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米国の「利上げ」は世界経済にどんな影響を与えるか 「利上げ不安」を煽る経済評論家にご用心
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44418
2015年08月02日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
ギリシャ問題と利上げショック
■経済評論家の力量をチェックする「リトマス紙」
米国が「年内利上げ」に傾きつつある。しかし、新興国からマネーが大量流出するのでは、その結果、新興国経済は大打撃を受けるのでは、などと「利上げショック」を懸念する声も多い。
利上げは世界経済にどのような影響を与えるのか。
まず、国際金融問題については、そのメカニズムをきちんと理解するのが先決だ。巷にはさもわかったように解説するコメンテーターが多いが、そうした人の力量をチェックするためには、米国利上げなどの国際金融問題は絶好のリトマス紙になる。
例えば、ギリシャ問題で、ギリシャはユーロから離脱すべきではないという人が、同時に米国の「利上げショック」を主張していたら――実は、これは矛盾している。
その理由はこうだ。米国が利上げすると、新興国からマネーが大量流出するというのは、新興国がドル為替を維持しようとする場合、つまり新興国通貨をドルにペッグ(連動)している場合に限る。
為替は二国間の通貨の交換比率であるが、二国間の通貨量の比に収斂しやすい。米国の利上げは、通貨量を減少させることになるが、その結果、ドル為替を新興国が維持しようとすれば、同じように新興国の通貨量を減少させる。それが、新興国からの資金流出に見えるだけだ。
逆にいえば、新興国でも変動相場制の国では、そうならない。そうした国の場合、米国は金融引き締めなので、自国通貨の対ドル相場は安くなる。
■ドルペッグにこだわる新興国とかかわってはいけない
米国が利上げした直後には、国際金融筋が騒いで、新興国すべてで資金流出があったように報じられるだろう。しかし、そのうちに、無理にペッグしようとする国と自国通貨安を享受しようとする国に分かれるはずだ。
自国通貨安を受け入れる国は輸出増などが見込まれるため経済回復が早いが、無理にペッグする国は景気回復できないという具合に、両者の経済パフォーマンスは分かれてくるだろう。
ギリシャ問題の場合、ギリシャの通貨がユーロであるというのは、ユーロとの「完璧なペッグ」に相当するので、通貨安のメリットを受けられない。その上、ギリシャは緊縮策をドイツから求められているので、緊縮策の影響からも経済成長はできない。
というわけで、新興国が無理にペッグして経済混乱を起こすことと、ギリシャがユーロに残留して経済成長できないのは、根っこは同じ。米の利上げによる新興国へのショックを懸念するなら、ギリシャがユーロから離脱すべきではないとは、とてもいえないのだ。
我々ができるのは、利上げで不安を煽りながら、ギリシャ問題でもユーロ離脱で大混乱と煽っていたエコノミストを信じないことだ。その上で、米の利上げで、ドルペッグを標榜している新興国とかかわってはいけない。むしろ、ドルペッグせずに、自国通貨安を容認するような新興国を見いだして、その国にかかわることも一つの対応策だ。
通貨政策一つをとっても、それを放棄して苦しんでいるギリシャと、米利上げの局面で、ペッグにこだわる新興国、通貨政策を柔軟に実行できる新興国の間で経済パフォーマンスに大きな差が見られるはずだということ。米利上げの際には、まずはその違いを見極めることに注意したい。
『週刊現代』2015年8月8日号より
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