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「譲歩しすぎ」TPPに自民議員ら不満(SankeiBiz)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/471.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 04 日 23:10:00: igsppGRN/E9PQ
 

「譲歩しすぎ」TPPに自民議員ら不満
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150804-00000516-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/8/4 21:59


 自民党は4日、米ハワイでの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の閣僚会合に関する議員説明会を党本部で開き、出席議員から、日本が米国産のコメに対する無関税輸入枠の創設などを検討していることについて「譲歩しすぎではないか」、「交渉で農産品について利益があるのか」などの不満の声が相次いだ。

 出席した甘利明TPP担当相は、コメや牛・豚肉など重要農産品5分野の関税交渉ついて「結論から言うと決まったものはない」と発言。ただ「物品の交渉は連立方程式だ。最後のピースがはまって完成する」とも述べた。

 また甘利氏は、交渉の見通しについて「事前調整を徹底的にやり、閣僚会合を開く意味があるとの状況になれば決着する」と述べ、8月中にも再度、閣僚会合を開き、大筋合意を目指す考えを示した。


 

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コメント
 
1. 2015年8月05日 00:59:16 : snAc501eHi
TPPは、絶対反対!と言って衆議院選挙で勝たせてもらったのでないのか?

自民党さんよ!

ここも、二枚舌か?

失望ばかりで、腹が立つ!

最低賃金18円アップは良かったが、二枚舌になるのかチェックは必要だね。

絶対に、安倍のペテン師にはこれまで騙され続けですからね。


2. 2015年8月06日 06:59:18 : jXbiWWJBCA
2015年8月6日 菅原淳一 [みずほ総合研究所 上席主任研究員]
TPP交渉「合意先送り」で日本の成長戦略に「停滞」の恐れ
乳製品の大幅な輸入自由化を主張するニュージーランドの強硬姿勢が思わぬ障害に。写真は同国の牧場
共有されなかった危機感
TPP交渉合意に至らず
7月28日からハワイで開催されたTPP(環太平洋経済連携協定)交渉の閣僚会合は、同31日に、期待された大筋合意に至ることなく閉幕した。日本経済団体連合会の榊原定征会長は、「期待が大きかっただけに、大筋合意に至らなかったことは極めて残念である」とコメントしたが、この思いを共有した方は少なくなかっただろう。 
TPP交渉の大筋合意は従来、何度も見送られてきた。しかし、今回の閣僚会合で大筋合意に至るとの期待はこれまでになく高かった。というのは、今回大筋合意に至れなければ、TPP交渉は長期間漂流する、との危機感がTPP交渉参加国閣僚の間で共有されていると思われたからだ。 
閣僚会合前、TPP交渉を担当する甘利明経済財政担当相は、「この会合を最後の閣僚会合にしたい。各国の閣僚も同じ思いを共有している」(毎日新聞、7月29日)と述べていた。来年秋に大統領選を控える米国の政治日程を考えると、今回大筋合意を逃せば、「数年間は合意が大変困難になる」(ロブ豪貿易・投資相、Australian Government News、7月27日)。 
その危機感が、参加各国閣僚に歩み寄りを促すと期待されていた。残念ながら、この危機感を共有していたのは、参加閣僚全員ではなかったようだ。 
決裂の直接の原因は
ニュージーランドの強硬姿勢
報道によれば、大筋合意見送りの直接の引き金を引いたのはニュージーランドだったようだ。国内大手各紙は、「ニュージーランドが乳製品の輸入拡大で強硬姿勢をとり続けたことが合意見送りの主因となった」(日本経済新聞電子版、8月1日)と報じている。 
ニュージーランドは、近年の自由貿易協定(FTA)交渉において、すべての品目での関税撤廃を約束している。そのため、相手国にも「原則関税撤廃」を強く求め、特に、主要輸出産品である乳製品の自由化を最重視している。日本が同国からの二国間経済連携協定(EPA)締結の提案に応じてこなかったのもそのためだ。 
今回の閣僚会合におけるニュージーランドの自由化要求は、自由化を求められた日・米・カナダにとっては「法外な要求」(甘利担当相、読売新聞、8月1日夕刊)であったが、自国市場を開放している同国からしてみれば当然のものであり、非妥協的であったのは日・米・カナダの方であった。 
他方、ニュージーランドはTPPの前身である環太平洋戦略的経済連携協定(P4)の参加国であり、TPPにおいても法的な管理を行う寄託国である。その自負があるニュージーランドが自国の要求実現に固執し、合意を壊す側に回ったのは意外にも見える。どうやら、同国が抱いていた危機感は、日米豪などの他国のものと若干異なっていたようである。 
今回の閣僚会合の初日に当たる7月28日、ニュージーランドのピーターソン農業貿易特使は、日・米・カナダの乳製品市場の自由化提案に不満を示し、妥当な改善提案がなければ今回の閣僚会合での大筋合意はないと述べていた。しかし、同国がTPP交渉の長期漂流もやむなしと考えていた訳ではなさそうだ。ピーターソン特使は、交渉の長期漂流に対する危機感を他国と共有しつつも、あと2、3週間余裕があるとの認識を示していた(Inside U.S. Trade、7月29日)。 
つまり、ニュージーランドは今回の閣僚会合を大筋合意のデッドラインとして認識していなかったのだ。今回の閣僚会合における強硬姿勢の背景には、こうした他国との認識の差があったと思われる。 
本当に8月末で合意できるのか?
まだいくつも残る難題
閣僚会合閉幕後、甘利担当相は、「もう一度会合を開けば、すべて決着する」(毎日新聞、8月1日夕刊)、「8月の末までに次回の閣僚会合を持った方がいいという共通認識がある」(同、8月2日)と述べている。また、ニュージーランドのグローサー貿易相も、「数ヵ月ではなく、数週間のうちに合意できる」という共通理解があるとインタビューに答えている。 
現時点では、次回閣僚会合については何ら決められていないが、8月22日から25日にはASEAN経済相会合が開催される予定となっているので、その前後にTPP閣僚会合が開催されるのではないかとの報道もある。 
しかし、TPP交渉の大筋合意は、まるで逃げ水のように、近づけば遠ざかることを繰り返してきた。今度こそと思われた今回の閣僚会合でもそれは同じだった。本当に次の閣僚会合で大筋合意できるのだろうか。 
仮に、TPP交渉の長期漂流を回避するため、ニュージーランドが態度を軟化させたとしても、それだけで大筋合意に至れる訳ではない。難題はまだいくつも残っている。 
日米間をはじめ各国で対立残る
あと3週間での合意は至難の業
今回乳製品問題と並んで大筋合意見送りの原因となったとされるのが、知的財産分野におけるバイオ医薬品のデータ保護期間の問題である。12年間を求める米国と、5年間以下を主張する豪州、ニュージーランド、マレーシアなどが対峙している。 
日本では、このバイオ医薬品のデータ保護期間の問題と、乳製品市場の自由化が、大筋合意見送りの二大原因と報じられているが、他の参加国の報道では、日、米、カナダ、メキシコの間で自動車の関税や原産地規則の問題で歩み寄れなかったことが主因であったと報じているものもある。 
日本もまだ米国との間で、日本のコメの輸入枠拡大や、米国の自動車部品関税撤廃などについて合意をみていないようである。カナダは、「聖域」とされる乳製品市場の自由化を求められているが、10月に総選挙を控え、譲歩が難しい状況にある。マレーシアは、政府調達や国有企業規律の分野で、国是といわれるブミプトラ政策(マレー人優遇政策)を緩和し、外資との公平な競争条件を確保することを求められているが、与野党双方の強い反対に加え、ナジブ政権の政権基盤が揺らいでいることから、歩み寄りが難しいとみられている。 
これらの問題すべてについて、これからの3週間で合意の道筋を見つけることは至難の業である。果たして8月末までに閣僚会合は開催されるのか、開催されても大筋合意に至れるのか。現時点では、甘利担当相やグローサー貿易相の言葉を信じるほかはない。 
報道等を元に編集部作成
想定される3つのシナリオ
8月末に合意なければ長期漂流
今後TPP交渉はどうなっていくのか。現時点で想定されるシナリオは3通りある。 
(1)楽観シナリオ:8月末までに大筋合意
一つ目は、8月末までに大筋合意に至るというものである。そのためには、ここで例示したものを含むすべての争点で、参加12ヵ国が歩み寄る必要がある。TPP交渉を長期漂流させてはならないという強い危機感が共有されない限り、合意実現は難しいだろう。 
すべての争点での合意が困難な場合、一部の争点は最終合意まで先送りするというケースも考えられる。バイオ医薬品のデータ保護期間の問題のように、合意全体のバランスを崩しかねない争点を先送りして大筋合意に至ることはないと思われるが、一部争点では先送りも可能かもしれない。 
また、一部の国が大筋合意に加わらないというケースも可能性がないとは言えない。P4以来の参加国であるとの自負があるニュージーランドが合意に加わらないということは考えにくいが、10月に総選挙を控えるカナダ、国内の政治状況が厳しいマレーシアなどが態度を留保することが懸念される。 
(2)悲観シナリオ:交渉は長期漂流、2017年1月以降仕切り直し
冒頭に示したロブ豪貿易・投資相の発言のように、2016年秋の米大統領・議会選の日程を考慮す ると、選挙戦が本格化して国内調整が難しくなる前、遅くとも2016年の早い時期に、TPP実施法案を米議会で成立させる必要があるとみる識者が多い。そのためには、8月末の大筋合意が不可欠となる。
仮に、8月末に大筋合意に至ったとすると、米国の大統領貿易促進権限(TPA)法の「90日ルール」により、最短でも最終合意に署名できるのは11月末となる。さらに、最終合意文書を議会に提出してからTPP実施法案の提出まで30日間置かなければならないため、議会の開催日程を考えると、最短のケースでも年内に米議会の承認を得るのはほぼ不可能である。 
2016年の早い時期までにTPP実施法案を米議会で成立させる必要があるとすれば、8月末が大筋合意のラストチャンスとなる。それが実現されなかった場合は、新大統領が誕生する2017年1月以降に交渉が仕切り直しとなる。そうなれば、TPP交渉は2年間ほど漂流状態に陥ることになる。 
(3)中間シナリオ:2016年夏までに大筋合意(可能性は低い)
これら2つの中間に当たるシナリオも考えられる。悲観シナリオは、「米大統領・議会選の選挙戦が本格化すると、TPP実施法案について議会承認を得るのが困難になる」という点を前提としているが、大統領選の年には通商法案の議会承認が不可能ということではない。 
過去には、いずれも大統領選の年であった、1988年に米カナダFTA、2004年に米豪FTA、米モロッコFTAの実施法案が議会で承認されている。この場合、2016年夏までに大筋合意に至れば、オバマ政権下でTPP実施法案について議会承認を得ることが日程的には可能となる。 
しかし、これまでのFTAと比べてTPPが米国に与える影響ははるかに大きく、現在の米国内の政治状況も当時とは異なることなどから、大統領選の最中にTPP実施法案が米議会で承認される可能性は低いとみられている。 
日本政府にとっては、このシナリオはあまり望ましくない。「農業分野でかなり痛みの伴う通商協定」(甘利担当相、日本経済新聞電子版、7月9日)の大筋合意、あるいはその承認を得るための国会審議を、来夏の参院選直前に行うことは避けたいところだろう。 
みずほ総合研究所作成
TPP交渉の合意が遅れれば
成長戦略の柱「メガFTA」も停滞
TPP交渉大筋合意の遅れは、安倍政権の成長戦略の柱の一つであるメガFTA戦略全体の遅滞へとつながりかねない。日本は現在、日中韓FTA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日EU・EPAと、TPPと合わせて4つのメガFTA交渉を並行して進めている。TPP以外の交渉は、先行するTPP交渉の行方を見極めようと現在停滞気味である。TPP交渉合意がなければ、2015年中の合意を目指す他の交渉も、このままずるずると長引きかねない。 
これまでに何度も裏切られ続けてきたが、成長戦略の停滞を避けるためにも、8月末までの大筋合意を今度こそ期待したい。 
http://diamond.jp/articles/-/76216 

3. 2015年8月06日 07:00:03 : jXbiWWJBCA
野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて
【第24回】 2015年8月6日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
TPPは日本に無益、中国経済圏拡大への対処こそ重要だ
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉が7月31日、大筋合意に至らないまま閉幕した。これに関して、つぎの2点を指摘したい。

(1)TPPに経済的な効果はほとんどない。したがって、これが妥結しなかったからといって、日本経済に大きな影響があるわけではない。

(2)TPPとは、アジア太平洋地域における中国の影響力拡大をけん制しようとするアメリカの戦略である。したがって、中国のリアクションが重要だ。とりわけ、AIIBのような動きは軽視すべきでない。

妥結でも合意不成立でも
日本への経済的影響は限定的

 今回のTPP交渉で最後に問題となったのは、乳製品や新薬開発データの保護期間だったが、日米間の実質的な問題は、コメと自動車だった。ただし、これらも経済的に見ると、その影響はプラスにもマイナスにも限定的だ。

 TPPに関しては、「最大の成長戦略である」とか「デフレからの完全脱却を目指す日本にとって欠かせない課題」などという意見が見られる。しかし、仮に参加国間の合意が得られたとしても、経済に大きな影響を与えるような効果は持ちえないのである。

 コメについては、日本は1キロ341円というきわめて高率の関税を課している。これを撤廃または削減するなら、日本の消費者にとっては大きな福音だろう。しかし、これを維持することは最初から決まっている。

 日本はこれまで、無税で年77万トンのコメを「ミニマムアクセス」として輸入している。うちアメリカ産は2013年度で36万トンだ。今回のTPP交渉で、この枠とは別に、アメリカ専用の無関税特別輸入枠を作ることとなっていた。報道では、これが、年7万トン程度で決着するだろうとされていた。

 しかし、これは、コメの年間生産量840万トンと比べると1%に満たない(図表1参照)。したがって、影響はほとんど無視しうると言えるだろう。


 養豚なども含め、農畜産物の輸入拡大に対して反対運動があるのは事実だ。しかし、それは、交渉妥結後の国内対策を意識しての動きだとの見方もある。コメの輸入を容認した1993年のウルグアイ・ラウンド合意後は、6兆円超の国内農業対策費が計上された経緯もある。

輸出増もGDP押し上げも
効果はほとんどない

 他方、アメリカが自動車に課している関税(乗用車2.5%、トラック25%、部品は大半が2.5%)については、どれだけを即時撤廃するかが問題とされた。これについては、5割超の品目について即時撤廃し、全品目については、10年超の長期間かけて撤廃となるとされていた。

 確かに、部品の関税撤廃は、日本の輸出を増やす可能性がある。ただし、現在すでに、部品も含めて自動車の現地生産が主流となっている。こうした中では、関税率を引き下げたからと言って、輸出が大幅に増加することは考えにくい。

 以上のように、コメの輸入枠拡大と自動車の関税撤廃は、ともに日米経済にそれほど大きな影響はない。

 では、全体としての効果はどうか?

 内閣府が2011年10月に試算したところでは、TPPによるGDP押し上げ効果は、10年間で0.5%(2.7兆円)程度だ。年平均でいえば、2700億円程度。つまり「ほとんどない」といってよい(注)。

 こうなるのは、GDPで見れば、参加国のうち日本とアメリカでほとんどのウエイトを占め、両国間では(農産物等を除けば)関税障壁はすでにかなり低くなっているからだ。

(注)2013年3月、政府は、TPPへの参加に伴う経済効果について、実質GDPを0.66%(3兆2000億円程度)押し上げるとの試算を公表した。

 消費が0.61%分、投資が0.09%分、輸出が0.55%分それぞれGDPを押し上げる一方、輸入の増加は0.60%分押し下げる。また、農林水産物の生産額は3兆円程度減少するとした。

 この試算は、「中長期の効果を示したものである」との説明はなされたが、何年程度の期間を想定しているかは明確にされなかった。
自由貿易の原則に反するブロック化
貿易や投資の決定にゆがみが生じる

 一般に、TPPは貿易自由化協定だと考えられている。しかし、これは大きな誤解である。

 TPPは、自由貿易の原則に反するブロック化協定だ。TPPを評価するにあたって、これが最も重要な点だ。

 参加国間の障壁は下がるが、外との障壁は不変なので、貿易の条件がゆがむ。これは、貿易阻害効果(trade diversion effect)と呼ばれるものであり、関税同盟の問題点として、ヤコブ・ヴァイナーによって、1950年代から指摘されてきた。

 つまり、TPPはプラスの経済効果がはっきりしない半面で、貿易の決定をゆがめるというマイナスの効果は持っているのである。この点は、一般にほとんど認識されていない。

 これは、貿易だけでなく、投資についてもあてはまる。

 今回のTPP交渉で、新興国が外資規制を緩めることが合意された。例えば、マレーシアは外資のコンビニエンスストアへの出資を解禁し、ベトナムは外資系の銀行や通信会社の出資上限を引き上げるなど幅広い分野で自由化を進めることとされた。これが、東南アジアへの直接投資を拡大させる効果があると言われた。

 確かに、マレーシアやベトナムについてはそうであろう。しかし、それによって、本来は、非参加国に向かうべきであった投資がマレーシアやベトナムに向かうのであれば、投資決定がゆがむことになる。

 図表2に示すように、マレーシア、ベトナムへの直接投資は、日本からの直接投資の全体から見ると、1%程度しかない。TPP全体で見ても47.3%であり、しかもその大半は、投資が自由化されているアメリカ向け(35.2%)だ。

 他方で、TPP非参加国向けの比率は50%を超えている。量的に言えば、こちらのほうが重要なのである。


中国が独自の経済圏形成に動く
日本は極めて難しい立場に

 以上のように、TPPに経済的な意味はあまりない。重要なのは、政治的な意味合いだ。とくに、中国のリアクションだ。

 TPPには投資家保護条項(ISD条項)がある。これは、企業が国の政策によって損害を受けた場合に、国際機関に訴えることができる制度だ。中国がTPPに参加しようとすれば、これが大きなネックとなる。また、TPPが知的財産権や国有企業に対する優遇措置に関して厳しい制約を課していることもネックだ。したがって、TPPは、中国が加入するには、もともと難しい仕組みになっている。

 TPPの背景にあるのは、太平洋を巡るアメリカと中国の覇権争いである。

 TPPを通じてアメリカは、アジア・太平洋地域における中国の膨張に対抗しようとしている。「中国をけん制し、日本を引き込むことによって、アメリカ中心の経済ブロックを環太平洋地域に作る」というのがアメリカの意図だ。

 数年前、「日本がTPPに参加すれば、中国も参加を要請してくるだろう」との見方もあった。しかし、私は、そうしたことはありえないと考えていた。中国は独自の経済圏を作って対抗してくる可能性のほうが高いと考えていた。

 具体的には、中国とヨーロッパの関係強化である。中国とドイツは、歴史的にも深い関係がある。中国版新幹線もドイツ企業のシーメンスが受注したし、中国で人気がある自動車は、トヨタや日産ではなく、フォルクスワーゲンである。

 このように、日本は、アメリカと中国の間にあって、きわめて難しい立場にある。

 まず、日本は安全保障上の理由から、アメリカのTPP構想を拒絶することはできない。

 しかし、他方において、中国は日本の輸出先国としてきわめて重要な意味を持っている。

 だから、TPPには参加しつつ、他方で中国との関係を悪化させないというきわめて難しい外交的なマニューバリング(操作技術)が必要とされるのだ。

 中国市場は完全な自由市場とは言えず、政府とのかかわりが重要な意味を持つので、中国がドイツに対して優遇措置を取れば、中国市場はドイツに席巻されるだろう。日本は中国市場という最大の輸出先を失う。

 日本の製造業にとっては、これによる影響のほうがずっと大きい。TPP交渉が始まった当初から、私はこのことを危惧してきた(『製造業が日本を滅ぼす』ダイヤモンド社、2012年、第8章を参照)。

AIIB始動で危惧される
中国と欧州の関係強化

 最近になって、この危惧は現実化しつつある。

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定署名式が2015年6月、北京で開かれた。資本金1000億ドルのうち、中国が約29.8%を拠出する。インド8.4%、ロシア6.5%、ドイツ4.5%がそれに続く出資比率だ。重要事項の決定は75%以上の賛成が必要となるため、中国が単独で拒否権を握ったことになる。

 アジア開発銀行(ADB)の筆頭出資国でもあるアメリカと日本は、「AIIBはガバナンスがない、出資の透明性に欠ける、融資先に課す基準に疑問がある」などとして、参加を見送った。

 AIIBの活動が始まれば、東南アジアにおける中国の影響が強まるだけでなく、ヨーロッパとの関係が強化されることに注意が必要だ。

 中国の貿易統計や投資統計を見ても、この懸念が強まる。

 図表3の中国の輸入先統計を見ると、13年において、欧州からの輸入が13.1%増加しているにもかかわらず、日本からの輸入は8.7%減少だ。

 図表4の中国への直接投資統計を見ると、ドイツからの投資は、金額はまだ少ないものの、42.4%も増加している。それに対して、日本からの投資は12.1%の増加にとどまる。

 日本にとっての最大の課題は、こうした動きにどう対処していくかである。

http://diamond.jp/articles/-/76215


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