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米GDPとFOMC、日本の家計調査
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/
2015年07月31日 在野のアナリスト
米4-6月期GDPが発表され、実質2.3%増となりました。個人消費が2.9%増の伸びで、民間設備投資の0.6%減をカバーした形です。しかしこの個人消費には注意が必要で、自動車サブプライムローンの問題が解決しておらず、金余りでローン組成のし易さが寄与している面が大きい。米政府もこの信用の低い層への貸付を規制してしまえば、自動車販売に大きく影響する。特に、米民主党政権では規制に後ろ向きで、景気が好調な間ならまだしも、一つ躓くと再びサブプライムローン問題として、浮上してくる可能性があります。貯蓄率も5.2%から4.8%に低下するなど、ムリして高額消費をすすめているのなら、この伸びは長く続かない可能性があります。
昨日のFOMCでは、事前にFRBが5年後に公表するはずの内部文書が洩れ、利上げ見通しが大きく後退していました。実際には何の言質も与えませんでしたが、株式市場は利上げ先送りを、為替市場では早期利上げを織りこむ、といったチグハグな動きが目立ちます。どちらかは確実に間違えているので、いずれ修正もかかりますが、それはどちらの方向性であっても、日本の株式には重しです。一方で、米1-3月期GDPが上方改定され、年率2%近い成長を維持できる見込みとなった。これで、利上げを先送りする理由が消失し、昨晩の米株は上値を押さえられています。
最近、株式市場の懸念として語られているのが、企業の業績見通しの楽観です。これまで企業は保守的な見通しを公表し、後に上方修正する形をとってきました。しかし今年、日本企業の見通しは強気、8%半ばの増益見通しを掲げます。市場では9%から10%を越える予想まであり、さらに強気ですが、企業の見通しとそれほど差異がない、ということは極めて珍しくなります。
そんな中、不安な材料が出てきました。6月家計調査で、実質の消費支出が2.0%減。これは勤労者世帯の収入が、実質で2.8%増となる中ですから、余計に深刻です。しかしその理由は収入の内訳にあり、世帯主の収入が実質で0.1%減、それを臨時収入・賞与の1.1%増がカバーした形で、さらに配偶者、その他の世帯員がそれぞれ実質で12.3%増、13.0%増と大きく伸びたことで、収入が改善した形です。つまり世帯全体が働くようになり、何とか家計を助けていることで、家族で出かける機会も少なくなり、また世帯主の収入が減るという危機感から、極めて家計が防衛的になっている。そんな傾向が、この一連の行動からも読み解けるのです。
今年、企業が強気の業績見通しをだしたのも、政府からの要請。海外M&Aをすすめるのも、円売り要因を増やしたい政府の要請、そんな陰口も叩かれます。実際、米国景気が堅調、中国景気の減速は織りこんでいても、そこまでひどくない、が今年の前提です。それが崩れたら? 事実、上海市場の暴落など、前提が崩れつつあり、ファナックや東エレなどの業績下方修正のようにスマホ需要だけ特殊要因、とする些かムリのある説明も増えてきました。そんな奇妙な話でさえも、政府による要請で喧伝されている、といった噂すら立つほどです。
ある想定で、企業が今年8%の増益なら19000円台前半、10%近い増益なら21000円、という話も出てきています。つまり市場は、すでにかなり楽観的なシナリオの水準に、現状でも来ている。市場でさえ強気すぎる、というのが懸念として浮上しつつあるのです。すべてが金余りの結果ですが、米GDPも推計手法を見直し、これまでの数字が低すぎるとして、数字を高めに改定する動きが出てきています。俄かにこうした動きが活発化するのは、数字をいじって楽観ムードを維持したい、という人間の欲望に絡むものなら、バブルではなく今の市場にはデビルが潜んでいるのかもしれませんね。
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