプラス成長へ日本経済が復帰できないという事態になれば、日銀が追加緩和に向かう可能性は否定できないだろう。グローバルでリスク回避的な傾向が大きく強まり、さらに米国のゼロ金利解除まで遠のくといった事態に発展すれば、円高圧力がかかることは必至であり、その場合、日銀の追加緩和の可能性はさらに高まる。
<超長期債の購入増額か>
では、仮に追加緩和が実施される場合、具体的に日銀は何をするのか。以下はリスクシナリオである。
早晩、長期国債のスムーズな買い入れが難しくなっていくことが予想される中で、あくまで現在の量的質的緩和の枠組みにこだわるとすれば、考えられるのは、長期国債の買い入れ年限のさらなる長期化や上場投資信託(ETF)などリスク資産の買い入れ増額だろう。
需給環境を考えると、中長期債と比較して、超長期債はまだ買いやすい。ただ、国債の買い入れ総量を大幅に増額することは、実行可能性の観点から敬遠されるはずであり、そうなるとマネタリーベース目標を大きく引き上げることは難しい。
量的質的緩和のうち、「質」に重点を置くと説明するのかもしれないが、市場からは現行の政策枠組みの限界が露呈したと解釈され、逆に失望を招く可能性もある。また、とりあえず市場の期待をつなぎとめたとしても、超長期国債のさらなる買い増しは、出口政策や政府の財政規律への影響という観点で大いに問題含みである。リスク資産の買い増しも当然、日銀のバランスシートのリスク量や市場へ大きな歪みをもたらす点で、副作用は非常に大きい。
もう1つは、これまでも論じている通り、付利引き下げにより、イールドカーブ全体の引き下げを図るというオプションである。ただし、当座預金への付利を引き下げれば、市場からの長期国債の買い入れはより困難になる可能性が高い。日銀としては、長期金利が低位で安定していれば、必ずしも「量」の目標の達成にこだわらないという姿勢に転じざるを得ないだろう。これは、量的質的緩和の枠組みそのものを転換させ、実質的に長期金利ターゲットへ移行するということであり、その意味でハードルは決して低いとは言えない。
ただ、長期国債の買い入れ年限長期化やETFなどのリスク資産の買い入れとの合わせ技で、量的質的緩和第2弾(QQE2)のバージョンアップという装いで打ち出される可能性はある。付利引き下げは、効果があるとすれば、それは主に為替レート(および株価)への影響を通したものであると考えられるため、円高圧力が大きく高まるような局面では、こうした政策への移行が検討される可能性がある。
念のため繰り返すが、メインシナリオでは追加緩和は想定していない。ここで論じているのは、リスクシナリオが実現した場合における金融政策のオプションである。
*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
コラム:5分で分かる「南シナ海問題」 2015年 06月 10日
馬と性行為の疑いで米68歳男を逮捕、覆面捜査官が活躍 2015年 07月 14日
金や新興国資産の「投げ売り」発生=米メリルリンチ 2015年 07月 24日
http://jp.reuters.com/article/2015/08/04/column-forexforum-ryutarokono-idJPKCN0Q903320150804
【FRBウォッチ】コアインフレ、安定化の兆し
By JON HILSENRATH
2015 年 8 月 5 日 10:17 JST
米国の物価動向について厄介なのは、インフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする2%を38カ月連続で下回っていることだ。一方、インフレが2015年前半に安定化した兆しを見せていることは朗報だろう。
米商務省は3日、6月の個人消費支出(PCE)を発表した。この統計には毎月のインフレ傾向を示す詳細なデータが含まれており、FRBが注視している。中でも、FRBが基調的な消費者物価の指標として重視しているのが、変動の大きい食品とエネルギー品目を除いたコアのPCE価格指数だ。6月の同指数は前年同月比1.3%上昇し、伸びは1月から6月まで6カ月連続で1.3%となった。PCE価格指数は足元で上昇の兆しを見せている。4-6月期のコア指数は前期比年率1.8%の上昇で、目標の2%にはそう遠くない。
FRBにとっては安定性が重要だ。FRBのイエレン議長は3月の講演で、コアインフレが減速すれば、短期金利を引き上げることに違和感を感じるだろうと語った。議長は当面、この問題を心配する必要はなさそうだ。しかし、最近のドル高で輸入物価に新たな下押し圧力がかかる可能性があり、そうなれば、議長は再びインフレ低迷を懸念材料の一つに加えたいと考えるかもしれない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAAahUKEwjPxa_0mJHHAhVD6KYKHVtjAjk&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12433432845575373546004581151143610455906&ei=C53BVY-UC8PQmwXbxonIAw&usg=AFQjCNHKZIZsSZNIIvHsiaxcsznzR5pk8A&bvm=bv.99261572,d.dGY
米経済「大幅悪化」なければ9月利上げ支持─連銀総裁=報道
[ワシントン 4日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のロックハート総裁は、米経済が「大幅に悪化」しない限り9月の利上げを支持するとの見解を示した。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が4日、報じた。
同総裁はWSJ紙のインタビューに対し、「現時点では何も行動を起こさないことに対するハードルが高くなっている。自分自身の行動を起こす気持ちが萎えるには、経済情勢が大幅に悪化する必要がある」と述べた。
そのうえで、経済の用意は整っており、変化を起こす適切な時期となっていると考えていると述べた。
ロックハート総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。
http://jp.reuters.com/article/2015/08/04/fed-atlanta-us-economy-idJPKCN0Q924V20150804
米株市場は続落、アップルの下げや利上げ警戒感で
8月4日の米国株式市場は続落して終了した。利上げに対する警戒感が広がった。アップルへの売りが膨らみ指数が押し下げられた。サンフランシスコで先月撮影(2015年 ロイター/Robert Galbraith)
8月4日の米国株式市場は続落して終了した。利上げに対する警戒感が広がった。アップルへの売りが膨らみ指数が押し下げられた。サンフランシスコで先月撮影(2015年 ロイター/Robert Galbraith)
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 4日の米国株式市場は続落して終了した。米連邦準備理事会(FRB)の9月利上げに対する警戒感が広がった。こうしたなかアップル(AAPL.O)への売りが膨らみ、株価は約半年ぶりの安値をつけた。
アップルは3.2%安となり、トレーダーたちが警戒している重要なテクニカル分析上の水準である200日移動平均線をしっかり割り込み、主要3指標の最大の押し下げ要因となった。
中国経済の減速とiPhone(アイフォーン)の需要に対する懐疑的な見方がアップル株の圧力の一因になった、とトレーダーは指摘した。
リッジワース・インベストメンツのシニア投資ストラテジスト兼資産配分ディレクター、アラン・ゲイル氏は「今日はアップル(AAPL.O)が相場の弱気材料だった。セクター別では素材株指数.SPLRCMを除いてほぼ全ての業種が値下がりした」と話した。
米アトランタ地区連銀のロックハート総裁がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙に対し、9月の利上げが適切な時期だろうとの見方を示したことを受け、株価は下げ幅を拡大した。
ダウ工業株30種.DJIは47.51ドル(0.27%)安の1万7550.69ドル。
ナスダック総合指数.IXICは9.83ポイント(0.19%)安の5105.55。
S&P総合500種.SPXは4.72ポイント(0.22%)安の2093.32。
S&P500種の主要10業種中8業種が下落し、中でも公益株指数.SPLRCUは1.6%安と最も下げがきつかった。
ほぼ全ての部門で保険引受収益が減少したAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)(AIG.N)は2.8%下落したほか、同じく米保険大手のオールステート(ALL.N)は利益が予想を下回り、10.1%の大幅安となった
騰落銘柄比率はニューヨーク証券取引所が下げ1.23に対し上げ1、ナスダックは下げ銘柄1414に対して上げ1376(比率は1.03対1)だった。
BATSグローバル・マーケッツのデータによると、米取引所の合計出来高は約64億株で、今月の5日移動平均である70億株を下回った。
(カッコ内は前営業日比)
ダウ工業株30種(ドル).DJI
終値 17550.69(‐47.51)
前営業日終値 17598.20(‐91.66)
ナスダック総合.IXIC
終値 5105.55(‐9.83)
前営業日終値 5115.38(‐12.90)
S&P総合500種.SPX
終値 2093.32(‐4.72)
前営業日終値 2098.04(‐5.80)
http://jp.reuters.com/article/2015/08/04/us-stocks-idJPKCN0Q92AL20150804?sp=true
6月の米製造業受注力強く回復、輸送機器需要底堅く
[ワシントン 4日 ロイター] - 米商務省が4日発表した6月の製造業受注は前月比1.8%増と、力強い回復をみせた。市場予想と一致した。輸送機器などの需要が底堅く、 製造業にとって明るい兆しとなった。
5月の数字は当初発表の1.0%減から1.1%減に下方修正された。
航空機関連の大きな伸びを反映して、輸送機器の受注は9.3%増えた。一般機械や電機・家電も増えた。
民間設備投資の先行指標となるコア資本財(資本財から国防関連と航空機を除く)の受注は0.7%増だった。先月発表された速報の0.9%増から下方修正となった。
国内総生産(GDP)で企業の設備投資の計算に使われるコア資本財の出荷は0.3%増加した。速報の0.1%減からプラスへと転じた。
3日に発表された6月の建設支出が速報値を上回ったことと合わせて、今月下旬に発表される第2・四半期GDPの改定値は上方修正される可能性がある。7月下旬に発表されたGDPの速報値は年率換算で2.3%増だった。
5月の米企業在庫伸び鈍化、前月比0.3%増
焦点:TPPで日本の所得「13兆円底上げ」試算、経営者は冷めた視線
TPP、NZが着地点見いだそうとするなら交渉継続=日本交渉官
7月米住宅建設業者指数、05年11月以来の高水準
中国証券当局、27日の株価急落を調査
http://jp.reuters.com/article/2015/08/04/us-factory-order-june-idJPKCN0Q91OZ20150804
FRB、賃金の伸びなしでも利上げ実施か
By JON HILSENRATH
2015 年 8 月 4 日 14:03 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)関係者らは、賃金の伸びが経済的目標とどう調和するかについて、曖昧な見解しか示していない。彼らは賃金上昇の加速を期待している。そうなれば、米経済は雇用の健全な伸びとインフレの緩やかな上昇というFRBの二大目標に近づいているとの確信が得られるだろう。だが、賃金と雇用、インフレの関連は不明確であり、FRBの行動は賃金上昇の加速次第というわけでもない。
古典派の経済モデルでは、失業率低下に伴い、雇用市場のスラック(余剰資源)が減少し、賃金上昇圧力が生まれる。賃金は事業コストの極めて大きな構成要素であるため、賃金上昇圧力は物価上昇という形で消費者に転嫁される。だが、最近の研究では、米経済は数十年間そうではなかったという報告が相次いでいる。賃金以外の要因(グローバルな圧力、インフレの安定に関する家計や企業の認識など)が大きく影響し、これらは国内の賃金が物価に与える影響を上回っている可能性がある。
FRB理事会のエコノミスト、エカテリーナ・ペネバ氏とジェレミー・ラッド氏が最近発表した研究論文によると、賃金の増減が物価全般に大きな影響を与えた証拠は、2007年?09年のリセッション(景気後退)の前後いずれについてもほとんど見られなかった。論文は「賃金動向が将来の物価動向にとって重要な独立変数(もしくは特に優れた指針)になる公算は小さい」と結論づけている。
FRBのイエレン議長は、この研究について十分に認識している。3月の講演では、賃金と雇用、インフレの間に見られるつながりや、それが短期金利に関する自身の計画にどう組み込まれるのか説明した。
「物価上昇率が2%に向かい、労働市場の状況が予想通り改善し続けているとしても、賃金の見通しは極めて不確かだ。例えば、われわれは将来の生産性の成長ペースについて確信が持てない。また、国際競争や技術的変化の特性、労働組合の組織化の傾向など、やはり今後の実質賃金の上昇ペースに影響する可能性がある他の要因についても確信はできない。FRBの管轄外にあるこれらの要素によって、少なくとも過去15年にわたり実質賃金の伸びは生産性の伸びに追いついていなかった理由が説明できそうだ。そうした理由から、どの程度の名目賃金の伸びが消費者物価インフレの安定と整合するのか確信は持てない。この不確実性こそ、インフレ目標達成に向けたFRBの進展の指標としての、賃金動向の有用性を制限している」と述べた。
足元の賃金上昇パターンが複雑になっているため、今やこうした要因の全てが重要になっている。
イエレン議長は先月の議会証言で、賃金は一時的な上昇の兆候を示していると述べた。これは雇用市場が完全回復に向かい、労働者の賃金が上向くこと意味するため、FRB関係者は期待を寄せている。労働省がまとめた1-3月期の雇用コスト指数は前年同期比で2.6%上昇と、2008年以来の大幅な伸びを見せた。
だが、前週末7月31日発表された4-6月期の同指数は前年同期比2.0%上昇と、伸びは大幅に減速し、リセッション後の大半の期間の失望的なペースに足並みをそろえた。賃金の伸びの好転は、期待外れの報告がたった一つ出ただけで見えなくなってしまったようだ。労働省が発表する平均時給など、賃金の伸びを測る他の指標もまた、年2%をわずかに上回る水準で推移している。
これが複雑な形でFRBの金利判断に影響している。FRBは年内の短期金利引き上げを視野に入れているが、賃金の伸びが実現しない環境でも前進するだろうか。
イエレン議長は3月の講演で、賃金の上昇が加速している確かな兆しを確認する前であっても、利上げを開始する用意があると明言した。ただ、「とは言え、賃金の伸びやコアの消費者物価、基調のインフレ圧力に関する他の指標が軟化した場合、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げに不安を感じるだろう」とも述べた。
議長のこうした姿勢を踏まえると、31日発表された雇用コスト指数によって、これまでずっと続いている利上げ時期をめぐるFRBの議論が難航するとは思えない。賃金は停滞しているようだが、議長が行動を見送る基準としているほどの明確な減少が見られるわけではない。ただ、FRB関係者に新たな疑念を抱かせるものであり、関係者が、労働市場は完全雇用に近づき、インフレは2%に向かって上昇しているとの確信を高める支えとはなっていない。
従って、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)はFRBと市場にとって、最後の最後まで結末が分からないものになっている。関係者らは全ての点を理解するため、もう少し時間をかけたいと判断するかもしれない。だがそれまでの間に、雇用コスト指数など気にせず利上げに動くことを後押しするような証拠が浮上する可能性もある。今週7日に発表される7月の非農業部門就業者数や平均時給は、真の景気回復の証拠を探し続けるFRBにとっていっそう重要なものとなっている。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB8QqQIwAGoVChMI6YzTodGPxwIVSyWUCh06CgQu&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12433432845575373546004581149430934683072&ei=s8vAVannAsvK0AS6lJDwAg&usg=AFQjCNHLjTUCkpAnOfAJP2w68t6zwcsf3A&bvm=bv.99261572,d.dGo
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