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自動車メーカーに忍び寄る“重大な危機”?エンジン車もハイブリッド車も走れなくなる日
http://biz-journal.jp/2015/08/post_10989.html
2015.08.05 文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表 Business Journal
EUは、極めて強力に二酸化炭素(CO2)削減計画を進めている。地球温暖化防止の目標のひとつが、18世紀に始まった産業革命前の地球の平均気温に対してプラス2度以内に収めることだ。この目標を達成するためには、空気中のCO2濃度を450ppm以下に抑えなければならず、CO2排出量は現行の半分にする必要がある。先進国は途上国に比べて排出量が多いので、80%以上の削減が必要だ。
こうした状況に対して、環境大国のドイツは2020年までに1990年比40%、50年までには同95%というCO2削減計画を打ち出している。またスウェーデンは20年に同40%削減し、50年には排出量をゼロにするという。
当然、全排出量の20%前後を占める自動車のCO2削減もターゲットである。日本ではとても考えられないようなCO2排出規制が実施されるのである。
例えば、現在はタイヤ等の装備も含めて120g/kmの規制値は、20年には95g/km以下へと強まり、さらに25年には70g/km前後の規制案が浮上している。つけ加えれば、20年になったら95g/kmにすればよいというものではなく、年ごとに削減しなければならない。15年の規制基準値に対し、規制初年度の12年に65%、13年に75%、14年に80%の達成が義務化されていた。
ちなみに95g/kmをガソリン車で燃費に換算すると、リッター24.4kmである。ディーゼル車の場合は、燃料の軽油の炭素量が多いのでリッター27.5kmである。
ただし、これはEUの測定モードの場合だ。それよりも緩い日本のJC08モードでは、さらに高い燃費を出さなければならない。JC08ではおそらくガソリン車でリッター30km、ディーゼルでリッター34kmほどではないだろうか。
しかも、この値は当該自動車メーカーが販売した自動車の台数を勘案した上での平均値である。その上、15年の規制では平均値が1gオーバーすると1台当たり95ユーロの罰金が科せられる。当該自動車メーカーが払う罰金は、これに販売台数を乗じた金額となる。場合によっては数千億円の罰金もあり得る。さらにこれは10年後や20年後ではなく、5年後の話であり、年々確実にCO2排出量を減らさなければならない。
では、自動車メーカーは、どうすればいいのか。いかに燃費の良いエコカーをつくっても、売れなければメーカー平均値は下がらないから、売れるエコカーを開発する必要がある。
■行き詰まったエンジン車
日本の場合は、カタログの燃費が良ければ購入動機が強まるが、ヨーロッパではそうではない。しっかりと高速道路を走る走行性能と安定性が求められる。つまり、名前だけの燃費カーでは話にならない。
しっかりと走って、しかも燃費の良いことが求められるようなマーケットでは、本物であることが求められる。しかし、そんな自動車が存在するのだろうか。
残念ながら、これまでの自動車では達成は困難だ。
例えば、電気的な補助のないエンジン車では、CO2を削減するほどにパワーが低下し、排ガスが増えてしまう。そこで登場したのが、排気量を減らして小さなエンジンとし、パワーが減った分をターボチャージャーで補うダウンサイジング・ターボだ。ヨーロッパ勢は独フォルクスワーゲン(VW)を筆頭に、ほとんどのメーカーが一斉にダウンサイジング・ターボ化を進めた。ただし、これも最近になって排気ガスの中に有害なPM2.5が多く含まれることが判明するなど、先行きに暗雲が漂っている。
ヨーロッパにおける最初のCO2削減策は、ディーゼルエンジンの活用であった。だが、排ガス規制が間に合わず、現在ではヨーロッパの主要都市のほとんどが北京並みの排ガスによる大気汚染で悩んでいる。
このように、エンジン車は燃料がバイオ燃料であっても、PM2.5を捕捉できるフィルターを開発し、装備しなければならなくなるだろう。そうなればコストは当然、高くなる。
ではハイブリッド車はどうだろうか。これも同じエンジン車であり、同じ排ガスの課題を抱えている。また、ダウンサイジング・ターボに比べると、パワーが少なく、エンジンのフィーリングも悪く、ヨーロッパのユーザーには不人気である。
以上のパワープラントでは、どうやら20年の95g/kmという厳しいCO2規制に対応できそうにもないことがわかってきた。そこに救世主として現れたのが、プラグイン・ハイブリッド車なのだ。
プラグイン・ハイブリッドが救世主たる理由については、次回詳しく見ていきたい。
(文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表)
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