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GDP統計が語ること:円安下、原油を始めとする資源輸入価格の低落が日本経済をなんとかサポート
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 7 月 31 日 05:58:39: Mo7ApAlflbQ6s
 


[大機小機]GDP統計が語ること

 最近、実務家の方に「日本の国内総生産(GDP)統計は本当に正しいのか」と質問されたことが何度かあった。確かに物価の影響を取り去った実質GDPの前年比は今年1〜3月期まで4期連続のマイナスと、景気が足踏みしていることを示唆している。

 昨秋以降、再び熱気を帯びてきた株式市場とは対照的に、このところ実質GDPの動きは力強さを欠いていた。昨年4月の消費増税によるマイナス効果が大きかったとはいえ、実質GDPの数字がしっくりこないというのが多くの方々の実感なのかもしれない。

 株式市場では今年5月に東証1部の時価総額が約25年ぶりにバブル経済期の水準を超え、6月には日経平均株価がIT(情報技術)バブル期のピークを上回った。株式相場は海外での収益増や今後の成長期待を反映した面が少なくなく、実質GDPの動きに連動しなくても不自然ではない。

 ただ、直近の決算で国内収益が大きく増えた企業は多い。労働市場では有効求人倍率が23年ぶりの高い水準になるなど環境は大幅に改善した。昨年度の国の税収も政府の見積もりより2兆円を超す規模で上振れした。好調な他の経済指標と比べて実質GDPの回復の鈍さが際立っている。

 もっともGDP統計を見る上では経済のグローバル化やサービス化が進展し、経済制度が複雑化しているという視点が重要である。現在のGDPが依拠する「93SNA」と呼ばれる計算体系は、このような構造変化をできるだけ付加価値に取り入れる試みだ。

 新たに追加された付加価値には計測が困難なものが少なくない。誤差が発生しやすくプロでも予測が難しい。一方で旧基準のGDPと異なり、国の付加価値をソフト面も含めて多角的に捉えたものである。このため、GDPを幅広い生産の概念だと考えて内容を細かく見ていけば、日本経済の本格的な回復はこれからという実態も見えてくる。

 不透明な海外情勢にもかかわらず日本株は底堅い値動きを示している。ただ、目先の株価に踊らされずに生産の概念を幅広くとらえ、中身を注意深く吟味する視点が重要ではないだろうか。来月には4〜6月期のGDP速報値が発表される。実質GDPが語る日本経済に注目し、真の実力を見極めたい。

(甲虫)

[日経新聞7月29日朝刊P.17]

 

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