2. 2015年7月31日 18:39:54
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JPX日経400入れ替え、2つの「東」が主役−品質維持に注目 2015/07/31 16:37 JST (ブルームバーグ):JPX日経インデックス400 のことしの定期銘柄入れ替えで、東京電力 の新規採用が専門家の間で有力視されている。除外では、不適切会計が歴代3社長の辞任につながった東芝 の動向が焦点。問題を抱えた2つの「東」の扱いを間違えれば、株価指数に対する投資家の信頼が揺らぎかねない。 株主資本利益率(ROE)などを重視するJPX日経400は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がベンチマークの1つに採用、保有資産を1年間で11倍に増やした影響などで連動資産が順調に拡大している。みずほ証券などの試算によると、1年前と比べ6倍に膨らみ、市場における同指数の存在感は増している。 SMBC日興証券株式調査部の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、「ことしの最大の注目点は東芝の取り扱いと入れ替えルールに従うと、入れざるを得ない東電の新規採用」と言う。 同指数の定期銘柄入れ替えは年1回行われ、ことしは8月7日に公表予定。指数への反映は同31日で、連動資産は28日の取引終了時点でリバランスを行う必要がある。昨年初めて行われた入れ替えは31銘柄、2回目のことしは40銘柄程度を予想する市場関係者が多い。 専門家が予想する主な新規採用候補は東電のほか、ミクシィ、ネクソン、東京建物、アルプス電気、日本ガイシ、ジャフコ、日本航空電子工業、日立国際電気、NEC、MS&ADインシュアランスグループホールディングスなど。セイコーホールディングスやパイロットコーポレーション、コーセー、ヤマハ、日本郵船を挙げる向きもある。 自己資本減少でROE上がる 東電は、SMBC日興とみずほ、野村、大和の各証券が採用候補とした。「営業利益や時価総額は元から規模が大きいため、問題はないが、大幅な損失を出して自己資本が減っているため、利益が通常通りに出たことでROEが高くなった」とSMBC日興の伊藤氏は分析。優良企業で構成されるインデックスにふさわしいかどうかの議論は多分にあるが、ルールに従うと入れざるを得ないとの認識だ。 除外候補は三菱食品、アイフル、日本マクドナルドホールディングス、出光興産、JXホールディングス、日本製鋼所、日本電気硝子、コナミ、ユニーグループ・ホールディングス、ヤマダ電機など。親会社による完全子会社化でスターバックスコーヒージャパンが3月に上場廃止となり、現在指数を構成するのは399銘柄のため、今回除外されるのは新規採用に比べ1銘柄少なくなる。 除外をめぐり、専門家の見方を二分するのが東芝だ。SMBC日興と野村、メリルリンチ日本、シティグループの各証券は定量評価によるスコアの高さ、不適切会計問題に関し明確な結論が出ていないことなどを理由に残留を予想。みずほと大和は除外を見込む。 スタートラインに立っているか みずほ証の永吉勇人チーフクオンツアナリストは、「過去の財務データを間違えているということはスタートラインにすら立っていない。間違えたデータを基に高ROEと言っていいのか」と指摘。昨年の入れ替えでは、上場廃止見通しの東京エレクトロンの扱いについて早期に除外できるよう直前にルールを改正した経緯もあり、「指数を計算するだけの立場ではない、と東証は自覚している」と話す。 日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)は28日の定例会見で、JPX日経400では最初に1000銘柄の母集団を選ぶ際、財務データが出そろっていることが銘柄選定の「前提になる」と発言。そうでなければ、母集団に入らないというのが一般論だと述べた。14年度の有価証券報告書がそろっていない東芝に関しては、今回のケースは特別な事情として斟酌できるものでもない、との認識も示した。 破産手続きの開始を申し立てた海外子会社が株式取得時から多額の債務超過だったLIXILグループ も、みずほ証は除外候補とした。指数の算出要領では、直近決算期に関し内部統制報告書に開示すべき重要な不備があった場合、母集団から除外すると明記されている。 問われる指数の意義 経済産業省は28日、東電が申請した原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の規定に基づく特別事業計画の変更を認定した、と発表した。変更概要によると、福島第1原子力発電所の事故に絡む要賠償額の見通しは約7兆753億円になった。さらに共同通信は31日、福島第1事故をめぐり業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、東京地検が2度不起訴処分にした元東電会長ら旧経営陣3人について、東京第5検察審議会が強制起訴すべきだと議決した、と報じた。 三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、採用候補に名を連ねる東電について「リスクの高い企業を入れるのが不思議だ。抱えている問題が大き過ぎ、普通の企業と同一視してはいけない」とみる。東芝の扱いも含め、指数の信頼性を維持する上で「何のためにJPX日経400を作ったのかという問題を元に入れ替えをしなければならない。数字だけで良いなら、指数を作る意味がない」と言う。 JPXなどのデータによると、定期入れ替えを公表した昨年時点のJPX日経400の3年単純平均ROEは11.2%(初期選定時点11.1%)で、東証1部は6.8%(同6%)だった。野村証券では、ことしの入れえ替えでJPX日経400は11.9%へ上昇すると予想している。 JPX日経400は東証1・2部、マザーズ、ジャスダック上場銘柄を対象とし、流動性などによるスクリーニングで1000社に絞り、3年平均のROEと3年累積営業利益で各40%、選定基準日時点の時価総額で20%のウエートを勘案、定量的な総合スコアを算出する。その上で、「独立した社外取締役の選任(2人以上)」など定性的要素も踏まえ、スコアの高い順に400銘柄を選定する仕組みだ。 定期入れ替えでは既存の採用銘柄に優先ルールが設けられ、指数採用銘柄で最終スコア順位が440位以内をまず採用、不足する場合は最終スコアの上位から選ぶ。 31日のJPX日経400は0.7%高の14961.66。新規採用候補では、東電が6.2%高で東証1部の売買代金トップとなり、ミクシィが3.5%高、アルプス電が3.4%高、ガイシが3.4%高、日立国際電が4.2%高など。半面、除外候補のアイフルは4.5%安だった。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 Anna Kitanaka akitanaka@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎 更新日時: 2015/07/31 16:37 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NRXPWU6S972E01.html |